Special Interview | MIXER

台湾の音楽シーンで圧倒的な存在感を放ち、アジア各地で熱狂的な支持を集める5人組バンド、MIXER(麋先生)。 昨年12月には、これまで台湾をはじめ、マレーシア、シンガポール、中国、香港と各都市で盛り上がりを見せたワールドツアーの日本公演が開催され、大盛況のうちに終了した。そんなMIXERから、2人のギタリスト、喆安(Z-An)と小B(Bosy)が登場。ギターとの出会い、練習方法、影響を受けたアーティストやフェンダーとの出会いなどについて聞いた。

どんなジャンルの音楽にも触れておくことが大切

──まずは、音楽との出会いから教えてください。

喆安 音楽との出会いは、中学の時でした。兄の影響がとても大きかったです。学校のクラブに入っていた兄のギターを弾く姿がすごくかっこいいと思い、一緒にギターを学ぶようになりました。

小B 子供の頃、両親が音楽を習わせてくれていて、最初はピアノで、中学まで続けました。高校のクラブで、「ギターを弾けたらかっこいいだろうな」と思ったのがきっかけで、高校の終わりから大学に入る直前くらいのタイミングでギターを始めました。

──最初に買ったのは、どのようなギターでしたか?

喆安 実は、最初に買ったのはベースでした。一緒に練習していた兄がギタリストだったので「僕はベースが弾きたい!」と、家でずっとねだっていました。なので、最初に手にしたのはベースだったんです。

小B 最初のギターは学校のクラブにあるような、ノーブランドの安いギターでした。

──ギターを始めた頃は、どのような練習をしていましたか? 映像を観ながら練習したなど、エピソードがあれば教えてください。 

喆安 まさにそんな感じで、好きなギタリストのYouTubeを観て真似していました。よく知らない人でしたが、その人が弾くギターのリックがかっこよくて、動画を観ながら練習していたこともありました。

小B 僕もだいたい同じような感じでした。好きなメロディをカバーしていました。

──ギターを始めたばかりの人におすすめの練習法はありますか? 今おっしゃっていたように、真似をすることは重要だと思いますか?

喆安 そうですね。でも、特別な近道があるとは思わないので、とにかくたくさん観て、真似して、一生懸命練習して、音楽をたくさん聴くことだと思います。どんなジャンルの音楽にも触れておくことが大切だと感じています。

小B 自分の好きな曲から練習を始めると、上達が少し早くなるのではないでしょうか? すごく好きな曲だと繰り返し聴くと思うので、自然にたくさんのことを学べると思います。

──続いて、特に影響を受けたアーティストやギタリストを教えていただけますか?

小B ジェイ・チョウ(周杰倫)!

喆安 ジェイ・チョウは、間違いなく、僕たちの子供の頃からの憧れの存在です。でも、ギターを弾くのが好きになり、もっと上手くなりたいと思ったきっかけは、ジョン・メイヤーでした。彼の作品が大好きです。

──ライヴを観たことはありますか?

喆安 まだ無いんです。

小B あれ、この前観たのは?

喆安 あれは、Oasis(オアシス)。

──この前の東京公演を観られたのですね。では、ノエル・ギャラガーもお好きですか?

喆安 はい、好きです。でも、ギターに目覚めるきっかけになったのは、ジョン・メイヤーですね。

小B 以前は、電子音楽からクラシックまで、あらゆる音楽を聴いていたので、特定の好きなアーティストはいませんでした。でも最近、自分で創作するようになってからは、少しずつ好きなアーティストができてきました。例えば、King Gnuの常田大希さん。ギターや演奏スタイルがすごくかっこいいなと思い、かなり注目しています。

──King Gnuの話題がでましたが、喆安さんは好きな日本のバンドやギタリストはいますか?

喆安 以前、メンバー全員でtoeの音楽をよく聴いていたのですが、大好きなバンドです。最近だと優里の曲がすごく好きで聴いています。あと、SHISHAMOを最近よく聴いています。SHISHAMOの曲はとても明るいので、聴き終わったあとにテンションが上がります。実は日本でライヴを観たこともあるんです。

──そうなんですね! 続いてはMIXERについて伺います。どのように結成されたのですか?

