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The Players | 中嶋イッキュウ(tricot、 ジェニーハイ)

多様なサウンドをもたらす刺激的な楽器を求める、次世代のミュージシャンのためにデザインされた「Acoustasonic Player Telecaster」。唯一無二の音世界でシーンを切り開くアーティストに、その前衛的なモデルのインプレッションを聞くとともに、ギターとの関係について迫る「The Players」。第4回目はtricotのヴォーカル&ギターであり、ジェニーハイのヴォーカリストとしても活躍中の中嶋イッキュウが登場。

ギターは世界が広がる道具

― 音楽への目覚めときっかけ、最初に影響を受けたアーティストを教えてください。

中嶋イッキュウ(以下:中嶋) 誰だったかは全然覚えてないんですけど、小学生の頃、何気なくテレビを観ていたら、歌手の方が歌い終わった時にすごく拍手をもらっていて、拍手をもらえる音楽がカッコ良く見えたんですよ。何となく自分も褒められたいというか、すごいと思われたいなって。たぶん、音楽に目覚めたのはそういう動機だったと思います。最初に影響を受けたのはモーニング娘。です。オーディションに応募したのですが、書類審査で落ちました(笑)。

― 楽器を始めたきっかけ、お手本にしていたアーティストは?

中嶋 中学校では柔道部で柔道に打ち込んでいたので、いつかは歌手になりたいっていう夢はまったく消えてはいなかったんですけど、忘れていましたね。柔道である程度上手くいって、推薦とか特待生とかがたくさん来て、高校でも柔道を続けようと思っていたんですけど、ギャルの友達に“大津高(滋賀県立大津高等学校)に行こう!”と言われて。大津高校に柔道部はなかったんですけど、受けたら受かって。そのギャル友はバレー部の推薦で違う高校に行ったので、一人取り残されて“あれ?”と思ったのですが(笑)、大津高校は軽音楽部が有名らしいという話を聞いて軽音楽部に入ったんです。
軽音楽部は人気がある部活だったので、入部するのにもオーディションがありました。4回までオーディションがあるんですけど、4回落ちたら入部できないんです。私は最後の4回目で受かって、入れてもらえた感じでした。

― 厳しいですね。

中嶋 はい。だからレベルで言うと、入部した段階で“あなたは一番下ですよ”と言われている感じでした。ちなみに、1回目のオーディションで受かる人はほとんど居ないらしいのですが、唯一受かった人がいて。それがキダ(キダ モティフォ)さんなんです。一個上の先輩で、もうギターヒーローでしたね。なので、軽音楽部でキダ先輩に出会った時は、スターと最下層の人として出会っている感じですね。軽音楽部のみんながキダ先輩とバンドをやりたい、というような感じでした。

― それでキダさんとバンドを?

中嶋 高校ではキダさんと交わることはなかったです。しゃべったり遊んだりコミュニケーションはめっちゃあったんですけど、バンドとして一緒にやることはありませんでした。高校卒業後に“もっと学ぶぞ!”と思って、専門学校に行って歌を専攻していたのですが、その頃、私が組んでいたバンドとキダ先輩のバンドが解散することになって、私はしばらくソロ活動をしていたのですが、サポートでキダ先輩がギターを弾いてくれて。ある日、キダ先輩に“先輩とバンドを組みたいです”って勇気を振り絞って言ってみたんです。そうしたら“私も組みたい”と言ってくれて、とりあえず二人でバンドを始めました。その時、ヒロミさん(ヒロミ・ヒロヒロ)と先輩は別でインストバンドを組んでいたんです。“ベースは誰にする?”と先輩と話している時に、“ベースはヒロミちゃんがいい”と言って。で、ヒロミさんに話したら“ええでー”って感じで(笑)、それで三人決まった感じですね。ギターを始めたのは、専門学校に行ってバンドが解散して、ソロ活動を始めたぐらいのタイミングです。曲を作るためにギターを弾くようになったんです。誕生日プレゼントに、母と当時楽器屋さんで働いていた兄が買ってくれました。

― どのような練習を?

中嶋 家で粛々とコピーしていました。曲を作る時もめちゃくちゃ簡単なコードで、G、C、F…Fコードはできるだけ使わないとか(笑)。その時からキダさんに色付けをしてもらっていた感じですね。

― ある意味、ギターの師匠はキダさん?

