B x B | ウエノコウジ(the HIATUS、Radio Caroline)× わかざえもん -後編-
自分を解放できるのはやっぱりライヴだと思う
日本を代表するベーシスト同士による対談企画「B×B」。今回は、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTやthe HIATUSなどでロックシーンを牽引し続けるウエノコウジと、若手ベーシストとして頭角を表している“わかざえもん”が登場。高校の時に初めて演奏した曲がTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「Get Up Lucy」だったというわかざえもん。世代を超えたトークからベースの普遍的な魅力が垣間見れる。対談の後編では、Jazz BassとAmerican Professional IIシリーズの魅力、そしてベーシストとしての夢について語ってもらった。
ヴィンテージにはヴィンテージの音があって、新しいものには新しい音がある(ウエノコウジ)
― 対談後半はJazz Bassについて。わかざえもんさんと言えばジャズベですが、ジャズベを持つようになったきっかけは?
わかざえもん たまたま見つけた入門セットがジャズベだっただけですね。初めはプレベとジャズベの違い、ましてや音の違いなんて全然わからなかったので。ベースと言えばジャズベのビジュアルイメージがあったので、“これだ”と思って買ったんです。それからは、ずっとジャズベを弾いています。あと、スラップをするので、指の置きどころがあるのもずっとジャズベを使う理由ですね。
― ジャズベは何本持っていますか?
わかざえもん 5本だと思います。その内の1本が65/66年製のヴィンテージです。そもそもヴィンテージを買うに至った理由は、American Professional Iを買ってフェンダーの音を知ったんです。それで、アメプロの元になっているヴィンテージってどんな感じかな?と思って、ヴィンテージのジャズベを買ったんです。
― 新作のAmerican Professional IIをこの対談が始まる前に弾いてもらいましたが、いかがでしたか?
わかざえもん アメプロ1と音の方向性が違って、アメプロ2はローが膨らんで野太く聴こえました。なので、それぞれに使いどころがあるというか、どちらにも良さがあるなと思いました。あと、ネックの手触りがすごく良くなっていて、めちゃめちゃフィンガリング(運指)しやすかったですね。
― ネックは角をより丸く仕上げ、サテン仕上げもより細かくなっています。アーティストから人気の高かった60年代のシェイプを採用しているので、ヴィンテージを持っている方からも評判がいいです。
わかざえもん だから、今日初めて弾いたのにネックの馴染みが良かったんですね。
― わかざえもんさん的に、American Professional II Jazz Bassをどんなシーンで使ってみたいですか?
わかざえもん さっき弾いて音を聴かせてもらった印象だと、ジャンルを選ばないサウンドでした。リアのトーンの効きも良かったので、いろいろなシーンで使ってみたいですね。メインで使っているヴィンテージよりも、ミッドローの倍音をすごく感じたので、今風な音楽というか、同期が走っている音楽の中でもちゃんと沈んでくれる気がします。
ウエノコウジ(以下:ウエノ) そこが一番耳につくところだからね。
わかざえもん はい。早くアンサンブルの中で聴いてみたいですね。
ウエノ ヴィンテージにはヴィンテージの音があって、新しいものには新しい音があるからね。
わかざえもん そうですね。どちらにも良さがあるし、適材適所があると思うんです。あと、アメプロ2はスラップのちょっとしたコンプ感がすごく良かったです。
― 短時間でそこまで特徴を把握していただいて。
わかざえもん 私、緊張して30分前に着いていたので、すっごい弾いてたんです(笑)。
好きで始めたので生涯ベースを弾いていたい(わかざえもん)
― ベーシストとしての今後の目標や夢を教えてください。
ウエノ バンドでハイエースに乗っていろいろな土地を廻ることしかやってきていないので、やっぱりライヴをしたいな。俺、ライヴハウスが好きなので。20代、30代はライヴハウスか高速道路上にしかいなかったので。ライヴをしながらまたレコードを作って…ができればいいけどね。今はなかなか難しいところもあるけど。まぁこんな状況でも、俺はライヴをやっているほうだけどね。
― わかざえもんさんは?
わかざえもん 好きで始めたベースなので、生涯ベースを弾いていたいなと思います。いつも思い付いたことを何でもやっているんですけど、50代になった時にウエノさんみたいに“レジェンド”と呼ばれるベーシストになって、自分に憧れてベースを始めたっていう人がいるようなベーシストでありたいです。
ウエノ バンドをやろう! バンドがいいよ。
わかざえもん バンド、やりたいんですよね。
ウエノ もちろん、家で一人で弾くのも楽しいと思うけど、バンドはもっと楽しいから。
わかざえもん 家での鍛錬も大事ですけど、バンドはまた別の楽しさですよね。
ウエノ 俺らの頃から比べるとネットが普及して、一人で弾いていてもその音楽は広がると思うけど、スタジオに行ってライヴハウスに行って、アンプにケーブルを差してバッて音を上げてガッと弾いた時、普段はダメな奴でも“今の俺最高”って思うような気がするんだよね。俺はやっぱりそういうところが好き。
わかざえもん そのリアルな感動って、やっぱりライヴじゃないとですよね。
ウエノ 特にベースはドーン!と体にくるからね。
わかざえもん そうですね。家で弾いている時はストイックな楽しさもあるけれど、自分を解放できるのはやっぱりライヴだと思います。
― それでは、あなたにとってベースとは?