喆安 ヴォーカルの聖皓(Sheng Hao)と僕が中学時代に最初に出会い、高校時代にベースの以諾(Eno)、小Bと僕は大学時代に出会いました。

小B そして、台北でドラマーの逸凡(Vincent)に出会いました。『桃太郎』みたいな感じで(笑)、少しずつ仲間が増えていきました。

──喆安さんと聖皓さんは、ユニットを組んでいらっしゃいましたよね。

喆安 そうですね。聖皓とは一番古い付き合いで、中学時代から一緒にギターを弾いたり、歌ったりしていて、その頃から「絶対にバンドをやろうね!」と話していたんです。少しずつ集まり、このメンバーになりました。

──以前はアコースティックギターを主に弾いてらっしゃいましたよね。

喆安 時期によって好きな音楽スタイルが変化していて、以前はフォーク寄りのサウンドが好きだったので、アコースティックギターを弾いていました。その後、よりロックな音楽をやりたくて、エレクトリックギターにスイッチしました。今は、ほぼエレクトリックギターを弾いていますが、コンサートではアコースティックギターも弾きます。

──ツインギターという編成の中で、特に大切にしていることはありますか?

喆安 プレイする上での役割分担はわりと上手くできていると思います。僕の場合は、コードを刻むのがとても好きで、歌うのも好きなのでコーラスも歌います。メロディのパートは小Bが弾くことが多いですね。ソロも小Bの方が多いかもしれません。

──お互いをどんなギタリストだと思いますか?

2人 難しい質問ですね……。

喆安 小Bの性格は、内面がけっこうワイルドだと思うので、ワイルドなギタリストだと思います。ディストーションの効いた音色が好きだったりもするし、「ワイルド系のギタリスト」ですね。

小B だとしたら、喆安は、「内に秘めたギタリスト」でしょうか。お互いに補い合っています(笑)。

──続いては、フェンダーとの出会いについて教えてください。

喆安 小Bは、最初に買ったギターがフェンダーだったっけ?

小B 最初ではないな。フェンダーは、高校時代のクラブで使っている先輩が多かったので知りました。でも高くて、自分は買うことができませんでした(笑)。

──初めて手に入れたのはいつ頃ですか?

小B 大学の時に、白黒のTelecasterを手に入れました。

喆安 僕は、ギターを始めたばかりのころ、フェンダーのギターが欲しかったのですがどうしても予算が足りず、パーツを集めて「フェンダーみたいなギター」を作ろうと思いました。その後、海國樂器のDanielさんに様々なギターを試させてもらったのが、本格的なフェンダーとの出会いです。フェンダーは、老舗ながら若々しさと個性を感じるブランドで、とても好きです。

──最初は、フェンダー風のギターを自分で作ろうと思ったということですか?

喆安 説明するのがちょっと難しいのですが、誰かが使わなくなったギターなど、中古のギターを分解し、パーツを集めて1本のギターを組み立ててもらいました。

──その中にはフェンダーのパーツもありましたか?

喆安 ありました。フェンダーのStratocaster風のギターが出来上がりました。

──そうだったのですね(笑)。小Bさんは、最初に買ったフェンダーのギターがTelecasterとのことでしたが、Telecasterを買った理由はありますか?

小B その時はあまり深く考えていなくて、見た目で買いました(笑)。最初は、トーンノブの使い方とかもわからなかったので、ギターを見て、「きれいだし、かっこいい!」と思ったことが、購入の決め手でした。


ステージ上のすべてのことが、学びになる

──さて、先ほどAmerican Professional Classicシリーズを試奏していだきましたが、いかがでしたか?

喆安 TelecasterもStratocasterも、ネックの触り心地が良くて、とても弾きやすいと思いました。音にすごく弾力があると思いました。

──見た目で気になったものはありますか?

喆安 この部屋に入ってきて真っ先に目に入ったのはJaguarです。すごく珍しい色だと思いました。ギターは、いつも見た目からチェックするのですが、色がかっこいいギターは、間違いなく良いギターだと思っています!

──小Bさんもやはり見た目は重視しますか?

小B そうですね。やはり、自分の好きな色のギターを選んで弾いた方が、気分があがりますね。

──続いては、台湾の音楽シーンについて伺います。特に人気のある音楽ジャンルやスタイルはありますか? また、若い世代のバンドは増えていると思いますか? 

喆安 バンドを組む若い人は増えていると思いますが、今は音楽のスタイルがたくさんあって、それぞれのスタイルに独自のファン層が存在すると思います。突出してこの音楽ジャンルやスタイルが……というのはあまり無く、それぞれに市場があるように思いますね。

──バンドが増えているように感じるとのことでしたが、ギターを始める若い世代も増えていると思いますか?

