Cover Artist | OKAMOTO’S -後編-

ストラトがなかったら録音していない、生まれていない曲がたくさんあります

OKAMOTOS

結成10周年イヤーに突入したOKAMOTO’S。その幕開けとしてニューアルバム「BOY」がリリースされた。OKAMOTO’Sのハマ・オカモト(Ba)とオカモトコウキ(Gt)を迎えてのカヴァーインタビュー。後編では、自身のバンド以外でもセッションプレイヤーとして活躍する2人のプレイやフェンダーについて、そして6月27日(木)に開催される初の日本武道館ワンマン公演について聞いた。

たくさん弾かなくてもよくなっちゃうんです。 フェンダーはとにかく出音に説得力がある
 

― インタビュー前編ではアルバム「BOY」について伺いましたが、レコーディングでフェンダーは使いましたか?

オカモトコウキ(以下:コウキ) もちろんです。

ハマ・オカモト(以下:ハマ) ギターはStratocasterもTelecasterも使っていました。僕はメインのJazz BassとPrecision Bassを使いましたし、アンプもフェンダーなので、レコーディングはほぼすべてフェンダーでした。

コウキ 僕もアンプはフェンダーですね。

― あらためてフェンダーを使うと何が違いますか?

コウキ 昔は別のメーカーのギターをメインで使っていましたが、ストラトを手に入れてから、それで作る曲は以前とはだいぶ変わったような気がします。フェンダーのストラトは存在感もすごくあるので、ファンキーな曲だったり隙間がある曲において、すごい説得力を持たせることができる。ストラトがなかったら絶対に録音していない、生まれていないだろうなという曲がたくさんあります。

ハマ とにかく、音がいいということはやっぱりすごいですよ(笑)。もちろん、フェンダー以外にも名機、名作はたくさんあります。だけど、楽器の出す音の説得力ってものすごく重要だと思っていて。こんな音で鳴るんだったら、この音符はもう弾かなくていいやという気持ちになるんですよ。たくさん弾かなくても、一発でよくなるというか。フェンダーの場合は、とにかく出音に説得力があります。

コウキ それはある! ベタ盛りしなくてよくなりました。音を盛っていくことで何とか雰囲気を出そうというよりかは、引き算で出したい音が1つあるだけでOKという考え方ができるようになりました。

― それはアルバム「BOY」を聴いているとわかりますよね。

コウキ はい。「BOY」は最近のCDにしては音の隙間が多いと思いますが、それで十分に成り立っている作品です。


同級生からスタートしたバンドが 10年頑張って武道館に立つのは、 夢とストーリーが詰まっていると思う
 

― さて、2019年はOKAMOTO’Sの結成10周年イヤーというわけですが、10年前と今とでプレイヤーとしての立ち位置はバンドの中でどう変わりましたか?

ハマ 僕はあとからOKAMOTO’Sに加入したので、特に3枚目くらいまでは既存の曲を弾けるようになることと、新曲を録音するという2つの軸が僕の中にありました。技術的なことは置いておいて、けっこうグイグイ弾いていたので、“OKAMOTO’Sはベースが目立っている”と言われることが多かったような気がします。そういう3年を過ごしてからは、セルフプロデュースのやり方も柔軟になってきて、各々がアイディアを出し合っていく中で、段々と伴奏に徹するというか、自分のことを客観視できるようになってきました。演奏スタイルは、初期に比べるとだいぶ変わったんだろうなと思います。しかも、デビューして3〜4年目ぐらいからバンド以外の仕事もするようになったので、余計に客観的な目線がついたという自覚があります。

― バンド以外で弾くことは大きな変化でしたか?

ハマ はい。僕は経験がありませんが、親の転勤で違う土地に行く感覚だと思います。そこで作った友達が、そこでしか流行っていない遊びをしていたり、訛も違ったり。バンドにとってのメトロノームってドラマーだと思うんです。だから、コウキも僕もメトロノームはレイジ(Dr)が基準で。初めてよそへ行った時に、同じ曲でもリズムが違うんですよ。最初の頃にその洗礼を受けたことが大きかったです。バンドでいると、考えなくてもできることがあるんだなって。バンドにだけいたら体験できない、あらゆる音楽的側面をバンドに持ち帰りました。

― 初めてバンド外で演奏した時、プレイそのものはどうでしたか?

ハマ 最初はダメだなと思いました。簡単に言うと、OKAMOTO’Sで演奏しているような曲だったら安心して演奏できるけどポップスは不安でした。

― それをどうやって克服したのですか?

ハマ OKAMOTO’Sは、メンバー全員が譜面の読み書きがほぼできないので、もう武者修行状態で。みんなが“ダルセーニョで○○だよね”なんて話しているのも意味がわからなくて。間違えたフリをして必死で覚えていました。教えてくれる人もいなかったので。実は教材も何度も買ったんです。でも、3ページくらい読んだら飽きてしまって。だから現場で覚えました。

― コウキさんも楽譜が読めないってことですか?

コウキ 読めないです。

― それでこんなにすごい音が出せるんですね。

コウキ 何とかなるんですよ。

ハマ 何とかなるのは、バンドだからかもしれませんが(笑)。楽譜が読めないって言うと、未だに“謙遜してる” “本当は読めるんでしょ”なんて言われるんですよ。本当に読めないですから(笑)。だって僕、マイナーとメジャーの理屈も未だにわかってないですし…。

― 嘘!

