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Cover Artist | くっきー!(野性爆弾)-前編-

Stratocasterは“王様ギター”のイメージ。どちらかと言うと社長よりも会長

狂気すら感じさせるユーモア溢れる芸風、オンリーワンな世界が爆発するアートセンス。今や幅広いフィールドで活躍する芸人“くっきー!”の存在を知らない人はいないだろう。芸人としてだけではなく、ジェニーハイやTHE SESELAGEESなどのバンド活動も行うなど、ギター/ベースマニアでも知られる“くっきー!”がFenderNewsのCOVER ARTISTに登場。インタビュー前編では、フェンダーの魅力について話を聞いた。


フェンダーの音が一番カッコイイんじゃないですか?他のメーカーさんには申し訳ないですけど

― くっきー!さんのYouTubeチャンネルで『サックくきサクの愛用ギター』を拝見しました。所有するギターのうちのごく一部を紹介していましたが、今ギターは何本所有されていますか?

くっきー!  めちゃめちゃ多くて、芸人やったら圧倒的に一番多いと思いますわ。ベースを入れて23本ぐらいですかね。その内、フェンダーのギターが2本ですわ。TelecasterとJazzmaster。Jazzmasterをメインに使ってます。

― 最初に買ったフェンダーのギターは?

くっきー!  いっちゃん最初に買ったんはTelecasterです。それはネットで買ったんですけど、Bベンダーがついているやつです。

― Telecasterは誰のルーツなんですか?

くっきー!  パンクバンドが好きなんで、ザ・クラッシュですね。ジョー・ストラマー大先生がつこうてはったんで。かと言って、ジョー・ストラマーと同じカラーはちゃうんじゃないか?っていうことでサンバーストなんですけど。

― Jazzmasterは?

くっきー!  ジャズマスは、ただただ形がカッケーなってずっと思ってたんですよ。でも、ジャズマスってちょっと手届かんぐらい高いじゃないですか。ほんで嫁に土下座3発。「パッ」「パッ」 「パッ」と時間差土下座(笑)。で、“じゃあいいわよ”って。

― ギターのためなら土下座もすると(笑)。ギターメーカーっていくつもありますが、くっきー!さんの中でフェンダーってどんな存在ですか?

くっきー!  フェンダーはね、ちょっと敷居が高いというか、ある程度上手くないと買ったらあかんもんみたいな。

― 乗りこなすのは簡単じゃない、みたいな。

くっきー!  そうなんですわ。パンク好きやから、どっちか言うとゴンゴン歪み系が多かったんすよ、若い頃って。歪みでテクニックを誤魔化すというか(笑)。馬鹿みたいにディストーション上げとったらええわ!みたいな感じやったんですけど、それから徐々にギターをちゃんと弾くようになって、何となくソロとかも楽しくなってきた頃に、ちょっとクリアなトーンが欲しくなったらやっぱりフェンダーのほうに行っちゃいますわね。

― シングルコイルのクリーントーンでアルペジオだとか、味のあるギターソロを弾きたくなるとフェンダーに行きたくなると。

くっきー!  そして、オーバードライブをうっすらかけてジャリーン!と刺すみたいなね。やっぱりいいっすよね。フェンダーの音が一番カッコイイんじゃないですか? 他のメーカーさんには申し訳ないですけど。

― ジェニーハイ(川谷絵音、小籔千豊、くっきー!、中嶋イッキュウ、新垣隆からなるバンド)ではベースを弾いていますが、ベースは何をお持ちですか?

くっきー!  Precision BassとJazz Bassが2本あります。もちろんフェンダーですわ。ジェニーハイの時はプレベですね。アメプロ(American Professional)でネズミ色のやつですね。


試奏せずにもうビジュアルですね。フェンダーさんは試奏せんでも100点なんで

― ギター、ベースを買う時は試奏をしまくって買うタイプですか?

くっきー!  これね、案外せえへんのですよね。今の時代ってネットである程度音が聴けるじゃないですか。エフェクターもそうなんですけど、ネットでいろいろ見て、この音ええなって思ったらもう“その音なんでしょ?”っていう感じで。あんま弾き心地とか気にしないんですよね。フェンダーさんだと、ネックもボディも薄いからだいたいわかるじゃないですか。フェンダーさんってネックの太さって全部一緒ですか?

