Code "F" Vol.1 | Mega Shinnosuke

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ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが”F Chord”。このコードを上手く押さえられずにギターを辞めてしまう人が多いが、ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる『Code “F” 』。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。第1回目は、2000年生まれの新世代クリエイター”Mega Shinnosuke”が登場。


もともと僕は全然コピーもしていないし
挑戦がないので挫折もないですね
 

―  ギターを弾き始めたきっかけは?

Mega Shinnosuke  中1で野球部に入ったんですけど2週間で辞めて。暇すぎて、とりあえずクリエイティヴなことをしたいとなぜか思ったんですね。スケボーを始めてみたけど向いていなくてすぐに辞めて。それでギターを買ったんですけど、弦が1本切れた状態で家にホコリを被ったままで終わりました。何をすればいいのかもわからなくて、指先が痛い、で終わりました。一日坊主ですね。だけど、最初にギターに触ったきっかけはそれです。後々、曲を作るためにちゃんと弾き始めるのが4年後ですね。

―  ビギナーの最初の壁、Fコードはどうやって乗り越えましたか?

Mega Shinnosuke  4年後に曲作りのためにギターを再開した時、最初にアコギを買ったんですよ。でも、アコギのほうが弦が太いじゃないですか。そのあと、そう言えばエレキってあったなと思ってまたエレキを買ったんです。そしたらエレキ弦が柔らかくて、“これならやるしかない”となぜか思って、エレキで弾き語り。弾き語りと言えばアコギというイメージだったんですけど、エレキに段階を下げて、妥協だけどそれでやるかみたいな。だったらもうやるしかないみたいな感じです(笑)。Fコードはグッと力を入れて毎日弾いていたら、エレキ弦の硬さに慣れてきてアコギも最終的に弾けるようになりました。

―  それ以降、ギターを弾く上で挫折はありましたか?

Mega Shinnosuke  いや、もともと僕は全然コピーもしていないし、挑戦がないので挫折もないですね。もともと、ギター弾きになりたいって思っていないから。最近ですからね、ギターをもうちょっと上手くなりたいなと思ったのは。たぶん、普通に軽音楽部を頑張っている高校2年生よりも僕は弾いていないと思います

―  憧れのギタリストはいましたか?

Mega Shinnosuke  憧れのギタリストというよりは、ギターがファッションとして似合うというか、ギターを持っていないとしっくりこない雰囲気には憧れますね。

―  それで言うと誰が理想ですか?

Mega Shinnosuke  フリッパーズ・ギターは最近見てていいなぁと思いますね。あと、海外のアーティストが持っているヘンなギターがすごく好きですね。例えば、Peach PitというカナダのバンドはMVごとにギターが違ったりするんです。ヘンな形のギターを使っているんですけど、前にMVで見たギターを楽器屋で見つけて弾いたら、すげぇヘンな音で使い物にならなくて。でも、見た目も含めて鳴ってくるサウンドは違うので。

―  影響を受けたミュージシャンは?

Mega Shinnosuke  それがあまりいなくて。僕はどちらかと言うと、ラッパーとかのほうが好きなんですよね。ギターを練習しても大して弾けないから、ギタリストの道を極めようともしていないので。ただ、ラッパーもファッション的な雰囲気から始まるでしょ? ロックなファッションっていうのは、やっぱりギターがマストというか。そういう意味でカッコいいと思う人はいます。僕の活動には結びついていないですけど、ニルヴァーナのカート・コバーンはギターとともに全体がカッコいい。ギターがあるからこそ、生み出されている動きだと思います。あの激しさ、映像に残っているカッコ良さは、絶対にギターがあったからこその動きだと思うので。

―  音楽業界も注目しているしYouTubeの再生回数もすごい。どうやって可能性を拓いたのですか?

Mega Shinnosuke  YouTubeで大衆に見られる場ができて、さらにYouTubeのレコメンド機能が良かったのもあると思うんですけど、僕的にはあまり可能性が拓けた感じはしていなくて。むしろ、あっさり広まっても可能性は拓けていないんじゃないかな?という気もします。若いアーティストが出やすい時代だけど、結局、そのあとにどう可能性が拓けるか未開の部分が多いから。個人的には、可能性が拓けるとはまだ言い切れないんじゃないかなと思いますし、拓けたとみんなに思われても、拓け切ったと思われたら終わりなんで。拓けているなと感じてもらうために、これからどうしたらいいのかなって。

―  でも本人的には時代とのマッチングも含めて、手応えは感じていますか?

