Cover Artist | [ALEXANDROS] -後編-
フェンダーギターの何が素晴らしいかと言えば何を弾こうとしても真ん中にいる気がするんです
ユニバーサルミュージックと2014年にグローバル契約を交わし、ニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」はニューヨークにてレコーディングを敢行。名実ともに世界進出に踏み出した[ALEXANDROS]へのインタビュー。後編はギター/ベースについて、川上洋平(Vo,Gt)、磯部寛之(Ba,Cho)、白井眞輝(Gt)の3人に話を聞いた。
― [ALEXANDROS]はギターを中心としたギターロックバンドだと思うのですが、いろんな楽器がある中でギターにこだわる理由、ギターの魅力とは何ですか?
川上洋平(以下:川上) ギターに関して言えば、手軽さは魅力のひとつですよね。どこのスタジオでも、どこの国でも…例えば呑み屋にでも置いてある。だから、ギターってiCloudやユビキタス的な楽器のような気がします。自分さえいればどこでも曲が弾ける楽器ですよね。
白井眞輝(以下:白井) 僕はギターとベースって単純に見た目がカッコイイなって思ってるんです。ステージでロックバンドが弾いていると、それだけでカッコイイ。あとは、収集する意欲も僕にはあるので、これだけ種類が豊富なので選び甲斐があります。
色もデザインもたくさんあるのでワクワクを掻き立ててくれますし。― ベースという楽器の魅力についてはいかがですか?
磯部寛之(以下:磯部) ドラムのキックという身体で感じるパートと一体となってリズムを操り、しかも音程のある楽器っていうのがベースの魅力のひとつだと思っています。それを4弦で表現できるのはすごく気持ちいいし、さらに歌やギターのソロに音を乗っけたりできるのは単純に楽しいっすね。
― それぞれのギターヒーロー、ベースヒーローを教えてもらえますか?
磯部 ベーシストに憧れたことがないんですよね。というか、あまり知らないんです。俺の場合、大学で洋平に会って、バンドっていうものを洋平から教えてもらってちゃんと知ったので。ベースは高校から始めたんですけど、バンドのこともよくわからないので、バンドは組まずにバスケばっかりやってたんですよ。なので、このバンドが初めて組んだバンドなんです。何か初カノと結婚しちゃったみたいな感じで(笑)。ベースヒーローを強いて挙げれば、高校の同級生です。俺、アメリカに住んでいた中学の時は吹奏楽をやっていたんですよ。で、高校に入るタイミングで日本に帰って来て、入学した高校の同級生の女の子がベースを学校で弾いてたんです。その時に初めてエレキの弦楽器を生で見て、カッコイイなぁと思って翌日に貯めていたお小遣いをはたいて初心者用のベースを買ったんです。
― 今はフェンダーの64年のJazz Bassがメインですよね? いつからフェンダーのベースを?
磯部 初めてフェンダーのベースを買ったのはデビューしてからです。ミュージシャンの先輩に一緒に楽器屋についてきてもらい、“ローにいった時の抜ける感じも含めてフェンダーだよ”ってフェンダーベースの魅力を教えてもらいながら選んだのが、フェンダーの70年代のJazz Bassでした。そのジャズベは今でもメインに何かあった時用のサブとして、常にステージに持って上がっています。
― 洋平さんのギターヒーローは?
川上 僕はまず前提として、自分はギタリストだとは思っていなくて、ヴォーカリストだと思っています。ギターはパーカッション的な感じで扱っている自覚があります。
― なるほど。
川上 ギターヒーローはノエル・ギャラガーです。なので、僕のギターヒーローはフェンダーを使っていないんです。ただ、ノエルが弾いているギターを試奏したのですが、音が太くて歌の壁になるんですよ。ストラトを弾いた時、ものすごく自分のリズム感覚に合ったんです。“ヴォーカル&ギターとしてやっていくには絶対にストラトのほうがいいな”って思いましたね。その時からストラトで、その後にJazzmasterに惹かれていきました。
― いずれにしてもシングルコイルなんですね。
川上 そうなんです。フェンダーのギターの何が素晴らしいかと言えば、何を弾こうとしても真ん中にいる気がするんですよ。悪ぶれることもできるし、優等生にもなれるし、エリック・クラプトンみたいにもできる。かと思えばグランジっぽい音も出せる。そういうギターって、いつでも我に返れることができて好きですね。色んな曲をやりたい自分に合っています。ニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」でもいろんな曲を弾くわけで、1本で10曲全然違う曲を賄えちゃうのはすごく便利な名機だなって思っています。
― 続いて、白井さんのギターヒーローは?
