Interview | ハマ・オカモトがシグネイチャーモデルに込めた想い -後編-

Hama Okamoto

2015年10月に発表されて以来、“シグネイチャーモデル”という枠を超えて幅広い層から支持を得ているベースが存在する。それがハマ・オカモト(OKAMOTO’S)の理想を具現化したモデル、HAMA_OKAMOTO PRECISION BASS® “#4″だ。果たして本モデルはどのようにして誕生したのか、その物語をお届けする。後編は、ささやかながら強いこだわりが詰まった“リニューアル”について。

フェンダーの良いところは、自分の力で“鳴らしていく楽器”だということ
 

前編では、HAMA_OKAMOTO PRECISION BASS® “#4″が生まれるまでの過程をハマ・オカモトに聞いたが、このほど、新色が加わるなどリニューアルが行なわれた。

「当初このモデルが発売した際には、東名阪の楽器店でイベントを行なったりして、楽器店の店員さんからの声を聞く機会が増えました。おかげさまで好評をいただいていて、それはとてもありがたいと思っていたのですが、同時にカラーバリエーションがほしいという意見も多かった。ただ、僕はステージ上ではサンバーストカラー以外のPrecision Bassはあまり使っていないので、それ以外のカラーで僕のモデルを作ることに少し違和感がありました。一方で、オリンピックホワイトのボディにべっ甲柄のピックガードの組み合わせた楽器が求められているという現場の声を聞いたとき、僕自身も楽器好きなので“その気持ちはすごく理解できる!”とは感じていました。あと、SNSを見てくれている人はご存知かもしれませんが、実は最近、ライヴなどでオリンピックホワイトのPrecision Bassを使っているんです。しかも気づけば、シグネイチャーモデルの発表からもう2年が経っていて。そういったタイミングが重なって、今回のカラーバリエーションが実現しました」

加えて、とてもマニアックな観点ではあるが、実は2018年以降に出荷されている個体については、ピックガードの色合いのニュアンスが以前のものとは微妙に異なっていることも特筆すべきポイントである。

「ピックガードの色味については、僕がメインで使用しているPrecision Bassに近い風合いを再現できないかということを、フェンダーのチームと常に話をしていました。そんな中、ついにフェンダーのスタッフが新たなピックガードの素材を見つけてきてくれたんです。そこで、リニューアル後に製作されたものから順次載せかえています。これこそまさに、あきらめずに尽力してくれたスタッフの功績だと思いますね」

さらに本稿では、日本国内で生産されるモデルが2017年に“MADE IN JAPANシリーズ”として生まれ変わったことも付け加えておきたい。日本製フェンダーが生まれて35周年を迎えたこの年、フェンダーカスタムショップのマスタービルダーとして腕を鳴らしたクリス・フレミングによって製造工程をイチから見直したのだ。当然ながら、国内生産であるHAMA_OKAMOTO PRECISION BASS® “#4″にも、その技術が反映されているのである。

「楽器も常に進化していくものですから、今回のリニューアルによって、さらに広まってほしいと思います。その一方で、発表当時にいち早く手にしてくれた人は、むしろ“自分の持っているものは初期ロットなんだ”と誇ってほしいですね」

最後に、ハマ・オカモトからメッセージをお伝えしよう。

「フェンダーの良いところは、楽器を弾く楽しみがあることは当然ながら、自分の力で“鳴らしていく楽器”だということだと思っています。弾き込むことで変わっていく余白があって、その変化を受け止めるだけのクオリティが確実にある楽器だと思います。その中で、僕のモデルを最初の踏み台として買っていただければありがたいですし、このモデルを基準にして様々なベースを弾くことで、他の楽器との違いなども感じてもらえるといいと思います。そう言い切れるくらい、取り扱いやすくて“スタンダード”と呼べるベースになったと思います。もちろん初心者だけでなく、実際に“30年ぶりに楽器を買った”というご年配の方の声もいただいているので、色々なシチュエーションで自分の中の“音の引き出し”になってくれればいいなと思っています。とにかく楽器は、実際に弾かないとわからない部分が多いものなので、ヘッド裏の僕のサインは削ってもらっていいって言いたいくらい(笑)、普遍的に活用してもらいたいです」

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Hama Okamoto

HAMA_OKAMOTO PRECISION BASS® “#4”
「ありそうでなかった弾き易いプレシジョンベース」をテーマに、ハマ・オカモトが提案する「HAMA_OKAMOTO PRECISION BASS® “#4″」は、PRECISION BASS®でありながら、JAZZ BASS®のスリムなネックシェイプを採用。新カラーのOlympic Whiteの登場と同時に、「RED TORTOISESHELL」のピックガードの採用や、製造工程の見直しなので、よりクオリティの高いモデルに仕上がっている。 メーカー希望小売価格: 104,500 円(税抜)

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PROFILE

ハマ・オカモト(OKAMOTOʼS)
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’Sのベーシスト。2010年日本人男子として最年少でアメリカの音楽フェス「SxSW2010」に出演。アメリカ七都市を廻るツアーや豪州・アジアツアーなど、海外でも活躍。これまでシングル8作品、アルバム7作品を発表。2017年8月2日には約1年半ぶりとなるオリジナルフルアルバム「NO MORE MUSIC」をリリース。また、2017年10月には、東京・中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを開催し、瞬く間に即完。10月30日より年またぎで全国23か所を回るツアー「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」を敢行、大盛況のうちに終了した。フェンダーミュージカルインスツルメンツコーポレーションの日本人ベーシスト初となるエンドーサーでもある。
› Website:http://www.okamotos.net/

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