My Fav Chord | 岸井ゆきの
Gがあると安心する、そんなコードです
どのアーティストでも一つは自分の好きなコードや得意なコードを持っているはず。アーティストの“好きなコード”に注目し、なぜそのコードが好きなのか、そのコードが使われている自身の楽曲や好きな楽曲について話を伺う「My Fav Chord」。第2回目は映画、ドラマ、舞台、CMと目覚ましい活躍を続ける女優・岸井ゆきのが登場。
一番大事なのは楽しむこと
― 岸井さんの好きなコードを教えてください。
岸井ゆきの(以下:岸井) 迷ったのですがGにしました。Gは初めて押さえられるようになったコードだし、Gは本当にたくさんの曲で使われています。“GとCさえできれば曲が弾けるよ”って最初に先生に言われて、私の大好きなCHAGE and ASKAの「ひとり咲き」も、GとCとDとEmが押さえられればけっこう弾けるんですよ。Gがあると安心する、そんなコードです。
― Gを押さえるにあたって、心がけていることがあれば教えてください。
岸井 最初は小指に力を入れるのが難しかったんですけど、実は私ボクシングをやっていて、手の筋肉がすごく発達しているみたいで小指はラクに押さえることができたんですよね。
― ギターとの出会いを教えてください。
岸井 ミュージシャンの友人と一緒に、フェンダーのショールームに遊びに来た時が初めての出会いです。その時、ちょうど朝ドラのために大阪に1年くらい滞在するタイミングだったので、“ギターでもやってみれば?”と友人に言われて。それでこのMalibu Playerに出会い、大阪に持っていきました。
― 大阪滞在中はギターを弾いていたのですか?
岸井 朝ドラがものすごく忙しかったので、毎日弾ける感じではなかったですが、忙しいぶん一人の時間が大事だったのでギターを触るようにしていました。
― 金曜ドラマ『#家族募集します』の劇中でこのギターで弾き語りをしていましたが、かなり練習を?
岸井 しました。何日も練習時間を取ってもらって。歌はやったことがなかったので、撮影が始まってからも休憩中にいつもスタジオで練習していました。
― どんな練習方法でしたか?
岸井 歌う曲のコードと、リズムに合わせて速く弾く練習です。歌いながら指は違う動きをするということが自分の中では前代未聞だったので。練習中は楽しいのですが、撮影中は本当に緊張してしまって。緊張すると指が動かなくなって喉もキュッとなるんです。共演者の方から“楽しまなきゃダメだよ”と言われて、だんだんリラックスできるようになりました。楽しむことを学んでからは、最終回に向けて自分の顔も声も動きも変わっていくのがわかったので、一番大事なのは楽しむことなんだなと思いました。
― 演奏シーンの撮影秘話があれば教えてください。
岸井 みんなで浴衣を着てお祭りをする回があるのですが、そのまま生音でギターを弾いたシーンはすごく嬉しかったです。“このまま使えるよ!”って。そこは撮影秘話であり見どころですね。
― 撮影を通して感じた、手にしたギターを弾くこと、歌うことの楽しさとは?
岸井 ドレミファソラシドしかないはずなのに、その中にある無限の可能性は、お芝居とはまた違う魅力だと思います。6本しか弦がないのに、何でこんなに奥が深いのだろうと。
諦めも肝心! すごく不思議な、希望のある練習方法
― 『#家族募集します』の撮影のあともギターは弾いていますか?
岸井 『#家族募集します』からけっこう時間が経ったのですが、久しぶりに触ってみました。Fはもう押さえられないと思ったけれど、ちゃんと鳴りましたね。指が感覚を覚えているんですね。常にケースから出しておいて、ポロポロ弾きたいなと思っています。
― 今後はどのようにギターと付き合っていきたいですか?
岸井 7月にまた音楽劇をやるので、その時のためにまた向き合います。歌だけじゃなくて、ギターと一緒に練習できたらいいなと思っています。
― 今日持ってきていただいたご自身のアコースティックギター(Malibu Player)の気に入っているところは?
岸井 まずは色と形がかわいいですよね。もっと大きなボディのモデルもあるのですが、私は身長が150センチしかないので、このサイズがすごくフィットするんです。『#家族募集します』の練習の時に他のギターにも触らせてもらったけれど、このギターが一番ボディラインにフィットしたんです。他のギターだと抱える感じになっちゃうけど、Malibu Playerは持ちやすいし押さえやすい。全体的に密着感があるのがオススメです!
― 練習で意識していたことがあれば教えてください。
岸井 とにかく、コードがうまく押さえられなくても右手は止めないで、リズムに合わせて指を動かす練習をずっとしていました。それを地道にやっていると、押さえられなかったコードも押さえられるようになるので。押さえられないコードはいったん諦めて、リズムをキープする練習を地道に行うと、押さえられなかったコードも押さえられるようになります。
― 諦めも肝心?
岸井 諦めも肝心! 諦めていると、いつしか押さえられるようになるんです。すごく不思議な、希望のある練習方法ですよね。
― 新たにギターを始める方が多い時期ですが、ビギナーへアドバイスやメッセージをお願いします。
岸井 私なんかがアドバイスをしていいのであれば…絶対に皆さんが直面するFコードこそ、諦めていると弾けるようになるということです。なぜかわからないのですが、諦めた時にポッと弾けるようになるので、Fの壁にとらわれずに、Fを飛ばして練習を続けると鳴るようになります。Fに負けないで(笑)!
Guitar: California Series™ Acoustic Malibu Player (Aqua Splash)
岸井ゆきの
1992年、神奈川県出身。2009年女優デビュー。その後、映画『友だちのパパが好き』やドラマ『真田丸』、舞台、CM出演など幅広いフィールドで活動。2017年に映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』で初主演を務め、第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。2019年、主演映画『愛がなんだ』でも話題を集める。その他にも映画『99.9-刑事専門弁護士-THEMOVIE』『やがて海へと届く』、ドラマ『#家族募集します』『恋せぬふたり』などに出演。2022年も映画『神は見返りを求める』『犬も食わねどチャーリーは笑う』『ケイコ 目を澄ませて』やドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』など、数多くの作品に出演。7月15日には初のフォトエッセイ『余白』を発売。
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