Cover Artist | J -後編-
フェンダーというブランドの哲学が、僕の哲学ともマッチしたんです
(Photograph by Maciej Kucia)
今年結成30年を迎え、今なお日本のロック界を牽引するばかりか、世界中にファンを持つスーパーバンドLUNA SEAのベーシストでもあり、ソロ活動も20年以上のキャリアを持つJ。そんなJの唯一無二のベースサウンド、プレイスタイルは後進のベーシストに多大な影響を与えてきた。LUNA SEA結成30周年という節目にフェンダーとエンドース契約を結び、プレイヤーとして常にチャレンジを続けるJがCOVER ARTISTに登場。後編では、Jのために新たに作られた’57 Precision Bass® Relic Reverse Head, Masterbuilt by Greg Fesslerのこだわりを中心に聞いた。
― Jさん用にマスタービルダーがカスタムした’57 Precision Bass® Relic Reverse Headが完成しましたが、製作に際してこだわった点を教えてください。
J まずは僕自身が長年ベースを弾いてきて、“自分はこのサウンドが好きなんだな”っていう音を出してくれるボディ材、指板材はしっかりと指定させてもらいました。具体的に言うと、ボディ材はアッシュで指板材がメイプルです。Precision Bassでアッシュボディって、この形ではなかなかないんです。57年くらいまではアッシュ材なんですけど、それ以降はアルダー材に代わっているんです。
― アッシュとアルダーの音の違いは?
J アルダーよりもアッシュのほうが音がはっきりしていると言われていますし、アルダーだとロー感が自分の好みと少し違うんです。
― なるほど。
J そして、ネックはメイプル指板です。メイプルのほうがローズウッドよりも音の立ち上がりがいいんです。レコーディングも含めて、なぜか最後にアッシュボディとメイプル指板の組み合わせの楽器が残るんです。LUNA SEAのレコーディングでSUGIZOと話していた時、“実はメイプル指板とアッシュボディのコンビが好きなんだよね”と話したら、SUGIZOが“それがレオ・フェンダーのやりたかったことなんじゃないのかな?”って。彼いわく、レオ・フェンダーが最初に作ったのはアッシュボディにメイプル指板のはずだと。言われてみたら、レオ・フェンダーがG&Lを立ち上げた後もメイプル指板とアッシュボディでベースを作っているので、“確かにそうかもね”ってことになったんです。ということで、僕の最初のモデルにもそのコンビネーションを指定しました。
― ピックアップは?
J ピックアップが傾斜していますが、これは担当してくれたビルダー、グレッグ・フェスラーのアイデアです。もともと、プライベートで持っていたフェンダーベースの中で一番好みのサウンドを作っていたのが、グレッグ・フェスラーというマスタービルダーが作ったベースだったんです。彼が作ったものを何本か弾いて、“一体これは何だ?”というインパクトを受けたのが始まりだったので、今回も無理を言ってグレッグ・フェスラーに作ってもらいました。
― 外観で言うとリバースヘッドが特徴的ですね。
J 僕はピック弾きなので、弦のテンションがあったほうがいいんです。リバースヘッドだと4弦側のペグの位置が遠くなるので、4弦側のテンションを稼ぐことができる。それもあって、リバースヘッドのほうが音色的にも好みだったりして。見た目もやんちゃでいいんですよね(笑)。
― ボディのレリック具合も素敵ですね。
J 好みを伝えてカッコ良く仕上げていただきました。色にもこだわっています。ブラックゴールドと名付けているんですけど、金ラメで黒く塗装を吹いています。
― 見る角度を変えるといろんな色に見えますよね。
J そうなんですよ、不思議な色なんです。僕はハーレーにも乗るんですけど、イメージしたのは70年代あたりのヴィンテージのヘルメットです。ああいうムードが出たら男っぽくてカッコいいなと思って。ラメだからちょっとセクシーでグラマラスなので、女の子でも持てるかなと思ってこの色にしました。
― サウンドに関してはいかがですか?
