Cover Artist | Accusefive(告五人) -後編-

人生初の自分のギターを手に入れた後は、上達のスピードもあがる

いま大躍進中の3人組バンド、Accusefive(告五人)。2017年のデビュー以来、3枚のアルバムを発表し、ヒット曲を多数輩出。ツアーをはじめ、フェス出演、海外公演など、精力的にライヴ活動を行いながら着実に人気を拡大している。そんなAccusefiveから、ギター&ヴォーカルの雲安(Yun-An)が登場。インタビュー後編では、バンド結成のきっかけや現在の活動について、またギター初心者へのメッセージも訊いた。

「この曲を信じてみない?」と、二人をバンドに誘いました

──バンド結成のきっかけを教えてください。

雲安 ヴォーカルの犬青(Chuan Ching)は高校の後輩で、ドラムの哲謙(Richard Lin)とは家が近かったのですが、出会ったのは社会人になってからです。「Miss You Day and Night(披星戴月的想你)」という曲が出来た時に、「この曲を信じてみない?」と、二人をバンドに誘いました。犬青の歌声は以前から綺麗だと思っていたし、哲謙が叩くドラムには生命力があって、まさに頭の中で思い描いていたイメージ通りだったからです。二人とも二つ返事で加入してくれて、現在に至ります。

──最初からツインヴォーカルをイメージしていたのですか?

雲安 そうですね。男性と女性の声があることによって、より多彩なストーリーを描いたり、表現の幅を広げることができると思ったからです。そのためには、妥協せずに色々と取り入れていきたいと思っていて、ライヴでは哲謙も歌っています。

──昨年リリースされた最新作についてお話しいただけますか?

雲安 最新アルバム『We Will Be Fine(帶你飛)』のレコーディングでは、全ての楽曲でフェンダーの様々なタイプのギターを使用しました。このアルバムにはあらゆる要素を取り入れたいと思っていて、そのためには異なる音色や、いつもとは異なる雰囲気が必要でした。そこで僕たちはモーテルでレコーディングしたんです。1階に車を停めて、レコーディングは2階の部屋で行いました。いつもとは違う環境でレコーディングをしてみたかったし、かつての“ガレージレコーディング”の雰囲気も味わってみたくて。ポップソングを“ガレージ”でレコーディングした時に、どのような異なる感情が湧き起こるのかを試してみたいと思いました。

──アルバムを作る時は、毎回テーマを設けますか?

雲安 そうですね。たとえば、セカンドアルバム『Easy Come, Easy Go(運氣來得若有似無)』のテーマは“安心感”だったので、サードアルバムは、その“安心感”から旅立つ準備をすることをテーマに、そこから飛び立ったあとに起こる様々なことを描いています。あと、次の作品で伝えたいと思っていることとのつながりも意識しました。

──新作のリリース予定はありますか?

雲安 今、4枚目のアルバムをレコーディングしているところで、年内にリリースするかどうかについて考えているところです。とりかかっている新曲が4曲あり、著名な先輩方とのコラボも予定しています。

──雲安さんは、バンドのメインソングライターですよね。曲はどこで書くことが多いですか? 特にインスピレーションが湧きやすい環境などはありますか?

雲安 移動している乗り物の中で書くのが最も好きです。台北にはMRT、日本には地下鉄がありますが、ファーストアルバムに入っている「Pain Toast(法蘭西多士)」(香港式フレンチトーストのこと)という曲は、香港の地下鉄の中で書きました。窓の外に広がる街の景色が次々と移り変わり、まるで顕微鏡で観察しているようでした。「Miss You Day and Night」は、祖父母の家に行く時に、車の中で兄と一緒に書きました。このように、乗り物に乗っている時にインスピレーションが湧くことが多いですね。

──いつか日本でも乗り物に乗っている時に曲が生まれるかもしれませんね。楽しみにしています! さて、昨年はコールドプレイのKaohsiung公演にオープニングゲストとして出演されていましたが、いかがでしたか?

