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Cover Artist | 北村匠海 & 矢部昌暉(DISH//)-前編-

ギターは”自分を表現するツール”感情をぶつけてみるのも音楽だと思う

演奏しながら歌って踊る、4人組ダンスロックバンドのDISH//。2011年12月に結成された彼らは、シングル「I Can Hear」でメジャーデビューを果たして以降、さまざまな音楽的スタイルを貪欲に取り入れながら飛躍的な進化を遂げてきた。そんなDISH//から、ヴォーカル&ギターの北村匠海と、ギター&コーラスの矢部昌暉が登場。ギターに対する思いをじっくりと語ってもらった。

基礎練習もすっ飛ばして、とにかく好きな曲のカヴァーばかりしていました

― まずは、お二人がギターを始めたきっかけから教えてもらえますか?

北村匠海(以下:北村)  僕らDISH//は事務所のオーディションで選ばれたメンバーによって結成された、ちょっと特殊な経歴を持つバンドなんです。その頃はRADWIMPSが大好きで聴いていたんですけど、当時14歳だった僕にとって、ギターはその時に“与えられたもの”という存在で、チューニングすら知らない状態だったんですよね。

矢部昌暉(以下:矢部)  僕もまったく同じです。当時13歳だったんですけど、それまではスポーツばかりやっていて。バンドどころか音楽にもほとんど触れてこなかった。DISH//を始めてから好きになっていった感じでしたね。

― ギターもバンドもまったくのビギナーとしてDISH//がスタートしたのですね。どんな練習をしていました?

北村  まずはMONGOL800の「小さな恋のうた」を練習曲にして、バンドで合わせるところから始まりました。もちろん最初は上手くいかず、自分たちの曲を演奏することなんてできるのだろうか?と思っていましたね。手も小さいし、コードもロクに押さえられず怒られてばかりだったんですけど、その頃からだんだんZAZEN BOYSやandymoriのような邦楽のロックに次々と出会って、自分の音楽観が出来上がっていく中、基礎練習もすっ飛ばしてとにかく好きな曲のカヴァーばかりしていました(笑)。それが練習法と言えば練習法でした。

矢部  僕は、ギターが好きになるのがすごく遅かったんです。自分が好きで始めたわけじゃないのに、上手く弾けなければ怒られるし、“何でこんなことをやってるんだろう”と思っていた時期がしばらくありましたね。とは言え、僕はリードギター担当だったのでギターソロもあるし、とにかくスケール練習をしたり、DISH//のギターソロをひたすらコピーしたりしていました。

― ギターを好きになったのはどのタイミングでした?

矢部  2017年に、ドラムの泉大智が正式加入したタイミングですね。それまでも徐々に好きになってきてはいたのですが、大きく意識が変わったのはその時でした。バンドとしてもっと大きくなりたいし、そのためにはギターをもっと上手く弾けるようにならなきゃと思ったんです。DISH//の中にJazzmasterのサウンドを 取り込めるのが楽しくて仕方がない

― フェンダーとの出会いはいつでしたか?

北村  2019年にJazzmasterを手に取ったのが最初の出会いです。フォルムが好き過ぎるんですよ。NUMBER GIRLをはじめ、自分が好きなアーティストが持っていたというのもあるんですけど、独特のサウンドがあるじゃないですか。カリッとでもゴリっとでもなく、ゴン!ってくる感じ…わかりますかね(笑)? そのサウンドがDISH//に合うかどうかもよくわからなかったのですが、とにかく好きな音だったので手に取ってしまいました。

― 実際にバンドの中で弾いてみてどうでしたか?

北村  僕は今、マッチレスのアンプを使っているのですが、Jazzmasterとの相性がすごく良くて。DISH//のレパートリーの中では、例えばカッティングが印象的な曲だとものすごく真価を発揮してくれますね。Jazzmasterのサウンドを、DISH//の中に取り込めるのが楽しくて仕方ないです。

― 矢部さんはどうですか?