J 到着してすぐに試奏したんですけど、スゲェ!と思わず声が出てしまいましたね。本当に自分自身も今まで経験したことがない音がして、ずっと弾いていたくなるサウンドを届けてくれたんです。大げさでもなんでもなく、色々細かくこだわりを伝えていたので “怒った?”って感じなんです。グレッグさん、本気出したでしょ?みたいな(笑)。そういう意味では、本当に想いを込めてくれたんだと思います。“お前にこれを弾きこなせるのか?”と。そこをスタートポイントとして、これから始まる俺自身の新しいストーリーを、すごくロックなものにしていけるのかなと思うと楽しみで仕方がありませんね
― このモデルのデビューは5月31日の日本武道館公演ですか?
J その前にファンクラブ限定ライヴがあります。オーディエンスの前で弾くのが楽しみです。
― ライヴだけではなくLUNA SEAのレコーディングでも使用しますか?
J もちろんそうなると思います。
― 今年はLUNA SEAの結成30周年。活発な動きを見せてくれそうですが、ソロ活動はどんなビジョンでしょうか。
J ソロ活動も現在、絶賛レコーディングをしています。なので、ソロの現場にもこのベースを連れて行くことになると思います。
― 結成30周年というタイミングで新しい武器を手にして、Jさんとしてはベーシストとして、そしてバンドマンとしてどんなことを夢見ていますか?
J 今回こうやってフェンダーとタッグを組んでロックすることができるのは、自分自身のキャリアにとってもすごく光栄なことだし、フェンダーの楽器は自分をキッズに戻してくれるんです。そんな刺激を30年目にベースから与えてもらい、新たなスタートを切れることの意味、そしてその先にある世界をみんなにも見てもらえたら嬉しいなと思っています。
― 若い世代にも影響を与え続けているJさんなので、フェンダーベースでどんな影響を与えてくれるかが楽しみです。最後に、未来のロックスターを夢見る次の世代にメッセージを。
J 僕も同じく、フェンダーの楽器は持っただけで一瞬にしてロックキッズの気持ちにさせてくれる。その熱を感じてほしいと思うから、ぜひフェンダーを試してみてほしいね。
› 前編はこちら
【ベースコレクション】
’57 Precision Bass® Relic Reverse Head BlackGold, Masterbuilt by Greg Fessler
カスタムショップのマスタービルダー、グレッグ・フェスラーによって製作された1本。70年代のヴィンテージヘルメットをモチーフとしたまばゆいカラーリング、リバースヘッド、精巧なレリック加工が目を引く逸品に仕上がっている。
PROFILE
ジェイ
92年、LUNA SEAのベーシストとしてメジャーデビュー。97年、LUNA SEAの一時活動休止を機に、ソロ名義でバンド活動をスタートし、1stアルバム「PYROMANIA」を発表。その後、LUNA SEA 終幕を経て2001年にソロ活動を再開すると、海外から多数のアーティストを招き開催したライヴイベント「FIRE WIRE」、史上初、アリーナをオールスタンディングにして開催した日本武道館公演、数多くのゲストバンドを一同に迎えての5日間連続ライヴ「SHIBUYA-AX 5DAYS」等、独自のスタイルでライヴを展開。2017年にはソロデビュー20周年を迎え、ベストアルバム「J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.」をリリース。現在は2010年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。
› Website:http://www.j-wumf.com
LIVE INFORMATION
J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-
7月6日(土)岡山IMAGE
7月7日(日)福岡DRUM Be-1
7月13日(土)金沢AZ
7月15日(月・祝)仙台Darwin
7月21日(日)札幌cube garden
7月27日(土)大阪BIG CAT
7月28日(日)名古屋CLUB QUATTRO
8月11日(日・祝)マイナビBLITZ赤坂
8月12日(月・振)マイナビBLITZ赤坂(ファンクラブ会員限定)
RELEASE INFORMATION
Limitless
【CD+スマプラ】¥3,240(tax in)
【CD+DVD/Blu-ray+スマプラ】¥8,640(tax in)
【SPECIAL SET -初回生産限定盤-】¥10,800(tax in)
エイベックスJ
2019/07/24 Release