Special Column | American Vintage II 1957 Stratocaster®︎

オリジナルスペックを追求し、50〜70年代を鮮やかに彩った名機たちを可能な限り忠実に再現したAmerican Vintage IIシリーズ。楽器業界のみならず、音楽シーンにも多大な影響を与えた名機たちの実像に迫りながら、American Vintage IIシリーズの魅力を紐解いていく。第3回は、American Vintage II 1957 Stratocasterをフィーチャー。

演奏性は現代の音楽性に合わせ、各部の仕様や音色をヴィンテージに寄せたハイブリットモデル

54年に華々しくデビューを果たしたStratocaster®︎は、エレクトリックギターを代表するモデルの一つとして君臨し、今なお世界中のミュージシャンを魅了し続けている。そのルックスはほぼ当時のままで、まさに20世紀を代表するプロダクトデザインの一つと言えるほど、完璧なまでのプロポーションと機能美を備えている。

Stratocasterを手にしたレジェンド、ミュージシャンは数知れず、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックス、リッチー・ブラックモア、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなど歴代のギターヒーローが手にし、ギターキッズの心を熱狂させていった。弾きやすく体にフィットするコンターボディ、各弦が独立して弦高やピッチを調整できる機能を備えたシンクロナイズドトレモロは、ギター演奏そのものを変容させ、ギタリストのイマジネーションを刺激した。ボディに取り付けられた3つのシングルコイルピックアップは豊かなトーンバリエーションを生み、音楽に千変万化な華を添えていった。まさに、音楽史そのものを変えたモデルと言える。

そして、その影響力はミュージシャンに留まらず、多くのギターブランドへも波及していく。つまり、エレクトリックギター自体の進化にも多大な影響を与えたのだ。しかし現代においても、オリジナルを超えるだけのモデルは誕生していない。それだけレオ・フェンダーと盟友フレディ・タバレスの手によって開発されたStratocasterは、当時から“完成”されていた。

そんな輝かしいフェンダーの名機を当時の仕様で再現するAmerican Vintage IIシリーズにおいて、今回リイシューされたのはAmerican Vintage II 1957 Stratocaster。モデル名の通り、オリジナルの1957年製ストラトをベースに開発されている。

1954年に誕生したStratocasterは、レオを慕って集まる多くのミュージシャンの意見を取り入れてデザインされている。57年と言えば、誕生からわずか3年しか経っていないが、さらに多くの意見を参考に細かな点がバージョンアップされている。

発売当初からすでに完成度の高いデザインではあったが、ピックアップやプラスティックパーツ、ボディに使用される木材、スプリングカバーの形状などが徐々に見直され、メイプル1ピースネック期の完成形と言えるのが57年製のStratocasterだ。エリック・クラプトンが愛用し数々の名演を残した“ブラッキー”(6本の1956〜57年製のネックとボディを組み合わせて製作された)も、この年代のストラトが組み合わされて作られたことで知られている。

56年5月頃から、ブロンドフィニッシュを除くStratocasterには、ボディにアルダー材がレギュラーで使われるようになり、サウンドも変化。しかし、サンバーストフィニッシュは57年まで、まだ2トーンで吹かれていた。ネックのシェイプも、56年の途中から徐々にVシェイプとなっていく。ちなみにネックに吹かれるラッカーは、黄変しづらいものへと変えられた。そして、56年後期より耐久性のあるナイロン製に変更しはじめられ、従来のホワイト・ベークライトパーツを使用した個体も57年前半まで見られる。つまり、外見上の大きな変化はないが、57年に近くにつれて細かな点でより完成度の高いギターへと進化していったのだ。

メイプルネック期において人気の高い57年製をリイシューしたAmerican Vintage II 1957 Stratocasterは、ボディにアルダー材が使われ、当時に近い薄いニトロセルロースラッカーで仕上げられている。フィニッシュはスタンダードな2トーンサンバーストフィニッシュに加え、鮮やかなシーフォームグリーン、そしてアッシュ材が使われたブロンドフィニッシュがラインナップする。

ちなみに、50年代のオリジナルのカスタムカラーは数が少なく極めてレア。中でもシーフォームグリーンは50年代に存在していれば、おそらくショウモデルかワンオフだろう。ブロンドに関しては、通称“メアリー・ケイ・モデル”と呼ばれるカントリーシンガーに送られたモデルが有名だが、こちらはゴールドパーツが使われていた。

ネックはソフトなVに仕上げられオリジナルよりは現代的なシェイプで、指板のアールも含めてヴィンテージライクな弾き心地を体感できるが、幅広いユーザーが弾きやすいグリップと言える。ラッカーの質感も良く、フレット間の移動もスムーズに行なえる。

ピックアップにはオリジナルの“Pure Vintage ’57 Single-Coil Strat®”が3つ搭載され、コールドロールド(冷間圧延)で作られたスチールブロックを搭載したシンクロナイズドトレモロも相まって、50年代特有の低音感が再現されている。

ピックアップセレクターは使いやすさが優先され、当時採用されていた3ウェイではなく、ミックスポジションを鳴らせる5ウェイを採用。また、コントロールもマスターボリューム、フロント/ミドルのトーン、リアのトーンと現代的な仕様となっている。つまり演奏性は現代の音楽性に合わせ、各部の仕様や音色をヴィンテージに寄せたハイブリットなモデルとも言える。

幅広い音楽性とテクニカルな演奏が求められる現代の音楽シーンにおいて、再びStratocasterの人気が若手ギタリストを中心に高まっている。このAmerican Vintage II 1957 Stratocasterは多くのギタリストのニーズを満たし、新たな音楽の創造をサポートしてくれるはずだ。まずは一度アンプにプラグインして、その実力を試してみてほしい。

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第1回:American Vintage II 1951 Telecaster
第2回:American Vintage II 1954 Precision Bass
第3回:American Vintage II 1957 Stratocaster
第4回:American Vintage II 1966 Jazzmaster(近日公開)
第5回:American Vintage II 1966 Jazz Bass(近日公開)
第6回:American Vintage II 1972 Telecaster Thinline(近日公開)

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