矢部  実は僕、DISH//を結成した直後にStratocasterを手に入れたんですよ。というのも、中学生の時に“幽霊部員で構わないから入ってくれ”と頼まれてギター部に所属していたことがあって(笑)。その時は別にギターを弾いていたわけでもなく、部室でただしゃべっていただけなんですけど、DISH//でギターを弾くことになって、部長に相談したらStratocasterを貸してくれて。その時はまだそれがフェンダーだということも、その価値すらもわかっていなかったんですけど(笑)。

― 何だか運命的なものを感じますね。お二人にとって憧れのギタリストは?

北村  僕はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのアベフトシさんです。アベさんはTelecasterでしたが、とにかくカッティングがカッコ良くて。手にコンプが搭載されているんじゃないか?って思うくらい本当に安定しているんですよ(笑)。ライヴ映像もめちゃくちゃ見ましたし、「世界の終わり」や「シャンデリヤ」は家でコピーしまくりましたね。真似しようにも真似できないくらい、大好きで偉大なギタリストです。

矢部  僕はDISH//を始めて、まだギターをあまり好きになれずにいた時にONE OK ROCKのライヴを観に行って。そこで初めて、ロックバンドを“カッコいい!”と思ったんです。その時の光景が今でも忘れられないし、おそらく永遠に憧れ続ける存在だと思います。そういう意味では、Toruさんのギターが一番好きということになるかもしれないですね。

― DISH//を結成した頃のお二人のように、これからギターを始めようと思っている人にアドバイスするとしたら?

北村  僕はもう、ただただ好きだからギターを頑張れたんです。さっきも言ったように、まずは自分が好きな曲、弾いてみたいと思う曲にチャレンジしてみるのがいいんじゃないかなと思います。いきなり運指の練習とかしても、全然面白くないじゃないですか(笑)。今はネットで調べれば、楽曲のコード進行などもすぐに出てきますし、まずはそれを参考にしながら自分の大好きな曲を弾いてみるのが一番の練習方法だし、長続きのコツなのかなと思います。

矢部  ギターは“自分を表現するツール”だと僕は思っていて。例えばギターの練習をしていて、もうダメだ、全然上達しないしギターなんてやめちゃおうかなと思ったなら、その感情をそのままギターにぶつけてみるのも音楽なのかなと思うんですよね。譜面通りに上手に演奏することだけが“ギター表現”ではないと思うんです。まずは自分がその時に抱えている感情を、下手でもいいからそのまま演奏に落とし込むことから始めてみてはどうでしょうか。

› 後編に続く


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DISH// 使用機材
北村(左):AMERICAN ACOUSTASONIC® TELECASTER®
矢部(右):AMERICAN PROFESSIONAL II STRATOCASTER®


DISH//
北村匠海(Vo,Gt)、矢部昌暉(Cho,Gt)、橘柊生(DJ,Kb)泉大智(Dr)の4人で構成された、演奏しながら歌って踊るダンスロックバンド。 2011年12月に結成。2013年6月にソニー・ミュージックレコーズよりシングル「I Can Hear」でメジャーデビュー。これまでに12枚のシングルと3枚のアルバムを発表。エンターテインメント性の溢れたライヴは大人気で、4年連続で元日に日本武道館での単独公演を通算5回開催した。2019年4月にリリースしたアルバム『Junkfood Junction』はオリコンウィークリーチャート2位を獲得。8月にバンド史上最大規模となる野外公演〈DISH// SUMMER AMUSEMENT ’19 [Junkfood Attraction] 〉を富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催し1万人を動員した。 2020年3月に公開されたYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の「猫」が話題となり、音楽配信サービスで「猫」が累計2億回再生を突破、日本レコード大賞優秀作品賞を受賞するなど大ヒットを記録している。 4人は個々でも活動も行い、中でも北村匠海は映画『君の膵臓をたべたい』(2017年)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、映画やドラマの話題作に数多く出演している。
› Website:https://dish-web.com

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