Cover Artist | くっきー!(野性爆弾)-後編-
彼女ができたらすぐ同棲始めるタイプ。バンドも場所が変わりゃすぐに組む(笑)
狂気すら感じさせるユーモア溢れる芸風、オンリーワンな世界が爆発するアートセンス。今や幅広いフィールドで活躍する芸人“くっきー!”の存在を知らない人はいないだろう。芸人としてだけではなく、ジェニーハイやTHE SESELAGEESなどのバンド活動も行うなど、ギター/ベースマニアでも知られる“くっきー!”がFenderNewsのCOVER ARTISTに登場。インタビュー後編では彼のギタリスト遍歴に迫った。
ガキの頃に憧れていたバンドさんと対バンしたりするんですよ。もう嘘みたいですよね
― そもそもギターを始めたキッカケは?
くっきー! 中坊の時にバンドブームがバンバン来てたんすよ。THE BLUE HEARTSさんやジュンスカ(JUN SKY WALKER(S))さんやユニコーンさんとかがバーンって出てきた時です。
― 80年代のバンドブームの時ですね。
くっきー! ええ。ほんで高1ぐらいのバンドブームのちょうど中後期で否応なしに楽器を始めるって感じですよね。バンドやろう、みんなでっていう。ライヴも観に行ってたし。あと、先輩がギターをくれよったんですよね。それが初のマイギターになって。
― 最初に組んだバンドはどのあたりをコピーしていたんですか?
くっきー! (セックス・)ピストルズとかザ・クラッシュとか。日本で言うたらCOBRAとかラフィン(LAUGHIN’ NOSE)とかパンクですわ。大人になった今、“盆地で一位”と“THE SESELAGEES”という2つのパンクバンドをやってるんですけど、たまにガキの頃に憧れてコピーしてたバンドさんと対バンしたりするんですよ。もう嘘みたいですよね。
― 当時、憧れのギタリストは誰ですか?
くっきー! 憧れのギタリストはCOBRAのNAOKIさん(現SAのギタリスト)ですね。なので、初めて自分で買ったのはNAOKIさんと同じギターでした。
― プロを目指さなかったんですか?
くっきー! 高1から高3までずっとバンドをやってたんです。高校出て、就職先とか別に探してもなかったんで、そのままバンド続けよう思ってたんですけど、ヴォーカルのヤツに芸人になろうって言われて、芸人になっちゃってたんですね。パンクバンドのプロって“あんまなぁ”って感じあるじゃないですか。何かインディーズでおるほうがええみたいな。だからプロ志向とかなく、何となく日雇いバイトをしつつ、土日はライヴみたいなんが理想やったんですね当時は。そっちのほうがカッコええみたいな。今思うたらけっこう地獄の生活ですよね。
― お笑いに行って音楽活動は辞めてしまった?
くっきー! 全然。大阪に出て、また大阪でバンド作って。それこそ、彼女ができたらすぐ同棲始めるタイプなんですよ、僕って。バンドも場所が変わりゃすぐに組む(笑)。あんま知らん人とでもバンド組めるタイプなんで。
― 今までいくつバンドをやってきたんですか?
くっきー! 学生の頃、大阪時代、東京、ほんで吉本でやってるのと…全部で5つです。5人付き合ってたって感じですね。5股、5同棲ですわ。
― すごい体力ですね。曲はくっきー!さんが書いているんですよね?
くっきー! そうですね。下手なりに何となく。
― 作曲を始めたのはどのタイミングですか?
くっきー! 作曲は高校のケツぐらいですね。オリジナルをやろうってなった時に、何となく仕切っちゃう癖があるというか。カリスマ性がないぶん、自らカリスマ性を出そうとするタイプ。集めたからには自分でやらなって。
― 最初に作った曲はどんな曲でしたか?
くっきー! 高校の時に作った「竜巻」っていう歌ですね。竜巻だ!逃げろー!みたいな、ボケソングです。たしか、みんなでキュキュッキュとか言ってたと思うんですよ。オイパンクっぽく。あれー、竜巻だー、うーキュキュッキュ、みたいな。それを3回繰り返して終わり(笑)。全然パンクじゃなかったですけどね(笑)。
― 思い出したらぜひともYouTubeでやってください。
くっきー! やりますわ。いや再生回数伸びんでしょ(笑)。
ギターは、かわいいけどカッコいい。GAOさんみたいな
― 多忙だと思いますが、それでもバンドとギターはずっと続けているんですね。
くっきー! それはずっとですわ。すごく上手くなりたいんですけどね。なかなか上手くならんですね。ムズいですね。そもそも、パンク上がりがテクニックを邪魔するわけですよ(笑)。同級生のツレで、それこそエリック・クラプトンみたいなヤツがおったんですよ。
― ブルースロック系ギタリスト的な?