白井 僕はジョン・フルシアンテとジミ・ヘンドリックスがすごく好きです。だからいつかはストラトでガッツリ演奏したいと思っていたんですけど、今は他社のものをメインで使っています。でもここ数年で、ギターの所有数がものすごく増えているんです。年間3本くらい買っているので、今は30本近くまでになっています。当然、ジョン・フルシアンテとジミヘンへの憧れから買っているので、フェンダーのギターが占める割合がどんどん増えています。今回のアルバム「Sleepless in Brooklyn」でもストラトの出番が本当に多かった。なので、次のツアーでは、メインギターの一角にストラトが入ってくると思っています。ダウンチューニングの曲はストラトなんですけど、レギュラーチューニング用にもこの間ストラトを買ったんです。新曲「アルペジオ」は新しく買ったストラトで弾くと思います。
― ニューアルバムを引っさげてのツアーが楽しみです! ところで、ギターを弾いていて良かったなって思う瞬間はどんな時ですか?
川上 やっぱりモテますよね。他の楽器もカッコいいけど、ギターを持ってる奴がトータルでモテる気がするんです。もちろん女の子からもそうですけど、男からも。ベースってカッコいいんですけど、“ベース好きなんだぁ”みたいな(笑)。
磯部 おいおいおい(笑)! まぁでも、ギターは華があるね。
川上 そう、華があるので、フロントマンとしてヴォーカル&ギターを選んで良かったと思います。もちろんヴォーカル&ベースという道もあったけど、ギターっていう武器を持つことによってさらに華やかさをオンしてくれたなという感謝があります。
― [ALEXANDROS]に憧れて楽器を始める若い人達たちもたくさんいると思うのですが、これから楽器やバンドを始めようとする人たちにメッセージをお願いできれば。
川上 もしちょっとでも楽器に興味あったら、とにかく早く楽器を買ってほしいです。最初は別に安い物でもいいから、まずはとにかく楽器に触れてほしいなって思います。それで、自分から音が出る感覚を10代とか若い時に体験してほしいんです。楽器を弾いたことがあると、聴く音楽も違う感覚で楽しめたりするし。それから、いろんな国に行っても、音楽でコミュニケートできたりするんです。その国の言語が話せなくても。そこに関しては、海外に行った先輩として言えることですね。英語が話せなくて友達ができなくても、道端で楽器を弾いていれば、向こうから話しかけてくれますよ。“なかなかいいじゃん”とかって。そうなれば、英語が話せなくても飲み行ったりできちゃうんです。これは嘘じゃなくて、実際に海外で何回もあったことだから。楽器が弾けると、人生がすごく豊かになる。それは先輩として自身を持って言えますね。
› 前編はこちら
川上洋平:American Original 60s Jazzmster
「日本ではコードで曲を作ることが最近は多かったんですけど、『Mosquito Bite』や『MILK』はリフから作っていったんです。それはもしかして楽器(Jazzmaster)からそういう発想になったのかな?と今になって思いますね」(川上)
白井眞輝:American Original 50s Stratocaster
「すごく弾きやすいです。音に関しても、現代的なものとヴィンテージへの敬意がミックスされている。現代のレコーディングはライン録りも多いのですが、ちゃんと芯のある音が出てすごく良かったです」(白井)
磯部寛之:American Original 50s Prescision Bass
「すごく弾きやすいです。音も素直に抜けてくるような感じがして、とても良かったですね」(磯部)
PROFILE
[ALEXANDROS]
2007年、本格始動。メンバーは川上洋平(Vo,Gt)、磯部寛之(Ba,Cho)、白井眞輝(Gt)、庄村聡泰(Dr)。2015年よりユニバーサルミュージックとグローバル契約を結び、アルバム「EXIST!」はオリコンウィークリーチャートで初登場1位を獲得する。国内のロックフェスティバルに数多く出演しヘッドライナーを務め、TVドラマや映画・CMなど多岐にわたる楽曲提供を行うなど、幅広い層に支持されている。11月21日には待望のニューアルバム「Sleepless in Brooklyn」をリリース。12月からは自身最大規模となるライヴハウス&アリーナツアーを行うなど、目が離せない注目のロックバンドである。
› Website:https://alexandros.jp
New Album
Sleepless in Brooklyn
【通常盤】¥3,240(tax in)
【初回限定盤A】¥7,344(tax in)
【初回限定盤B】¥6,264(tax in)
【完全生産限定盤】¥9,504(tax in)
ユニバーサルJ
2018/11/21 Release