― 全部一緒ではないです。いろんなタイプがあります。

くっきー!  勝手に一緒やと思ってたんで(笑)。あと試奏に行って、弾いてて夢中になったらちょっと恥ずかしいじゃないですか。やってるやってる!って思われて。音出してもコードをチャンチャンチャンって3個ぐらい弾いて、あとちょっとチョーキングぐらいしてみたいな。

― ガチで弾いているところを他人に見せるは確かに恥ずかしいですよね。

くっきー!  そうなんですよ。大阪時代に楽器屋に行ったら、ギターの子が端っこにおってブランキー(BLANKEY JET CITY)の「SKUNK」かなんか弾き出して。ほんなら奥でベースを弾いてたヤツが急にジャムり出したんですよ(笑)。キャンキャンキャララキャキャキャンキャーンって。こっちはベンベンベべべべーンってなってて。うわ!ダッセー思うて。知らん者同士急に。だから、鼻息荒くして弾くんのも恥ずいなと思ってまして。

― (笑)。基本試奏はせずに?

くっきー!  そうですね。試奏せずにもうビジュアルですね、基本的には。フェンダーさん、他のメーカーさん、それぞれ確立した音があるじゃないですか? しかも、フェンダーさんはもう試奏せんでも100点なんで(笑)。すでに100の音をいただけるんで。

― ありがとうございます。そして、実はStratocasterとしっかり向き合うのは今回が初めてだそうで。

くっきー!  初です。

― 意外ですよね。なぜ今までStratocasterを弾いてこなかったのですか?

くっきー!  ストラトは上手い人しか持ったらあかん、“王様ギター”みたいなイメージで。裏キングという感じでして。グレッチの派手な“王様!”じゃなくて、佇んだ王というか。どっちか言うと社長というよりは会長みたいな(笑)。なかなか手が出にくいっすよね。ほんま下手な人が持つもんじゃないというかね。なんかこうゾワッとしますよね。上手い人ってだいたいストラト持ちません?

― エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックス…確かにストラト弾きって名プレイヤーが多いですよね。

くっきー!  ええ。テクニックが凄い人ってみんなストラトを持ってる気がするんですよ。

― 自分のプレイのアイデンティティがないと、なかなか持ちにくいって声は聞きます。

くっきー!  はいはい。僕、宅録をするんですよ。いっぱいギターあるんですけど、その時はストラトじゃなくて、ストラトタイプの子供用のミニギターがあるんですけど、それが案外ええ音して。なので、ようやく本物のストラトですわ。だから、スゲェ使えるわっていう感じですね。

― まずは家で作曲用に使っていただけると。ステージではどうですか?

くっきー!  そりゃあ映え映えじゃないですか。やっぱりステージで弾き倒して、今は新品で美しいですけどもっと味を出したいですよね。そやから、一旦紐つけて単車のケツに引っ張って、畦道を走って味出して。

― えっ!?

くっきー!  いやいや、さすがにようしません(笑)!

― (笑)。ちなみに、お忙しい日々だと思いますが毎日ギターは触りますか?

くっきー!  触ります。毎日触ります。

― それは練習として?

くっきー!  練習もありますね。最近、おっさんなって落ち着いたテクニックをと思い立って、それこそエリック・クラプトン「ティアーズ・イン・ヘヴン」を。パンクの域では絶対にやらないじゃないですか。最近それを練習してますね。けど、初心者が弾く曲なんかと思ったら意外と難しくて。新しく覚える楽しみを味わってますわ。新しいジャンルで。

― まさにストラトの出番ですね。

くっきー!  そうですね。ちょっとクラプトン、マスターします。

― マスターしたらYouTubeチャンネルに上げてください!

くっきー!  はい。当然気持ち悪い替え歌して終わると思いますけど!

› 後編に続く


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AMERICAN PROFESSIONAL II STRATOCASTER® は、60年以上に渡る革新、インスピレーション、進化を経て、現代のプレイヤーの要求に応えます。


くっきー!
76年3月12日生まれ、滋賀県出身。日本のお笑い芸人。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1994年4月、ロッシーとお笑いコンビ・野性爆弾を結成。ネタ作りからコントの小道具まで全て自身が手掛けている。盆地で一位、THE SESELAGEES、ジェニーハイなど音楽活動も精力的に行っている。
› Website:https://supercookielandneo.com

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