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Cover Artist | Anly -前編-

フェンダーの考え方や冒険心が、私はすごく好きです

多様なジャンル、国籍、アイデンティティを持つアーティストを選出し、世界中の何百万人もの音楽ファンとつながるための総合的なマーケティングサポートを行うフェンダーのグローバルプロジェクト『Fender NEXT 2022』。その日本代表に選出された沖縄出身のシンガーソングライターのAnlyが、FenderNewsのCover Artistに登場。インタビュー前編では、楽器を始めたきっかけ、ビギナーへのアドバイス、そしてフェンダーに対する印象について聞いた。

ギターという相棒がいるんだから、難しいことはしなくていい

― ギターを始めたきっかけを教えてください。

Anly ギターは4~5歳ぐらいの時から弾いています。夕暮れになると、夕ご飯ができるまで父が縁側に座ってギターを弾く時間があったので、それを見たり聴いたり一緒に歌ったりしていたのが、ギターと触れ合ったきっかけです。同じぐらいの時に、父が小さな赤いギターを買ってきてくれて、それがおもちゃ代わりだったというか。おうちでギターを弾いて遊んでいました。

― 初めて弾いた曲は覚えていますか?

Anly 単音だとCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル)の「ダウン・オン・ザ・コーナー」で、コード弾きでは「朝日のあたる家」を弾いた覚えがありますね。それ以降は、フォークソングとかのコードが書かれている本を自分で買って弾いていました。あと、耳コピもしたり。カセットテープに録音された音源が残っていて、ノラ・ジョーンズも弾いていたみたいです。自分でも覚えてなくて、“弾いてたの?”ってくらいなんですけど(笑)。中学生の頃は、ザ・ビートルズの「ブラックバード」をめっちゃ練習しました。そのおかげで“このコードではこの音を鳴らしちゃいけない”とか“この音を抜かしたらキレイな和音になる”とか、そういうのを学べました。理論というよりは、自然に体に入ってきた感じがありますね。

― セロハンテープでギターに右手小指を固定して練習していたとか。

Anly そうなんですよ(笑)。特にアルペジオを弾く時に1弦に小指を置く癖があって、それだとちょっとなぁと思って。ギターって、弦全体が共鳴してキレイな倍音が出るじゃないですか? でも、1弦に指を置いて押さえることで倍音が出にくくなると感じたので、直しました。サウンドホールの右斜め下ぐらいに、小指をセロハンテープで固定して弾いていましたね(笑)。

― バレーコードが弾けないなど、初心者定番の壁にぶつかったことは?

Anly その挫折はなかったです。なぜかというと、カポが友達だから。難しいことをする曲は、カポでコードを変換していたんです。それに父がFを省略コードで教えてくれたので、“難しいFじゃなくてよくない?”って気持ちになっていたんですよね。今は、こう(セーハして)押さえたほうが低音が鳴って歌にも深みが出るし、演奏面の理由でバレーコードを押さえることはあるけど、必要なかったら省略コードを押さえています。だから、壁はいつの間にかすり抜けていました(笑)。

― カポタストがあると、曲のキーを変えられたり、バレーコードをオープンコードで弾けたりしますからね。ビギナーにギターを長く続けるためのアドバイスをするなら?

Anly 現実的な話をしてもいいですか? まず、カポを買ってください。例えば女性の方なら、男性の曲を歌いたくてもキーが低い時とかコードが難しくて弾けない時に、カポがあれば自分の弾けるコード内でできるんです。ギターを弾くことに対して、壁を作らないほうがいいと思います。私は壁を抜けてきた人間だからわかるんですけど、そこで止まってしまうともったいないんですよね。どうにか壁をすり抜けて、ギターを弾くことが楽しい、歌うことが楽しいって続けていけば、いつの間にか“バレーコードが弾きたい”ってなるんですよ。だから、いかにラクできるかを考えたほうがよくて、真正面からいかなくていいと思います。そこで、簡単にやるために適しているのがカポ。歌いやすいキーに変えられるので、それが一番おすすめかな。

― とても実用的なアドバイスです。

Anly 弾くことを諦めないでほしいんです。簡単なコードは絶対にあるし、練習していけばいつの間にか“この曲はコードが難しいけど、弾けるようになったらカッコいいな”ってなるし、自分の意思で学べるようになるまでは簡単なものを弾いて、楽しいって気持ちを保ったほうがいい。音楽を楽しむ上でギターという相棒がいるんだから、難しいことはしなくていい。それが、ビギナーさんには絶対に必要なことだと思います。ギターって、楽しければいいんです。

フェンダーは、ワクワクさせてくれるブランド

― ペイズリー柄のTelecaster®︎や、Telecaster®︎ Thinline、American Acoustasonic®️ Jazzmaster®️などを使用しているAnlyさんですが、フェンダーとの出会いはいつでしょうか?

