B x B | JIRO(GLAY)× あきらかにあきら(THE ORAL CIGARETTES)-後編-
歩んできた道をリスペクトした上で、ちゃんと背中を追いたいなって思っています (あきらかにあきら)
日本を代表するベーシスト同士による対談企画「B×B」。今回は日本のバンドシーンで活躍するGLAYのJIROとTHE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきらが登場。プレイスタイルや世代も異なる二人であるが、彼らの根底にあるのは、ベースという楽器に対する愛と、お互いへのリスペクトの念。後編では、ベーシストとしての今後の展望や、これから楽器を始めようとするプレイヤーに向けてメッセージをもらった。
*このインタビューは2021年7月上旬に行われました
ベースを抱える位置がこの何年かで徐々に高くなっているんです(JIRO)
― 自分のプレイスタイルと楽器との相互関係については、どのように考えていますか?
JIRO 俺の場合、ベースを抱える位置がこの何年かで徐々に高くなっているんですよ。それはやはり、ライヴでも弦とピックの当たる角度をしっかりコントロールしたいなと思ったからなんです。
あきらかにあきら(以下:あきら) なるほど。手首に負担がかかったり?
JIRO 確かに、長年に渡って弾いている中で、腕を痛めたこともあって。あとは、このフレーズは逆アングルにこだわらなくても大丈夫だろうなっていう時は、あえて角度を付けて弦にピックを当てることで、ジャリッとしたニュアンスを出したり。特に新曲がセットリストに加わる場合、ツアー中に試行錯誤しながらプレイしていて。うまくいった場合は、次のライヴのリハーサルにも活かしたりとか。
― 一方、あきらさんは?
あきら その日の体調によって指の感覚が違うんですけど、指弾きだとその違いが顕著に出て。だから、ベースを弾く前に、まずはストレッチから始めますね。そうやって楽器と自分のプレイを調整していくことが多いです。
定番であるっていうことのすごさをフェンダーの楽器から感じる(あきらかにあきら)
― ちなみに、前編では、American Professional IIシリーズを弾いていただきましたが、そもそもフェンダーというブランドに対する印象は?
JIRO フェンダーってとても優等生なイメージがします。楽器自体が優秀なので、あとはもうこちら次第というか、そういったひとつの基準になりえる楽器ですよね。あと、オールドのJazz Bassを持っているんですけど、ボディがとても軽くて、ネックもかなり使い込まれているので手に馴染むんですよ。しばらくは人に貸していたんですけど、ちょうど先日に戻ってきたので使い始めたんです。ただ、俺のピッキングスタイルだと、パキッていうアタックが強すぎてしまって。指弾きのほうが合いそうな感じだと思ったし、まだまだ全然使いこなせてなかったんですけど、最近になって、指弾きで弾いていると“かなり個性的で良いかもしれない…”と思えるようになってきました。
あきら 僕の場合は、一番最初に持ったベースがフェンダージャパンのプレベなんです。大学の時に先輩から譲り受けたもので、ずっと弾いていたんですけど、アクティヴの楽器が良いと思って一度は離れて。でもまたフェンダーの楽器に巡り合って。今は家ですごく弾いていますね。今後はレコーディングでも使いたいなと思っています。特にJazz Bassって、フォルムがカッコいいんですよね。もはや定番となっているシェイプですけど、やっぱりカッコいいからこそずっと変わらないわけで。それに、進化はしているかもしれないですけど、ベースの絵を描こうと思ったら自然とJazz Bassの形になるくらい、普遍的なデザインで。そういう意味でも、やっぱり定番であることのすごさはフェンダーの楽器から感じますね。
JIRO GLAYの楽曲ってバラードもあり、ロックもありなので、それらに対応するには、選択肢としてはJazz Bassしかないなっていう感じもありますね。
―では、American Professional II Jazz Bassを弾いた感想は?
JIRO 今日、これらの楽器を目にして、最初に手が伸びたのがやはりJazz Bassだったんですよね。これもネックの塗装がサラサラで手触りがいいですし、前編のPrecision Bassと同じく、指板のエッジの処理がスムーズで弾きやすいです。
あきら メイプル指板だからなのか、弾いた時の反応がめちゃくちゃ速いなと思いました。ナロートールフレットが要因なのか、スラップしても反応が早い。激しいプレイにも耐えてくれそうです。
JIRO 何よりバランスがいいですね。今朝まで、先ほど話したヴィンテージのJazz Bassを使っていましたけど、それと比べても、とにかく優秀でバランスがいいなという印象ですね。
若い世代の熱量って本当にすごいので、それには毎回影響されます(JIRO)
― なるほど。では、今後のベーシストとしての展望を聞かせてください。
あきら 一昨年あたりのタイミングで、自分の将来のベーシスト像について少し考えていたんです。で、僕の中では未来になりたい像としてJIROさんのような存在が当てはまって。JIROさんと初めて話した時に、GLAYとJIROさんの関係性と、THE ORAL CIGARETTESと僕の関係性、あとは音楽シーンとGLAYの関係性や僕らの将来像みたいなものについて共感できたんです。だから、GLAYが残してきているものを本当にしっかり継承したいと思っているんですよ。別の形かもしれないですけど、その歩んできた道をリスペクトした上で、ちゃんと背中を追いたいなって思っています。あと、関西でラジオ番組もやられていることもそうですけど、活動が地域に密着している部分もあって。そこも人としてすごく尊敬する…今話していることは、本人を目の前にしたラブコールなんですけどね(笑)。何かこう、ベーシストの先輩はたくさんいらっしゃるんですけど、みんな、どこか友達みたいに接してくれるんですよね。でも、JIROさんは“兄貴”みたいに接してくれて。それが本当に心地良くて、憧れますね。
JIRO いやいや、恐縮過ぎる言葉ですね。あきら君を含め、年下のバンド友達と接する機会はありますけど、やっぱりその人たちの熱量ってすごいので、それには毎回影響されますね。
― そうやって、常に刺激を受けているんですね。
JIRO あきら君とはベースのスタイル的にもまったく異なるけど、音楽シーンの中での立ち位置としては、似たところにいると思うんです。そういった意味でも、パフォーマンスで観客を巻き込んでベースを弾いている姿に影響を受けます。一方、例えばLITEの井澤(惇)君のように、ライヴハウスや海外といったフィールドで活動している人もいて。自分とはまったく違う活動をしている人と仲良くさせてもらえるのも嬉しいんですよね。音楽チャートの世界で評価されることで、GLAYの今があると思うんですけど、個人的には、ステージに立った時に放たれるパワーからの刺激が何よりのモチベーションになっていて。その魅力を共感できる人だからこそ、今日のような対談が実現したと思うので、声を掛けてもらって本当にありがたいです。しかも、フェンダーという楽器を通した取材なので、どういった対談になるんだろうってドキドキしながら来たんですけど(笑)、楽器を弾くとき以外のマインドも似たような側面があるからこそ、共鳴し合うのかなって感じましたね。
― 両バンドとも、大きな会場で演奏する中で、観客の空気がひとつになる瞬間も体験しているという点でも共通していますよね?
