SESSIONS in TOKYO | Cory Wong with Rei

Stratocaster誕生70周年を記念したFenderNewsの公開取材イベント〈Stratocaster 70th Anniversary Special Event with Cory Wong〉が、Fender Flagship Tokyoの地下1階にて開催された。ベース、ドラム、キーボードのメンバーを率いたバンド編成によるミニライヴが行われ、ゲストアーティストとしてReiも登場。愛用しているStratocasterの魅力を語った公開取材は大盛り上がり。昨年7月に新たなカラーが追加された限定リリースのシグネイチャーモデル、Cory Wong Stratocasterに関する貴重なエピソードも語られたインタビューの模様をお届けする。


Stratocasterはフェンダーのアイコニックな存在だし、ロックだけじゃなくてさまざまな音楽を作り上げてきた

──去年、〈FUJI ROCK FESTIVAL〉で来日した時もここでイベントをしたんですよね?

コリー・ウォン(以下:コリー) うん。ここは世界で唯一の場所だよね。階段に友だちのギタリストの写真もいっぱい飾られているし、来るたびにワクワクするよ。

──Fender Custom Shopのフロアもあるんです。

コリー 全部のフロアに行ってみたよ。いろいろなギタリストのシグネイチャーモデルも置いてあるし、楽しくて仕方がないね。

──コリーとReiさんは去年の〈FUJI ROCK FESTIVAL〉で共演しているんですよね?

Rei そうなんです。コリーと一緒にプレイすると、初めてギターを持った時の喜びを思い出します。今日いらっしゃっている皆さんも、コリーの演奏を聴きながら心がドキドキワクワクしたんじゃないですか? 私もいつもそうなんです。作品でご一緒した時も、素敵な刺激がありました。

コリー Reiとのフジロックのステージも楽しかったけど、スタジオワークも楽しかった。Reiのアルバムの曲「BPM」をプロデュースしたんだ。一緒にプレイすることで、自分の中にはもともとなかったものを引き出されるような感覚になった。お互いに良い相乗効果が生まれて、とても印象に残る体験だったから、こうしてまた会えて嬉しいよ。


──Stratocasterは今年で70周年です。二人ともStratocasterを愛用していますが、こだわりを教えてください。

コリー Stratocasterは幅広い音を作り出せるギターで、さまざまな音楽のジャンルを作り上げてきたんだよね。フェンダーのアイコニックな存在だし、たくさんのギタリストが使ってきて、ロックだけじゃなくてさまざまな音楽を作り上げてきた。エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックス、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、イングヴェイ・マルムスティーン、エリック・ジョンソン、ジョン・フルシアンテ、そして僕(笑)。

Rei ギターの絵を描くとなったら、Stratocasterを思い浮かべながら描く子供たちが多いんじゃないですかね。素晴らしいデザインですし、幅広い音楽にフィットする懐の深さも魅力だと思います。私は70周年記念の動画に出演してStratocasterを弾いたんです。出演した皆さんはそれぞれのスタイルを持っていて、このギターの偉大さを感じました。

──ReiさんのStratocasterのこだわりを教えてください。

Rei 私が今持っているのは、最近カスタムメイドで作っていただいたギターです。フェンダーの歴史を刷新するような仕様になっています。24フレットなので、メタルやフュージョンをプレイするようなルックスになりそうだったんですけど、フェンダーのギターらしい雰囲気になるようにボディーを少し小さくしています。ネックはバーズアイが入っている綺麗な木目で、Lead IIと同じ薄いネックシェイプにしているので私の手にピッタリなんです。テフロン加工のグラフテックパーツを使っているので、チューニングが安定するようにもなっています。まだ完成したばかりのギターなので、弾きながらお友達になっているところです。

