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SCANDAL BEST★Xmas 2021

ガールズバンドのSCANDALが、クリスマスライブ〈BEST★Xmas 2021〉を豊洲PITにて開催。その模様をレポート。

コロナ禍においても止まることがなかったSCANDALの前進を印象づける2時間超えの熱演

SCANDALのクリスマスライヴ、“ベスクリ”こと〈BEST★Xmas〉が2021年12月24日、豊洲PITにて開催された。コロナ禍の影響で、2020年は開催できなかったため、2年ぶりの開催となった今回。4人は代表曲を中心に新旧のレパートリーを、クリスマスライヴらしい趣向を交えながら全15曲披露。2022年1月26日にリリースされるニューアルバム『MIRROR』からこの日、初披露となる新曲も演奏した。2時間超えのライヴは、コロナ禍においても止まることがなかったSCANDALの前進を印象づけるものとなった。

ベスクリ恒例の中盤のトークコーナーでは、SCANDALの所属事務所の頼もしい新人アーティスト、Rin音とクボタカイに取材した“先輩SCANDALの印象”をネタに、サンタクロースという設定の影アナとメンバーたちが大いに盛り上がったのだが、トークを聞きながら、なるほどと思ったのが、Rin音が言った「いつ会ってもちゃんとSCANDALしている。4人それぞれに独特の空気感を持っている」というコメントだった。というのもこの日、SCANDALのライヴを観て、あらためてメンバーそれぞれのキャラクターの違いが表れたプレイは、音源ももちろんだが、やはりライヴで見てこそより楽しめるものだと感じたからだ。

その意味でも、SCANDALは生粋のライヴバンドなのだと思うが、だからこそ思うようにライヴ活動ができなかったコロナ禍の2年間は、彼女たちにとっても厳しい時期だったに違いない。しかし、「立ち止まったけれど、立ち止まらなかった」とMCでHARUNA(Vo,Gt)が語ったように、SCANDALはその中でさらにたくましくなったようだ。

「Flashback No.5」「A.M.D.K.J.」「STANDARD」とアップテンポのロックナンバーをいきなりたたみかけた序盤、4人を迎えた観客の反応が予想以上だったのか、「みんなの仕上がり、ハンパなくないですか⁉」とちょっとびっくりしながら、HARUNAは「この1年で、ライヴができる嬉しさはもちろん、こうやってみんながいて、応援してくれるおかげで、音楽を続けられるんだと身に染めて感じました」と語ったが、そんなふうに高まったモチベーションとともに臨んだライヴが盛り上がらないわけがない。

前述した序盤の3曲で、MAMI(Gt,Vo)の軽やかなカッティングとは対照的に、歪ませても音が潰れない力強いコードストロークをシグネイチャーモデルHARUNA TELECASTERで奏でたHARUNA。

「みんなが(会場に)足を運んでくれて、ちゃんとルールを守って、その中で思いっきり楽しむってことを一緒に作り上げてくれたおかげで、今年は2年ぶりにベスクリが帰ってきました。今日は思いっきり騒ぎませんか⁉」と呼びかけ、披露したのが切ないミドルテンポナンバーの「夜明けの流星群」。序盤の3曲――中でもメンバーが声を上げるダンスロックナンバー「STANDARD」からの大胆な緩急の付け方に、ライヴバンドとしての自信がうかがえる。その「夜明けの流星群」は、TOMOMI(Ba,Vo)とMAMIが重ねるハーモニーも聴きどころだが、ここではネイビーブルーメタリックのPrecision Bass (DELUXE ACTIVE P BASS SPECIAL)からナチュラルカラーのTOMOMI PRECISION BASSに持ち替えたTOMOMIのベースプレイに注目したい。

オーソドックスなプレイでずしっと存在感を主張しながら、高音もキレイに伸びる重すぎない音色が耳に心地いい。逆に言えば、ネイビーブルーメタリックのPrecision Bassを弾いた序盤の3曲の音色に、歪みも混じるプレイがいかにアグレッシヴだったか。その「夜明けの流星群」からつなげた「エレクトリックガール」で、TOMOMIは再びネイビーのPrecision Bassを手にスラップも交えながらお立ち台の上でベースソロを披露。観客を大いに沸かせたのだった。

