Cover Artist | 粗品 -前編-

王道のギターが欲しくてストラトを買いました

お笑いコンビ“霜降り明星”として数々の受賞歴を誇る傍ら、2020年に発表したボカロ楽曲「#みどりの唄」がXのトレンド入り。さらに2021年にはレーベル“soshina”を設立するなど、その型破りなキャラクターも相まって音楽活動でも存在感を強めている粗品が、FenderNewsのCover Artistに登場。インタビュー前編では、幼少の頃から音楽に親しんできた彼に、音楽やギターとの出会い、そしてなぜ彼が今本格的に音楽活動に乗り出したのか、動機を聞いた。

なお、粗品は4月27日から無料配布を開始しているFenderNewspaper Vol.13の表紙巻頭にも登場しており、そちらではウェブでは見ることのできない写真も多数掲載しているのでぜひお近くの店舗に足を運んで手に取ってもらいたい。

THE BLUE HEARTSのライヴCDを友達に借りてギターに目覚めた

──小さい頃から楽器をされていたんですね?

粗品 二歳からピアノを始めました。音楽に明るい親で、ピアノは母ちゃんに習いに行かせてもらいました。中学生になる直前にTHE BLUE HEARTSのライヴCDを友達に借りてギターに目覚めましたね。

──何が琴線に触れたんですか?

粗品 メロディがキャッチーなところですかね。聴いた時にスッと入ってきたというか。で、中学生の時にTHE BLUE HEARTSのコピーバンドを組みました。

──その時からギター&ヴォーカルを?

粗品 そうですね。THE BLUE HEARTSも聴きつつ、中三~高一でマキシマム ザ ホルモンにハマって。ホルモンはユーモアもあるしめっちゃカッコいいし、それから重ためのサウンドも聴くようになりました。あとはアニソン。ニコニコ動画が大好きやったんで、ボーカロイドとかの文化に行きましたね。電子音もいいけど、やっぱりエレキギターが鳴っている音楽を探していました。

──作詞・作曲はいつから始めたんですか?

粗品 中学生からですけど、遊びレベルで言うと小学生の頃から。で、父ちゃんと母ちゃんの前で歌ったりしていました。

──フェンダーを知ったのはいつですか?

粗品 中学生の頃じゃないですかね。普通に楽器屋に入って“フェンダーいっぱい並んでんなぁ。(ロゴの)Fが逆やなぁ”って、そんなんから知りました。初めて買ったギターはその楽器屋が制作している一万円の初心者セットで、二台目は五万円くらいのギターを分割払いで買って、フェンダーを買ったのはその次ですね。王道のギターが欲しくて、中三か高一の時にストラトを買いました。

──数あるフェンダーの中でなぜストラトを?

粗品 ホルモンの影響で、亮君が使っている重ためのギターもええなと思いつつ、それこそTHE BLUE HEARTSもそうやけどキャッチーで六弦が全部キレイに聴こえるギターってどんなやろ?って興味もあった。そんな時に『けいおん! 』を見てて、ストラトとかテレキャスに興味を持ち出したんです。

──当時、プロミュージシャンになりたいという気持ちはなかったんですか?

粗品 ありましたね。高校の時は指揮者を目指していたんです。でも、心の内ではバンドかアーティストか、お笑い芸人はどうなんかなと。学生時代に〈閃光ライオット〉(10代のアーティストによるフェス)に応募したらデモ審査で落ちて、同時期にエントリーしたのがお笑いの大会。高校生の頃に吉本興業主催のM-1甲子園で決勝に進んだり、テレビに出たり、R-1グランプリで準決勝に進んだり、“俺、お笑い向いてんねや”って。

──〈閃光ライオット〉に受かっていたら違う人生になっていたかも?

粗品 そうですね。芸人は向いているから始めただけなんで。

『星彩と大義のアリア』のデザインはストラトを買ったところから着想を得た

──再びフェンダーのギターを購入したのはいつですか?

粗品 2023年6月にFender Flagship Tokyoのオープン記者発表会にMCとして呼んでいただいた時にストラトを一本ゲットして、そのあとに再びFender Flagship Tokyoにお邪魔して、カスタムショップのゴールドのストラト(Andy Hicks Masterbuilt 1962 Ancho Poblano Stratocaster Heavy Relic)を購入しました。

──気に入っているポイントを教えてください。

粗品 ほんまにミーハーなんですけど、音楽業界の方やアーティストの方やエンジニアさん、全員が“めっちゃいいっすね!”って言うんですよ。褒められるのがまずは超嬉しい。あとはやっぱり音がいいですね。最初、エフェクターを何個か用意して1stアルバム『星彩と大義のアリア』のレコーディングに臨んだんですけど、ギターのポテンシャルがすごいのでほとんどの曲をアンプ直で弾きました。

──シンプルなギターロックを弾こうとすると、テレキャスのジャキジャキした音も欲しくならないですか?

粗品 このストラトでちょうどいいっすね。テレキャスよりも、このストラトで少し歪ませてコード弾きした音が、自分のやりたい音楽にすごくマッチします。1stアルバム『星彩と大義のアリア』のアーティストロゴとか、ジャケットのタイトルとか、メインビデオもそうですけど、このストラトを買ったところから着想を得たんです。“金色がカッコいい!”と思って買わせてもらったんで、その直感を信じてほとんどのクリエイティブを黒と金でデザインしています。

>> 後編に続く(近日公開)


粗品
1993年、大阪府生まれ。2歳からピアノを始め、13歳からはギター、高校からはDTMに目覚める。芸人として数々の受賞歴を誇る傍ら、2020年にボカロ楽曲「#みどりの唄」を発表。2021年、自身のレーベル“soshina”を設立。同年3月にレーベル第1弾楽曲「乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう (CV:竹達彩奈)」をリリース。同年11月には太鼓の達人20周年アンバサダーに就任。記念ソング「大好きな太鼓の音 feat. どんちゃん」を書き下ろした。2023年4月、NHK Eテレ放送のアニメ『青のオーケストラ』のエンディングテーマ「夕さりのカノンfeat『. ユイカ』」をリリース。そして2024年4月17日に満を持して1stアルバム『星彩と大義のアリア』をリリース。それに伴い6月から対バンを含む1stツアーも決定している。
https://www.universal-music.co.jp/soshina/

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