Special Column | American Vintage II 1972 Telecaster®︎ Thinline

オリジナルスペックを追求し、50〜70年代を鮮やかに彩った名機たちを忠実に再現したAmerican Vintage IIシリーズ。楽器業界のみならず、音楽シーンにも多大な影響を与えた名機たちの実像に迫りながら、American Vintage IIシリーズの魅力を紐解いていく。最終回は、American Vintage II 1972 Telecaster Thinlineをフィーチャー。

幅広いサウンドメイクができるポテンシャルを持つAmerican Vintage II 1972 Telecaster® Thinline

近年、コアなフェンダーファンから再評価されている“クニフェ”をご存知だろうか。これは71年末からTelecaster Thinlineの2ndバージョンに搭載された、フェンダー初のオリジナルハムバッキングピックアップである“ワイドレンジハムバッカー”に使われたマグネット“CuNiFe”のことだ。クニフェは、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)から作られた合金のため、その名が付いている。ポールピースは1〜3弦までがブリッジ寄り、4〜6弦までがネック寄りとなっている点もポイントだ。そしてワイドレンジの名の通り、低域から高域までバランス良くパワフルな音色が得られるため、プロにも多くのファンがいる。

このワイドレンジハムバッカーは、伝説のピックアップ“PAF”の生みの親、セス・ラバーがフェンダー在籍時に開発したことでも知られ、Telecaster CustomやTelecaster Deluxeなど、70年代のフェンダーを代表する機種にもマウントされていた。80年代以降もセラミックやアルニコマグネットを使用するかたちで復刻されていたが、今回、American Vintage IIシリーズに登場した1972 Telecaster Thinlineでは“CuNiFe”マグネットによって最も当時に近いサウンドを再現したワイドレンジハムバッカーがマウントされている。これはクニフェサウンドを熱望していたファンにとって大ニュースだろう。同モデルでは、2ndバージョンのTelecaster Thinlineから採用されたマイクロティルトシステム搭載の3点留めやネックシェイプも再現され、指板にもアール(7.5R)が付けられるなど当時の仕様が忠実に再現されている。

ボディには良質なアッシュ材が使われ、パーロイドのピックガードが組み合わされている点もファンには嬉しい仕様だ。セミホロウ構造のボディは、アコースティックニュアンスを含んだ鳴りを生み、新たなワイドレンジハムバッカーが豊かに増幅して出力する。そのサウンドは太く伸びやかで、そして美しく抜けてくれる。まるで発売当初のTelecaster Thinlineを弾いているような感覚だ。

ボディのフィニッシュは木目がハッキリと見えるAged Naturalをはじめ、高級感のある濃い3-Color Sunburst、そして70年代では極めてレアなLake Placid Blueの3色がラインナップし、好みに合わせて選ぶこともできる。

今回登場したAmerican Vintage II 1972 Telecaster Thinlineは、幅広いサウンドメイクができるポテンシャルがあり、エフェクターの乗りもいい。また、ハムバッカーのためノイズも少なく、幅広いジャンルに対応する柔軟性がある。1本持っていれば、さまざまなシチュエーションで活躍する、最高のパートナーとなってくれるはずだ。

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第1回:American Vintage II 1951 Telecaster
第2回:American Vintage II 1954 Precision Bass
第3回:American Vintage II 1957 Stratocaster
第4回:American Vintage II 1966 Jazzmaster
第5回:American Vintage II 1966 Jazz Bass
第6回:American Vintage II 1972 Telecaster Thinline

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