JIRO 確かに、そういった共通点はあるかもしれないですね。お客さんのことをちゃんと大事にしているというか。
あきら お客さんをすごく大事にされているなっていうイメージは、僕もGLAYに対して持っています。それは、JIROさんのラジオ番組での発言のひとつひとつからも感じ取れて。素直にファンと向き合っている方々なんだなって感じていました。僕にとっては、JIROさんは、ロックバンドがものすごく盛り上がっていた時代のトップベーシストで。加えて、ラジオ番組に呼んでいただいた時からJIROさんの内面も好きになったんです。今はプライベートでも仲良くしてくれている先輩なので、こうやって対談することができて嬉しいし、こうやってご一緒できるのも不思議なんですよね。
― では、これから楽器を始めようと思っている人たちにメッセージをください!
JIRO 家で練習して上達していくっていうのも楽器の楽しみ方のひとつだと思うんですけど、バンドでスタジオで音を出すと、とんでもないぐらい気持ちいいよ!っていうことを伝えたいですね。なので、いつか部屋から出てみてほしいですね。僕も中学1年生の終わり頃にギターから始めたんですけど、バンド仲間で友達の家の2階に楽器を持ち込んで。今思えば、めちゃくちゃ下手だったと思うんですけど、みんなで音を出すことが気持ち良かったんですよね。今の若いプレイヤーたちは宅録を積極的を活用していて、それは俺の知らない、ひとつの幸せの形かもしれないですけど、俺の経験で言うと、バンドメンバーでコピーする曲について揉めたり(笑)、そういったこともあった上で理解し合ってお互いに高めていったり、バンドって楽しいと思うんですよ。
あきら 僕もその意見に賛成ですね。ベースをスタジオのアンプにつなげれば、スマホやパソコンなどのヘッドホンでは体感できない、体にグッと来る音が鳴るので、ぜひスタジオでアンプで鳴らしてほしいです。今はそういうことが難しい時代だけど、そういった世界に早く戻ったら嬉しいと思いますし、楽器と出会ったからには、本当に生かせる場所が外にはいっぱいあるので、そこでぜひ音を鳴らして、楽器の魅力を知ってほしいなと思います。
› 前編はこちら
American Professional II Precision Bass® 定番の’63 P Bassシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Precision Bass Split-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Precision Bassならではの圧巻のローエンドを提供します。
American Professional II Jazz Bass® 人気のSlim Cシェイプネックは、丁寧にエッジがロールオフされ、至高の演奏体験を約束する”Super-Natural”サテン仕上げが施されています。また新たに設計されたネックヒールを採用し、快適なフィーリングとハイポジションへの容易なアクセスを実現しました。新しいV-Mod II Jazz Bass Single-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Jazz Bassならではのパンチとクラリティを提供します。
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JIRO
GLAYのベーシスト。THE PREDATORSのベーシストとしても活動中。GLAYは88年にTERUとTAKUROを中心に結成し、94年にメジャーデビュー。以降、CDセールス、ライヴ動員数など日本の音楽シーンをリードし続け、数々の金字塔を打ち立ててきた。2021年3月からは、4ヶ月連続で各メンバーがプロデュースする配信ライブ〈THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK〉を配信。8/18には59枚目のシングル「BAD APPLE」をリリース。さらに、10月6日には16枚目のオリジナルアルバム『FREEDOM ONLY』のリリースが決定した。
› Website : https://www.glay.co.jp/
あきらかにあきら
2010年、奈良にてTHE ORAL CIGARETTES結成。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。メンバーのキャラクターが映えるライヴパフォーマンスを武器に、全国の野外フェスに軒並み出演。リリースした作品は常に記録を更新し、2020月4月リリースの5thアルバム『SUCK MY WORLD』は前作に続きオリコン初登場1位を獲得。2020年はライヴの開催延期や中止が続いたが、9月にはコンセプトを強く意識した公演〈「ORALIUM」at KT Zepp Yokohama〉を2Days開催した。2021年6月には新曲「Red Criminal」をデジタルリリース。7月7日には04 Limited SazabysやBLUE ENCOUNTとのライヴDVD & Blu-ray『ONAKAMA 2021』を発表した。
› Website : https://theoralcigarettes.com/