Anly 最初は父が持っていたというのがありますね。Stratocaster®️だったと思います。自分のフェンダーとしてはペイズリー柄のTelecasterが初めてで、3rdシングル『EMERGENCY』から使い始めました。父親が弾いていたのがフェンダーだったから、“エレキと言えばフェンダー”という感じだったんですよね。

― SNSの動画投稿では、よくアコスタのJazzmasterを使っていますよね。

Anly アコスタのJazzmasterは、これは弾くぞ!って気持ちのギターです。このギターのすごいところはエレキの音も出るところで、アコースティックの音も5つポジションがあって画期的なんですよね。だからどちらかと言うと、ステージで弾く時とか頑張ろうね!って感じのギター。感覚ですけど、Telecasterは見ていると癒されるんです。“隣にいて居心地がいいギター”というのは重要なポイントで、Telecasterは癒されるギター。そしてこのJazzmasterは“カッコいいギター”なんですよね。TikTokとかに投稿する時は大体このギターを弾いています。

― 他のギターを弾く時もアコスタが映り込んでいて、いつもAnlyさんの側にあるギターという印象があります。

Anly そうそう、触りやすいんですよね。最新シングル『VOLTAGE』のデモもこれで作りました。エレキの音にしてみたい時にすぐに音が変えられるから、制作でも便利。めっちゃ愛着が湧きます。

― このたび、Anlyさんはフェンダーのアーティストサポートプログラム『Fender NEXT 2022』の日本代表に選出されました。率直な想いをお聞かせください。

Anly 本当に光栄ですし、若干プレッシャーもあります(笑)。これをきっかけに、ギターの技術とか、ライヴでどう見せていくかをまた研究していこうかなと思います。アコスタのJazzmasterはこれからもどんどん使っていきたいので、サポートしていただけると私の活動も広がるなと、とても楽しみです。やってみたいこととしては、海外のアーティストと何かしらコラボしてみたいですね。『NARUTO』とか最近で言うと『BORUTO』とかでご一緒させていただいているアニメの関係で、リスナーも海外に多いんですよね。(動画の)コメント欄も外国語が多くて。なので海外の方とコラボしてまたそのリスナーにリンク出来たらいいなと思います。

― Anlyさんはブランドを問わずさまざまなギターに触れていますが、だからこそ感じるフェンダーの印象を教えてください。

Anly 常に進化しようとしている感じが好きなんですよね。弾く人が何を欲しているか考えて、いい意味で時代に合わせていて。アコスタも1本でこんなに音色が変わるというのはすごく惹かれる魅力だったし、そういうのを作れる好奇心を忘れないブランドって素敵だなって。フェンダーは、ワクワクさせてくれるブランドだと思います。

ここまで世界中に知れ渡っているなら、別にクリエイティヴを止めてもおかしくないじゃないですか? それでも毎年新しいものを作っているのって、音楽を作る身として、クリエイティヴという大きなグループに属してる身として、すごいなと思うんですよね。そういうフェンダーの考え方や冒険心が、私はすごく好きです。だから、ずっと関わっていたいと思います。

› 後編に続く

Left to Right : Joe Strummer Campfire Acoustic / American Acoustasonic® Jazzmaster®


Anly

97年1月、沖縄・伊江島生まれ。沖縄本島からフェリーで約30分、北西に浮かぶ人口約4,000人、風光明媚な伊江島出身。英語詞、日本語詞、さまざまなジャンルの音を楽曲の随所に感じさせるミックス感覚、ループペダルを駆使したソロライヴ、バンド編成ライヴ、アコースティックギター弾き語りなど、イベントや会場に合わせパフォーマンスやスタイルを変え、日本国内、香港、台湾、ドイツなど海外でもライヴを行う、唯一無二の空気を感じさせる沖縄出身シンガーソングライター。
https://www.anly-singer.com

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