Style of Modern Vol.3 | あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)
想像を超えたヘヴィサウンドで、現代のプレイヤーを刺激する日本製のモダンスペックシリーズMADE IN JAPAN MODERN SERIES。本シリーズのインプレッションを動画と写真で切り取る『Style of Modern』。常に新しいものを生み出し続けるアーティストたちにとって、MADE IN JAPAN MODERN SERIESはどのように映るのか。第3回目はTHE ORAL CIGARETTESよりベーシストの“あきらかにあきら”が登場。
― さて、今日は“モダン”というキーワードでお話をお聞きしたいのですが、あきらさんの中でモダンな音楽、新しい音楽とはどのようなものですか?
あきらかにあきら(以下:あきら) 新しい人が作る音楽は新しい音楽なのかもしれないですけど、その人たちにも絶対にルーツはあるんですよね。何も聴かない中で新しい音楽は生まれないと思うので。音楽は語り継がれていくものなので、2次創作みたいなイメージはありますよね。それで、音楽の歴史についてちょっと勉強したんです。クラシックより以前は、宗教に基づいてみんなで歌う聖歌があったり。
― そこからですか!?
あきら 結局、思想と音楽が結びついて一体感を生むと思うと、今の音楽と本質は変わっていないんだなと。音楽というジャンルに関して言えば、サウンドや作り方が新しいという話で、音楽自体が新しくなっているわけじゃないと思っています。
― バンドとしてどうやって新しい曲を生み出したり、アプローチを考えていくのですか?
あきら 自分たちの中で新鮮であれば楽しいので、そこを意識していますね。曲を作る時は、世間よりも僕らにとってどんな意味がある曲なんだろうとか、何を意識すれば僕らにとって初めての挑戦で楽しいだろう?という発想です。“新しいジャンルを生み出そう”というより、昔のジャンルの音楽を僕らが表現するとしたらこうなった、自分たちの中ではそれが新しい、という順番で新しい曲を作り続けています。
― その引き出しはメンバーそれぞれが持ち合うのですか?
あきら 基本的にヴォーカルの(山中)拓也が持ってきますね。そのイメージを崩さないようにイメージを共有して、それを各々が探ってアプローチをかけていきます。
― 例えば、4月末にリリースされたアルバム『SUCK MY WORLD』では?
あきら 『SUCK MY WORLD』は昔の音楽をフィーチュアしたので、ゴスペル、R&B、ソウル、ポストパンクなどが元ネタになっています。今、日本でそれをやってもどうなんだろう?という意見もあるけど、僕らはやったことがないし、逆に今これらの音楽を提示することで伝わるメッセージ性にフォーカスを当てて、リスペクトを込めようというモチベーションで作りました。
― なるほど。
あきら 同じことをやり続けたほうが印象づけられるのはわかるけど、僕ら自身が飽きやすいので(笑)。拓也と僕の2人でこのバンドを結成したのですが、その時のモチベーションが“やりたいことをやろう”だったんです。だから、今やりたいことをそのまま投影しています。
― ベースについて聞きたいのですが、5弦ベースはいつから弾いていますか?
あきら メインは4弦ベースですけど、曲によっては5弦ベースを弾いています。ライヴで初めて5弦ベースを弾いたのは一昨年の秋ですね。
― きっかけは?
あきら 普段使っているベースの色違いを集めるのにハマっていて、気分によって色を変えようと思って他の色を探していたら“フレットレスの5弦ベースがあるやん”って。4弦が良かったな、でもフレットレスも欲しいし見に行ってみようと思って見たら、5弦ベースって面白いなと思って。低音弦が増えるから、単純に今まで弾けなかったポジションが弾けるし音楽の幅が広がる。一昨年のツアーで、新しくアコースティックアレンジをし直した楽曲に対してのアプローチで、5弦のフレットレスベースを使いはじめました。回り回って今日、フェンダーの5弦ベースに巡り会えて、実はすごく嬉しいです。
― そもそも、フェンダーとの出会いは?
あきら 初めて弾いたベースがフェンダーです。インディーズの頃もずっとフェンダーのPrecision Bassを使っていました。昔はずっとそのプレベを使っていたし、今もライヴで使いたい曲があります。でも、家でいつも目に見えるところに飾っていますね。初めて買ったベースなので。
― なぜプレベだったのですか?
あきら 先輩がくれたんです。僕にとって尊敬する先輩だったので本当に大切に使いましたし、すごく思い入れがあります。
― そのプレベはいかがでしたか?