くっきー! そうそう! ほんでちょっとテクニカルな。やっぱ、パンク側からしたらめっちゃバカにしてたんですよ。“何やねんお前、チャラチャラ弾きやがって”みたいな。今思うたらアイツのほうがカッコ良かった(笑)。
― (笑)。高1からずっとギター弾いてきて、挫折ってありましたか?
くっきー! だいたい耳コピなんですけど、何となく“できへんとこはちゃう感じで弾いて”みたいな感じなんで、あんま挫折はなかったですね。
― では、ギターをやっていて良かったと思うことは?
くっきー! なんやろうな。やってて損したってことはあるんですけどね(笑)。金が激烈に減るとか。あと、ベロベロに酔っ払っちゃって、嫁の友達の前でずっとカッコつけて弾いててあとでめっちゃキレられたっていう(笑)。でもまぁ、当たり前なんでね。ギターあるのがね。嫁がガチギレて全ギターを処分された時に気づくんかもしれないですね、ギターのありがたみを。
― それぐらい生活に当たり前にギターがあると?
くっきー! そうですね。高1からずっと欠かさず絶対に1本は手元にあったんでね。あと、交友関係を広げるきっかけにもなってますね。ジェニーハイなんてまさにそうですわ。川谷絵音さんと一緒にバンドやってるし、こんなフェンダーさんのショールームに連れて来てもらえたんで(笑)。ギターやってて良かったです、マジで。
― なるほど。新しい出会いを開くひとつのツールにもなると。
くっきー! そうですね。関西のほうに超いかついバンドがいてるんですよ。ヤベェってされてるスキンズ(=スキンヘッズ)のバンドがいて。めちゃめちゃ怖かったんですけど、つこうてるギターが一緒やったんですよ、偶然。それで話が合って仲良くしていただいたりとか。助かることはありましたね、やっぱね。
― ギターの話ができるだけで、飲み屋で知らない人と会話が盛り上がることもありますよね。
くっきー! ギターっていっぱい種類ありますからね。しかも、音、パーツ、歴史…いろんな話ができますから。
― 改めてギターの魅力を言葉にすると?
くっきー! どっちかわからんというか。オスとするのかメスとするのか。かわいいねやけど、カッコいいねっていう。女子やけどカッコいいみたいな。人で例えるとGAOさんみたいな。
― 例えが秀逸ですね! くっきー!さん的にはどんなギタリストを目指しているんですか?
くっきー! やっぱパンクスが好きなんで、ほんまNAOKIさんはすごい憧れですね。NAOKIさんって現代のギタリストの中で、エフェクター一番少ないんちゃいます? エフェクター3台ぐらいじゃないですか? チューナーとオーバードライブとコーラスぐらいしかあらへん。あれがまたいいっすよね。
― 確かに!
くっきー! NAOKI先輩に憧れて最初のギターも買って、COBRAのコピーもしたんで。でもNAOKIさんも昔、ストラトを使ってたんですよ。LAUGHIN’ NOSEの時に。
― 全然イメージないですよね。
くっきー! ヒットスタジオみたいな番組にめちゃめちゃ初期のLAUGHIN’ NOSEが出てる時に、ストラトで出てきはったんですよ。で、ストラトや!思うて。覚えてますもん。
― くっきー!さんもついにストラトをゲットしたので、NOAKIさんに自慢できますね!
くっきー! いえ。“あなたストラト使ってましたもんね”って言いますわ(笑)。
― (笑)。最後に、これからギターを始める人やビギナーにアドバイスをお願いします。
くっきー! 今はコロナで僕自身、テクニック向上タイムというかね、エリック・クラプトンの「ティアーズ・イン・ヘヴン」やりだすようなことになっているんで(笑)。コロナの間は視野広げ&テクニック向上タイムじゃないですか? ライヴでけへんぶん。だから、コロナ明けたら新たなギタリストになってるんじゃないかなと思ってますし、そう思って頑ります!
› 前編はこちら
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くっきー!
76年3月12日生まれ、滋賀県出身。日本のお笑い芸人。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1994年4月、ロッシーとお笑いコンビ・野性爆弾を結成。ネタ作りからコントの小道具まで全て自身が手掛けている。盆地で一位、THE SESELAGEES、ジェニーハイなど音楽活動も精力的に行っている。
› Website:https://supercookielandneo.com