Mega Shinnosuke  そうですね。ある程度は形になっているから。でも、それだけ出やすい時代ってことだから、出てくるアーティストも質より量という傾向になっていくと思っていて。現代はアーティストをたくさん出して、とりあえず若手で括って、若いということで親近感で売っていきたいのは時代にマッチしているけど、自分の理想とはマッチしていないので、そこをどうマッチさせていくかですね。

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―  では、Mega Shinnosuke的には何を売りにしていきたいですか?

Mega Shinnosuke  売りにしていきたいというか、僕は売れたいというよりは、単純に音楽を通じて、クリエイティヴを通じてライフスタイルを向上させたいだけなので。だから“このアーティストが売れます”という感じじゃなくて、生活の一部として、生活を楽しんでいる人たちと共有していきたいなって。その点においても、ファッション的にギターがあることも大事。ただギターを上手くなりたいだけじゃなくて、ギターが結果的にどう自分の人生において趣味を超えて馴染んでいくか、それがどういう幸福をもたらしてくれるかも含めて、ギターは面白いなと思います。

―  そのビジョンにおいて夢や野望はありますか?

Mega Shinnosuke  将来的に有名になる=活動がステップアップしていく。それは絶対につながると思う。有名になっていく理想の形として、例えば僕は原宿が好きなんですけど、竹下通りとかでヘンな絡まれ方をしたくないですね。“いい人キャラ”と“偶像キャラ”が日本で一番売れやすいと僕は思っているんですけど、そうではなくて、人間としてちゃんと生きてるよというのが伝わる形で広まっていきたいんです。特に2000年代はそういうキャラクターによって売れた人がすごく多い。でも90年代は逆に人間として売れている人が多かった。人間として売れたほうがコミュニケーションとして音楽ができるし、街中で見かけても絶対に捉えられ方が違う。より生活に支障がない(笑)。有名になったことによって支障が大きくなったというより、単純に自分のことを好きでいてくれる人が増えたという印象になるような活動をしていきたいですね。

―  要は、表に出る時と普段の時の差がないってことですよね?

Mega Shinnosuke  うん。今このインタビューで喋っていることも、普段から喋っていることだし。単純に自分の趣味嗜好の中で変化していくところを、そのまま楽しんでくれるファンの人がたくさんいるから、そのまま広めていきたいなと思うんですけどね。

―  今日持ってきたStratocasterは?

Mega Shinnosuke  今はメインギターが2本あって、そのうちの1本です。

―  どうやって手に入れたのですか?

Mega Shinnosuke  1年前に福岡から上京したんですけど、福岡にいた頃、別の会社の安いギターを買ったんです。そしたら6弦がめちゃくちゃビビるから返品して、違うギターを買いたいんですよって言ってすすめられたのがこのストラトでした。なので、こだわって買ったわけじゃなくて(笑)。フェンダーともう1社しかギターメーカーを知らなかったんですよ。で、そのうちのフェンダーだ!と思って(笑)。

―  最後に、ギターをこれから始める人やビギナーにメッセージを。

Mega Shinnosuke  初心者セットは買うな、ですかね(笑)。初心者も上級者も括りないから。“続いたら奇跡”くらいで始めることです。あと、ギターが弾けてもモテない。モテたいならサッカーやれ。これがみなさんに贈りたい一言です(笑)。

PROFILE


Mega Shinnosuke
2000年、東京生まれ福岡育ち。2019年4月より東京在住。作詞、作曲、編曲を全て自身で行う。2017年秋よりオリジナル楽曲の制作をスタート。2000年代生まれならではのフットワークの軽さと、時勢をキャッチするポップへの嗅覚を武器に、どこか懐かしさもある印象的なメロディーをロック、シティポップ、ガレージ、オルタナ、ヒップホップなど、ジャンルを横断したサウンドに乗せる。音楽以外にも、アートワーク、映像制作に携わるなど、すべてをセルフプロデュースで行う新世代のクリエイター。
› Website:https://megashinnosuke.com

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