あきら めちゃくちゃパンチあって、“こんな爆音が出るんや”って驚いたのと、とにかく軽くて驚きました。その軽さがなかったら、ライヴで動き回る僕のパフォーマンスはなかったと思います。初めて手に取る楽器って、演奏する人のスタイルを作ると思うんです。そういう意味では、最初にフェンダーのプレベと出会えてすごく良かったと思っています。未だにそのプレベと比べて軽さを判断しちゃいますし。ベースの基準になっていますね、フェンダーのプレベが。
― 今回のMADE IN JAPAN MODERN SERIESの5弦ジャズベ(MADE IN JAPAN MODERN JAZZ BASS V)はいかがでしたか?
あきら 実は初めてのJazz Bassなんです。
― ジャズベに対してどんなイメージを持っていましたか?
あきら プレベに比べるとピックアップが2つあるから、どうやってバランスを取るんだろう?という印象がありますね。あと、ベースのことをまったくわかっていなかった頃、“このジャンルやるならプレベ。このジャンルやるならジャズベ。君はどっち?”みたいな宣伝文句をよく広告で見ていて、“俺はプレベだ!”という気持ちでジャズベを触らなかったんですけど、今日実際に弾いてみたらめちゃくちゃ弾きやすかったですね。僕のジャズベのイメージって、フロント面が平らで裏側も平らで、体のラインに合わないんじゃないかって勝手に思っていたんですけど、裏面が体にフィットしていたので全然知らなかったという印象。正直、使いこなせる自信はなかったけど、楽しく弾けましたね。
― そもそもジャズベは、ジャズメンが座って弾く用にボディにくびれをつけているので体にフィットするのですが、出音はどうでしたか?
あきら 今回は初めてなのでイコライザーをフラットにしたんですけど、めちゃくちゃパンチのある出音でしたね。生音もバチバチいってました。僕はいつもメイプル指板を使っているのですが、今回はローズ指板なのでもうちょっと反応が遅いかと思ったんですけど、案外そこも変わらず、むしろ吸い付いてくれてとても良かったです。正直、ちょっと甘く見ていました。カッコいいなと思っています、今。
― 実践でも使えそうですか?
あきら 使えると思います。みんなにとって使いやすいベースなんじゃないかなと思います。
― どんな曲に使いたいですか?
あきら 激しい曲に合うと思いましたね。スラップの音が抜けていたのも良かったです。もともとの楽器のスペックが高くて、弦高を少し調節してもらったくらいで弾けたので、さすがフェンダーという感じですね。
― コロナ禍で家での時間が増えて、楽器を始める人も多いそうですが、ベースという視点からコピーするのにオススメのオーラルの曲は?
あきら 自分の実力に合った楽曲をその都度作っているので、最近の曲だと難しいものばかりかもしれません。そう考える2ndシングルの「エイミー」は弾きやすいと思います。わりとルート弾きだったりするし、ベース歴2年で弾いていた曲なので弾きやすいかもしれないですね。
― では最後に、ビギナーの人たちにメッセージをお願いします。
あきら “自信がないのが悩み”という人も多いかもしれませんが、僕もまだ自信がない時はありますから。ステージ上であれば自信はありますけど、初めてのお仕事では自信がない時もあって。でも、楽しかったら続けてほしいなと思います。自信はあとからついてくるし、練習したぶんだけ変わるので。“自信がない”でつまずいて、踏み出せないのはもったいない。楽しんだもの勝ちだと思います。
MADE IN JAPAN MODERN JAZZ BASS® V
Modernシリーズは演奏の技術レベルが著しく向上している現代のプレーヤーに最高峰のプレイアビリティとトーンを提供するために開発された日本製シリーズ。そのModernシリーズに、待望の5弦仕様モデルJazz Bass® Vがラインナップに追加されました。
PROFILE
THE ORAL CIGARETTES
2010年、奈良にて結成。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。メンバーのキャラクターが映えるライヴパフォーマンスを武器に、全国の野外フェスに軒並み出演。2017年6月には初の日本武道館公演、2018年2月には地元関西にて大阪城ホール公演を開催し両日とも即日完売。リリースした作品は常に記録を更新し、 2020年4月リリースの5thアルバム「SUCK MY WORLD」は前作「Kisses and Kills」に続きオリコン初登場1位を獲得。9月から半年に渡り、アリーナ4公演含む全国ワンマンツアー〈Kisses and Kills Tour 2018-2019〉、2019年5月には初のアジアツアー〈KK Tour 2019 in Shanghai/Beijing/Taipei〉を開催した。そして、9月には大阪泉大津フェニックスにて初の野外イベント〈PARASITE DEJAVU 〜2DAYS OPEN AIR SHOW〜〉を開催し、2日間で約4万人を動員。BKW!!(番狂わせ) の精神でロックシーンに旋風を巻き起こしている。
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