雲安 嬉しかったです。もう、なんと言って良いのか……素晴らしい夜でした。まさかコールドプレイが演奏するステージで自分たちも演奏できるなんて……とても気持ちよかったです! 終演後にはコールドプレイとお話しすることも出来ました。もし出来ることなら、もう一度あの日に戻りたいです。

ラテン音楽とポップミュージックが融合した楽曲を作ってみたい

──Accusefiveは、今年もツアーの予定はありますか?

雲安 3月に宜蘭のスタジアムでライヴを行い、その後も、昨年に引き続き〈2024 SUPER LIVE TOUR(宇宙超有趣)〉を行います。東京にも是非行きたいと思っています。

──3人の地元、宜蘭でのライヴは特に思い入れがあるのではないでしょうか?

雲安 ここまで大規模な屋外公演を行うのは初めてでとても緊張しているので、今は東京でちょっと気持ちを落ち着かせています。そうしないと常に緊張状態が続いてしまいそうなので(笑)。最高のステージにしたいと思っています!

──個人的にでもバンドとしてでも、今後チャレンジしてみたいことはありますか?

雲安 今、ラテン音楽にハマっているので、ラテン音楽とポップミュージックが融合した楽曲を作ってみたいです。これまでとは一味違うタイプの曲を作れたらなと思っています。もしかしたら、日本語で歌ってみるかもしれません! 色々チャレンジしてみたいです。

──日本語と言えば……ディーン・フジオカさんとコラボした日本語詞の曲「晴れの日」が昨年リリースされていますが、日本語で歌ったのは初めてでしたか?

雲安 はい、初めてでしたが面白かったです。日本語の先生に指導してもらい、歌詞の内容をしっかりと理解したので、今でもまだ歌詞を覚えています。

──日本公演で「晴れの日」を是非聴きたいです。

雲安 ちゃんと練習しておきます(笑)。

──ギターを始めたばかりの人にアドバイスをいただけますか?

雲安 自分の気に入ったギターで練習することによって、より練習効果を発揮できると思います。気になるギターを見つけたら触ってみて、もし「これだ!」と思えるものに出会えた時は、アルバイトをしてお金を貯めて、手に入れることをおすすめします。自分もそうでした。アルバイトを掛け持ちしたり、レコーディングスタジオのアシスタントをしたりして貯めたお金でギターを購入しました。人生初の自分のギターを手に入れた後は、上達のスピードもあがります。あと、基礎練習を忘れないでくださいね。そして“グルーヴ”も忘れないでください。

──ギターを始めたばかりの人がカヴァーするのにおすすめのAccusefiveの曲はありますか?

雲安 「Somewhere in Time(愛人錯過)」ですね。コードがとてもシンプルだからです。でも、音に表情をつけるためには高い技術を必要とします。取り組みやすく、退屈しないと思うので、是非練習してみてください。

──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

雲安 日本でライヴを開催する時は、「晴れの日」や他のAccusefiveの曲を是非一緒に歌ってください。ライヴで皆と大合唱するのが大好きなので、一緒に楽しい時間を過ごせたら嬉しいです。

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Accusefive(告五人)
ヴォーカル&ギターのパン・ユン・アン、ヴォーカルのチュアン・チン、ドラマーのリチャード・リンで構成されている台湾の人気3ピースバンド。2017年に『Let Go EP』をリリースし、2018年には第9回ゴールデン・インディー・ミュージック・アワードで最優秀新人賞を受賞した。パン・ユン・アンの創作の才能と、様々な音楽スタイルへの巧みな対応力を武器に、近年多くの楽曲を生み出してきた。2019年、1stアルバム『Somewhere in Time, I Love You』を発表し、初回盤が完売。2020年には第31回GMAで、最優秀新人賞、最優秀音楽グループ賞、最優秀ミュージックビデオ賞、最優秀アルバムデザイン賞の4部門にノミネートされた。また、2020年末には2ndアルバム『Easy Come, Easy Go』を発売し、第32回GMA年間最優秀楽曲賞、最優秀作曲賞、最優秀バンド賞、最優秀ボーカル・アルバム録音賞にノミネートされた。

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