中嶋 そうですね。キダさんのギターしか知らないです。

― イッキュウさんの場合は、ギター&ヴォーカルなので大変ですよね。

中嶋 最初は、手持ち無沙汰やったからギターを弾きたかったんです。ステージで動き回るタイプでもないし、tricotの曲を聴いた時に、ヴォーカルが動いて煽ったり踊ったりするイメージもなかったので。とりあえず見栄え的にギターを持ちたいなと思って、簡単なコードから教えてもらったのですが、曲のクオリティが高くなるにつれて求められるフレーズも変わってきて、苦しみましたね。“これを歌いながら弾くんや”みたいな。でも、“これを弾いてね”と言われてから、次のスタジオまでには絶対に弾けるようにしておこうと思って、家で歌いながらずっと無限ループで練習しました。でも、めちゃ自分に腹立ってくるんですよ。弾けたらカッコいいというイメージはつくのですが、どうしても歌と噛み合わないフレーズなので難しかったですね。

― それでもギターは弾きたいと。極端な話、サポートでもう一人ギターを入れて歌に専念するよりは、ギターがあったほうが表現者として完結するというか。

中嶋 だけど、ギターにパフォーマンスを甘えているなと気づいた時もあって、ジェニーハイを始めてからはギターを持たなくなったんです。そうなった時に、ギターがないことがすごく怖くて。そんな自分の映像を見て、すごく表現の幅が狭いなと感じたんです。それからtricotでもギターを持たない曲が増えたり、“この曲はギター持たんとこかな”と言ってみたりしました。

― 今回弾いていただいたAcoustasonic Player Telecasterの印象を聞かせてください。

中嶋 すでにかなり家で弾いているのですが、とにかくこのギターは楽しいですね。いろいろな音を出せるのはもちろんですけど、一番嬉しいのは手軽さです。生音で弾いてもアコギほどうるさくないし、エレキほどペラペラしていないから、一緒に歌いたくなる音色をしているんです。だけど、近所迷惑にならない! 先日、Acoustasonic Player Telecasterでインスタライヴをしたのですが、“こんなに弾いて近所迷惑にならないんですか?”ってコメントもあったぐらい、音がしっかり聴こえているんですよね。たぶん、アコギくらいにキレイな音が響いていると思うのですが、実際はそんなに音量が出ていないので、家でもめちゃくちゃ弾き語りしやすいし、嫌いなギター練習もしようかなって思うぐらいです(笑)。軽いからスッと持てるし。あと、私はけっこう見た目から入るんですけど、見た目もめっちゃカワイイし美味しそう(笑)。カラーはButterscotch Blondeで、ホールに向かう丸みも大好きで。何だか美味しそうなパンケーキみたいだし、バウムクーヘンみたいだし。

― 確かに(笑)。

中嶋 置いている時のテンションの上がり方って、意外と大事なんですよね。あと私なんていう者は、ちょっと重いだけで“ギター弾かんとこ”って思っちゃうんですよ(笑)。中嶋という者は基本的にダラけているんですけど、めちゃくちゃ私にギターを弾かせてくれるんですよね。便利グッズが大好きでオタクなのですが、Acoustasonic Player Telecasterって手軽で便利じゃないですか。いろいろな音が出るし本当にイノベーションを感じさせる、新しい兵器という感じがします。あと、このAcoustasonicは充電式ではなく電池式なので、ライヴでも使い易いですね。
※American Acoustasonic シリーズは充電式。Acoustasonic Player Telecasterは電池式となっている。

― 最後に、楽器を始める人へアドバイスやメッセージを。

中嶋 ギターは世界が広がる道具です。ギターを始めることで世界が狭まることはないので、音楽に興味あったらとりあえず買ってもいいし、弾きに行くのもいいですよね。何にも弾けへんのに楽器屋に行って“弾かせてください”と言うのはやっぱり恥ずかしいじゃないですか。でも、弾いたら“音を出した!”っていう電流が走ると思うんです。いろいろなバンドや楽曲でギターの音を聴いていると思いますが、自分で音を出したっていうことにまずは感動するし、もっと弾きたくなると思うんですよね。だから、とにかくその恥ずかしさを一回捨てて、音を出してみてほしいです。


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フェンダーの革新的なAcoustasonicプラットフォームは、Acoustasonic Player Telecasterによって進化を続けます。このアコースティック/エレクトリックギターは、6つのユニークなヴォイシングにより、その個性を確固たるものにします。洗練された3ウェイスイッチングが、アコースティックトーンとエレクトリックトーンを隔てなく、自在に行き来することを可能にします。


中嶋イッキュウ

滋賀県生まれ。2010年にバンドtricotを結成し、ギターボーカル、作詞作曲、グッズデザインを担当。直後に自主レーベルBAKURETSURECORDSを設立。国内外問わず多くのファンから支持され、各国のフェス出演やヨーロッパツアー、全米ツアー、アジアツアー、日本では47都道府県ツアーも行なった。2015年にはアメリカ、Rolling Stone誌のWEBサイト「Rolling Stone.com」にて、「あなたが知るべき10組のニューアーティスト」に選出される。2019年にavex / cutting edge 内にプライベートレーベル8902RECORDSを設立し、メジャーデビュー。2016年、自身のブランドSUSU by Ikkyu Nakajimaを立ち上げ、並行して同名義での楽曲制作を始める。ブランドの商品は入荷後すぐに完売するなど注目を集めた。2017年、レギュラーを務めていた番組BAZOOKA!!!の企画により小籔千豊、くっきー!らと共に バンド ジェニーハイを結成し、ボーカルを担当。WARNER MUSIC JAPAN / unBORDE よりメジャーデビュー。国内の大型フェスやテレビ出演を果たす。
https://tricot-official.jp
https://genie-high.com/

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