ハマ 本当です。暗い感じ、ぐらいでしかわかっていない。それでやっていけてますからね。

コウキ ちなみに、OKAMOTO’Sのアルバムでメジャーセブンス(コード)がセルフプロデュース曲で初めて出てくるのは、前作の「NO MORE MUSIC」くらいからなんです。元々はガレージパンクの世界だったので、スリーコードの単純なブルース進行に根差した世界観でした。それがやっとオシャレなコードを覚えたての中学生の様な感じで、「NO MORE MUSIC」あたりから難しいコードを入れまくっています(笑)。

― (笑)。

コウキ 多くのバンドは20代半ばくらいでデビューするじゃないですか。だから、ある程度スタイルが確立してから世の中に出ていくと思うんです。でも、僕らは高校卒業したてでデビューしたので、レコーディングに入る前から曲をこういう仕上がりにしようという計算もまったくできないですし、ライヴハウスでやっていたものをそのままパッと出すようなレベルだったというか。なので、10年の間で自分たちのスタイルを見つけながら成長して、段々と完成に近づいていった感じです。

― さて、10周年イヤーのビッグトピックスとして、6月27日に初めて日本武道館でのワンマンライヴが開催されますね。

ハマ ありがたい話、この10年でライヴの動員は一度も下がらずに地道に会場が大きくなっていく中で、全国の僕らのファンが一堂に武道館に集まるわけです。なので、“同じ気持ちの人が日本中にこれだけいるんだ”という景色を作れる、恩返しのような気持ちです。“私の周りにOKAMOTO’Sを好きな人がいません。でも私は好きです”という内容のメッセージをSNSでよくもらうんですよ。でも、僕らもそうだった。たまたま4人で同じ音楽をいいねって言えただけで、バンドを組んで10年やってきて、全国にはこういう音楽が好きな人がこんなにいるんだということを証明できる場であればいいなって。それができれば何だっていいんです。気負わずにツアーの延長としてきちんとやれば、そこに意義があると思っています。

コウキ 僕自身は、武道館でワンマンライヴをやりたいというこだわりがあまりなかったんです。でも、いわゆる売れ線の曲や音楽をやってこなかったOKAMOTO’Sというバンドが、10年を経て武道館でライヴをやれるようになったのは、聴いてくれていた人たちにとっても嬉しいことだと思うし、自分たちとしても今後のためにすごくいいなと思って。武道館公演は“LAST BOY”というタイトルがついているのですが、OKAMOTO’Sの集大成であり、次のステップに行く機会になるんじゃないかと思います。

ハマ 自分たちで言うのもヘンですけど、中学校の同級生からスタートしたバンドが10年頑張ってきて武道館に立つということは、そこにきちんと夢とストーリーがあると思うんです。このあとに出てくるバンドや、いろいろな人たちにいい景色を見せられたらいいなと思います。

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【OKAMOTOSの所有ギター】

OKAMOTOS

HAMA OKAMOTO PRECISION BASS® #4
「ありそうでなかった弾き易いプレシジョン・ベース」をテーマに、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)が提案するシグネイチャー・モデル、HAMA OKAKMOTO PRECISION BASS® #4(ナンバーフォー)。ジャズベースのスリムなネック・シェイプを採用し、スムーズな演奏性とプレベ特有のサウンドを備えたユニークなモデル。ハマ・オカモト印ともいえるパドルペグ、ブリッジカバーを採用し、ボディ材には、発色の明るいバスウッドを使用。
› HAMA OKAMOTO PRECISION BASS®製品ページ

OKAMOTOS

MICHAEL LANDAU SIGNATURE 1968 RELIC STRATOCASTER®
1980年代以降、ジョニ・ミッチェルやマイケル・ジャクソンをはじめ、多くのアルバムでプレイしてきたトップセッションギタリスト、マイケル・ランドウのシグネイチャー モデル。本モデルはラージヘッドが印象的な1968年仕様。そのルックスはもちろん、Custom Shop Fat ’50s特有のコシのあるサウンドで、国内でも愛用しているミュージシャンは多い。

PROFILE


OKAMOTO’S
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’S。 メンバーは、オカモトショウ(Vox)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)。全員が岡本太郎好きで、ラモーンズのように全員苗字はオカモト姓を名乗る。

2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス「SxSW2010」に出演。アメリカ七都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを廻ったアジアツアーなど、海外でのライヴを積極的に行っている。

これまでシングル8作品、アルバム7作品を発表。2015年9月にはメンバー渾身のロックオペラアルバム「OPERA」を発売。2016年6月3日からは「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」と題した、キャリア初の47都道府県ツアーを敢行し、ツアーファイナルは日比谷野外大音楽堂にて開催された。

2017年8月2日には約1年半ぶりとなるオリジナルフルアルバム「NO MORE MUSIC」をリリース。また、同年10月には中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを開催し、チケットは瞬く間に即完。その後アルバムを引っ提げ全国23カ所を廻るツアー「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」を敢行。2019年1月9日にはニューアルバム「BOY」をリリース。4月より全国ツアー「OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2019 “BOY”」を開催し、6月27日(木)日本武道館ワンマンでファイナルを迎える。
› Website:http://www.okamotos.net

New Album
BOY
【初回生産限定盤】¥4,104(tax in)
【通常盤】¥3,564(tax in)
【完全生産限定アナログ盤】¥4,860(tax in)
Ariola Japan
2019/01/09 Release

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