──ギターとお友達になるためには、いっぱい遊ばないといけないですよね。

Rei そうですね。ギターは抱き締められて、身体との接点の面積が大きいところも好きなんです。


──コリーのシグネイチャーモデル、Cory Wong Stratocasterの特徴を紹介してください。

コリー 僕はもともとHighway One Stratocasterを使っていたんだ。当時の僕に手が届く価格帯のStratocasterがそれで、今でも弾いているくらい好きだったので、自分のモデルを作る際になるべく近い雰囲気のものを作りたかった。ボディの木目が見えるDaphne Blueのサテンラッカーフィニッシュ、白いパーロイドピックガードはHighway Oneの面影だね。ネックのグリップはAmerican Ultraシリーズに採用されているモダンDで、速弾きに適した薄いシェイプになっている。あと、カッティングした時のアタック音の立ち上がりにもすごくこだわった。キレ良く音が立ち上がってほしかったんだけど、一般的なStratocasterだと求めている感じが出せなかったんだ。もともと弾いていたHighway Oneはすごく良かったんだけどね。理由はHighway Oneのボディサイズが小さいからだと考えて、“僕が長年弾いているStratocasterのボディは、一般的なモデルよりも3%小さく作られていて、ボディ裏のコンター加工も10分くらい多く時間をかけて工場で削ったんじゃないかと感じる。それによってアタックの立ち上がりが良くなっている気がする”とフェンダーの人たちに言ったら、全然信じてもらえなかったんだけど(笑)。

──そうだったんですね(笑)。

コリー うん(笑)。そんなこんなでプロトタイプを作り始めてからしばらく経った頃に、ナイル・ロジャースも僕とまったく同じようなことを言ったんだって。そういう経緯もあって、一般的なStratocasterよりもサイズを縮小した新たなボディの型を作ってもらえることなったんだ。なかなか大変な作業だったみたいだよ。でも、実際にそういうギターを作ったことによって、僕とナイル・ロジャースが言っていたことが正しいと証明されたんだ。アタック音の立ち上がりが良くなったからね。


──その他の特徴はありますか?

コリー サウンドのサステインを稼ぐために、ちょっと大きめのヘッドストックになっている。ネックの質量が多いほど音は伸びるんだ。“ピックアップはセイモアダンカンのClean Machineがいいんじゃないか?”という話になったんだけど、僕はオーバードライブのサウンドも欲しかったので、それに合わせたオリジナルの設計にしてもらった。そして完成したのが、ポップスもファンクもジャズも弾ける、幅広い音楽に対応できるCory Wong Stratocasterなんだよ。

──幅広いサウンドを出すことができるギターですよね。

コリー うん。ピックアップセレクターの切り替えによって、いろいろな音が出るようになっている。このギターはみんな一本ずつ買うべきだと思うよ(笑)。



コリー・ウォン
驚異的なファンクプレイと独創的なリードギターで知られるギタリスト、プロデューサー、アレンジャー。グラミー賞にノミネートされたギタリストで、これまでに11枚のソロアルバムをリリース。また、VulfpeckとFearless Flyersのメンバーであり、アメリカの人気TVプログラム『The Late Show with Stephen Colbert』では、ジョン・バティステのバンドに参加し、後に特別ゲストとして出演。さらに、2021年には自身最大のバラエティショー・プロジェクトである『Cory and the Wongnotes』を発表し、音楽、コメディー、ハイエンドなコンテンツに対する素晴らしいビジョンと情熱を見事に反映した番組を提供している。
https://www.instagram.com/coryjwong/

Rei
卓越したギタープレイと歌唱力を持つ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、Les Eurockéennes、Heineken Jazzaldiaなどの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。2021年2月26日 1st Album『REI』のInternational Editionが、米国レーベルVerve Forecastより全世界配信。
2022年4月 コラボレーションアルバム“QUILT” をリリース。細野晴臣、渡辺香津美、山崎まさよし、Cory Wongを始めとする親交のあるミュージシャンと共に作品を彩る。2022年8月にはForbes JAPAN誌が発表した「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出される。
https://guitarei.com

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