今回は10回目のベスクリということで、恒例のジャニーズカバーの代わりに4人がマイク片手に踊りながら(と言うかステージを飛び跳ねながら)ラップする、全編打ち込みのダンスナンバー「SCANDAL IN THE HOUSE」を披露して、会場をさらに盛り上げる。そして、前述したトークコーナー、プレゼント抽選会を挟んでから、RINA(Dr,Vo)がカホンを叩きながら「eternal」と、MAMIがリードヴォーカルを担当した「アイボリー」の2曲をアコースティックバージョンで披露するというベスクリならではの心憎い演出も! バラードの「eternal」とフォーキーな「アイボリー」という曲調の違いにも、それぞれにリードヴォーカルを取るHARUNAとMAMIのキャラの違いが表れていたと思う。

そんな「eternal」では、MAMI STRATOCASTERに持ち替えたMAMIが、切ない歌に寄り添うようにクリーントーンの単音フレーズを奏でたのだが、MAMI STRATOCASTERの粒立ちの良さは、バラード「愛にならなかったのさ」のアルペジオを奏でた時、TOMOMIのTOMOMI PRECISION BASSの温もりある音とともに、よりはっきりと味わうことができた。

その「愛にならなかったのさ」は、彼女たちが1月26日にリリースするニューアルバム『MIRROR』の収録曲。この日、初披露となったわけだが、「愛にならなかったのさ」を演奏する前にHARUNAは『MIRROR』について、「コロナ禍の中、自分たちと向き合い、自分たちがどんなバンドなのか、メンバーそれぞれにどんな人間なのか、すごく考えた。そんな自分たちをちゃんと肯定して、立ち止まっている自分たちも悪くないと思いながら作ることができました」と語ると、「今までのアルバムとは若干違うかもしれないけど、それが今のSCANDALと受け止めてもらえたら嬉しいです。立ち止まったけれど、それでも止まらなかった1年半の自分たちが全部詰まっています」と付け加えた。

何やら変化の予感⁉ そんな思いはアンコールの1曲目に演奏した『MIRROR』収録の「one more time」でさらに大きなものになるのだが、ラストスパートをかけるように「Tonight」「最終兵器、君」「テイクミーアウト」「Image」とアップテンポのロックナンバーをたたみかけた終盤も、4人はそれぞれのキャラの違いを際立たせるような演奏を繰り広げていった。

例えば、SCANDAL流のミクスチャーロックと言える「Tonight」では、HARUNAとMAMIが鳴らす歪ませたギターに負けない太い音をTOMOMIはネイビーブルーメタリックのPrecision Bassで奏でたし、同曲のサビでは伸びやかな高音を生かしたリードプレイをMAMIがMAMI STRATOCASTERで披露。そして、“踊れ!”とHARUNAが声を上げた「テイクミーアウト」では、この日、終始パワフルなドラムで演奏を支えてきたRINAがひと際手数の多いプレイで、ファンクでラテンなリズムを叩き、観客を踊らせ、その熱気をメンバー一丸となった本編最後の疾走ロックナンバー「Image」につなげたのだった。

そして、迎えたアンコール。

「すごく新鮮で、個性的なアルバムになりました。もっと激しい曲をやってほしいと思う人もいるかもしれないけれど、どんなリスナー層も受け入れようと思って、自信を持って作り上げました」(HARUNA)

「新しくて面白い。SCANDALって楽しいです。本当に」(RINA)

RINAとHARUNAが新しいアルバムに対する期待を煽りながら披露した「one more time」は、アーバンでファンキーな魅力もあるポップナンバーだ。この日、MAMIが初めて手にしたソニックグレーのAmerican Professional Telecaster Deluxeは、カッティングの艶っぽさや薄くコーラスがかかっているような柔らかな音色で、そんな曲調にぴったりだった。 そして、ジャンプやワイプで応える観客と大きな一体感を作り上げ、ダメ押しで盛り上げたラストナンバー「SCANDAL BABY」では引き続きAmerican Professional Telecaster Deluxeを手に、軽いナチュラルな歪みとともに存在感のある音を作ったMAMIと、HARUNA TELECASTERで存分に歪ませた音色でパワフルにコードストロークを鳴らしたHARUNAの2人もまた、ダメ押しでギタリストとしての個性の違いを印象づけたのだった。


【SET LIST】

  1. Flashback No.5
  2. A.M.D.K.J.
  3. STANDARD
  4. 夜明けの流星群
  5. エレクトリックガール
  6. SCANDAL IN THE HOUSE
  7. eternal(Acoustic Ver.)
  8. アイボリー(Acoustic Ver. )
  9. 愛にならなかったのさ
  10. Tonight
  11. 最終兵器、君
  12. テイクミーアウト
  13. Image

ENCORE

  1. one more time
  2. SCANDAL BABY

SCANDAL : https://www.scandal-4.com/

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