わかざえもん 人生で唯一、打ち込み続けられていることかな。習い事はたくさんしていたけど、大人になってまで続けることがなかった。でも、ベースは自分で選んで弾き始めて、今に至るまで“弾きたくない”と一切思わずに続けて、周りからもなぜか応援してもらえるんです。応援がなかったら、続けてこられなかったと思うんです。
― 壁や挫折はありませんでしたか?
わかざえもん ありますね。スタジオミュージシャンとして活動させてもらっている中で、一緒に演奏する人たちは先輩が多いわけです。圧倒的に知識も実力もキャリアもある人たちの中にいると、自分が足りないなって思うことが3日に1回くらいあるんです。毎日それと戦って、ひとつひとつ潰して、すぐに潰れないことは長い時間をかけて潰していく。そんな壁には毎日ぶつかっています。
ウエノ そのぶん、絶対にどんどん強くなるんだよ。
わかざえもん そうだと思います。なので、非常にありがたい環境だと思います。環境ということで言えば、逆に今ベースを始めていたら、こうやってライヴもできない状況なので本当に恵まれているなと思います。
念を入れると伝わるものがあると思っている(ウエノコウジ)
― ウエノさんにとってベースとは?
ウエノ フェンダーの取材で言うのもヘンだけど、“上手い=すべて”じゃないと思っているの。ベースとは何か?と聞かれたら、上手いとか音がキレイとかじゃなくて、俺はもっと念を込めたいわけですよ。不恰好でもヘタでもいいけど、念を入れると伝わるものがあると昔から思っていて。想いと言ってもいい。とにかくベースに関しては、レコードだろうがライヴだろうが念を込めたいのよね。そういう念を込められるのがベースなんだよ。別にヘタでもいいんだ。何も込められなかった時に後悔するだけで。
わかざえもん 私も念を込める楽器って言えば良かったです(笑)。
ウエノ あはは! キレイな演奏はすごいと思うけど、俺にとってはあまりグッとこないんだよね。でも、はみ出したところがあると“おぉ!”ってなるのが、俺にとってはものすごく好きなポイントなのね。好きなジャンルによっても違うんだろうけど。
わかざえもん めっちゃわかります。だからバンドマンって、それに“賭けている感”がカッコいいんですよね。ベースがカッコいいとかじゃなくて、ステージに上がっているその人たちがカッコ良くてバンドだから、見てて楽しいし飽きないし、何回も聴くんだと思うんです。やっぱりバンド組みてー!
ウエノ バンド組もう! 俺らベーシストだからどうにもならないけど(笑)。
― 最後に、ビギナーへアドバイスをお願いします。
わかざえもん “何から練習したらいいですか?”とか、“基礎練はどうしていましたか?”という質問がよく来るんです。私的には深く考えず、自分の好きな曲を演奏してみるところにまずは楽しさを見出してほしいなと思っていて。あわよくば、周りに楽器をやっている人がいるなら、一緒に演奏するのがいいと思います。最初は気負うかもしれないけど、誰かと一緒に演奏してみて、楽しんで続けていってほしいなと思います。
ウエノ まさしくその通りですよ。俺はまたおじさん臭いこと言うけど、やっぱりルーツがすごく大事なのよね。最初にこれがカッコいい!と思ったものが、未だに俺らの中に残っているから。最初に感じたことを大事にしてほしいな。あるバンドが好きだったら、そのバンドが何に影響を受けたか調べていくと、枝分かれしていて無限でしょ? そのルーツを大事にしていけば、絶対に続けられる。で、何度も言うけどバンドは組んだほうがいいよ。人とやろうよ。バンドは人間がやるもんだから。機械とやるものじゃない。そこがまたいいんだよね。
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ウエノコウジ
91年よりTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのベーシストとして活動。2003年、Radio Carolineを結成。2008年、武藤昭平 with ウエノコウジの活動を開始。2009年からはthe HIATUSのメンバーとして活動。
また、加山雄三が結成したバンド“THE King ALL STARS”、吉川晃司のツアーサポートを務めるなど、幅広いフィールドで活躍している。
› Website : http://ueno-koji.com
わかざえもん
数々のバンド、アーティストのサポートを経て、マキシマム ザ ホルモン2号店としてホルモンの楽曲を自由にアレンジして活動できる公式フランチャイズバンド“コロナナモレモモ”に加入。現在は様々なアーティストのサポートベーシストとしても活躍中。
› Twitter:@waka_lh
› YouTube : https://t.co/j2GkzcPNZX?amp=1