喆安 すごくそう感じます。最近の曲はギターの要素が入っている曲がかなりありますし、たとえば、電子音楽でもギターの音が結構入っていますよね。

──ここで、MIXERの最新の作品をご紹介いただけますか?

喆安 最新の作品は、Mayday(五月天)のヴォーカル、Ashin(阿信)とコラボした「偶像 Behind The Light」という曲です。2025年に、初めて高雄アリーナでコンサートを行った際に、初披露しました。

小B Ashin兄さんと一緒に歌いました。

──最新アルバム『都是浪漫害的 What A Romance』の制作時にギタリストとして特にチャレンジした点はありますか?

喆安 音作りですね。曲にぴったり合う音を探すために色々なアンプを試しました。音作りには、かなり時間をかけました。

小B リフもですね。「壞蛋 Bad Romance」など、多くの曲のリフは喆安が思いついたものですが、編曲について話し合ったり、リフについて考えたことなども、チャレンジだったと思います。

──最新アルバムがリリースされたのは2023年ですが、新作の予定はありますか?

喆安 まだ曲を書いている段階ですが、新作の準備は始めています。曲はけっこうたくさん出来ているので、2026年にはきっと、ニューアルバムをリリース出来ると思います。是非、出したいです(笑)! あと、コンサートも開催します。Instagramで情報をチェックしていただけたら嬉しいです。

──また日本にも来てくださいね。

2人 もちろんです!

喆安 今回は、初の日本公演です(日本でライヴを行うのは2014年以来2度目で、有料公演は初めて)。

小B 前回来た時から、かなり時間が経ってしまいました……。

──今後、ギタリストとしてチャレンジしたいことや目標はありますか?

喆安 今チャレンジしたいことは、やはりアルバム作りでしょうか。目標も、アルバムをリリースすることです。アルバムはいつ出るのか、ファンの方からも常に聞かれているので、やはりアルバムを作らなければと思っています。前作をリリースしてから3年くらいになると思うのですが、これまでは、だいたい3年から4年ごとにアルバムをリリースしていました。

──小Bさんも?

小B はい、同意見です。同じバンドのメンバーですので(笑)。

──では、ギターを始めたばかりの人にアドバイスをいただけますか?

喆安 ライヴをたくさん観ることをおすすめします。生の音を聞くことができるし、パフォーマンスの仕方を学ぶことができると思います。

小B ステージ上のすべてのことが、学びになります。僕たちも少しずつ学んできました。

──一緒にライヴを観に行ったりもしますか? 

小B 以前は、音楽フェスティバルで自分たちの出番が終わったあとに残って、他のバンドのパフォーマンスを観て、学んでいました。たくさん観て、たくさん聴いて、たくさん練習してください。

──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

喆安 日本でライヴを開催することができて嬉しいです。MIXERの音楽をいつも聴いてくれている日本のファンの方々に直接会えるのを楽しみにしていました。ライヴでは一緒に歌いましょう!

小B Spotify、Apple Music、YouTubeやInstagramで、僕たちの音楽を是非たくさん聴いてください。またみなさんとお会いできることを楽しみにしています。

American Professional Classic Jaguar | American Professional Classic Telecaster


MIXER(麋先生)
2012年10月に結成。2013年6月に初の創作アルバム『馬戲團運動(サーカス運動)』をリリースし、同年の金曲奨〈最優秀バンド賞〉を受賞。爆発的なステージパフォーマンスと、繊細かつ爽快な創作力で、音楽フェスや大学キャンパスを中心に急速に人気を集め、「MIXERのライブを聴けば必ずファンになる」とネットでも語られている。近年は映画やドラマの主題歌も手がけている。2017年6月、フランス・カンヌで開催された「2017国際レコード見本市」に参加し、カンヌとパリで公演を行い、欧州とアジアを巡るツアーを展開。2022年、故郷・高雄で10周年記念コンサートを開催し、チケット5,000枚が3分で完売。翌2023年、台北流行音楽センターでの公演も即完売。2023年、5枚目のアルバム『都是浪漫害的(ロマンのせいだ)』をリリースし、全19公演のワールドツアーを実施。2024年9月、初の台北アリーナ(1万人規模)公演を開催。翌2025年3月、高雄アリーナで1万人規模のコンサートを行い、現在ワールドツアーを展開中。
https://www.facebook.com/MixerMiSir
https://www.instagram.com/mixerband_official/
https://www.youtube.com/watch?v=AsOgbM2qnfU

Text & Translation_Yuriko Okamura
Photo_Kyotaro Nakayama

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