Players’ After School | 綾小路 翔(氣志團)-前編-
この秋、文化祭を控える高校生バンドを応援するため、綾小路 翔(氣志團)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、Charの3人のアーティストがサプライズで高校の軽音楽部を訪れ、特別講義を行うというスペシャルな企画「PLAYERS’ AFTER SCHOOL」が行われた。まず1人目は、氣志團の綾小路 翔。前編では、特別講義の模様をレポートする。
翔さんが訪れたのは、東京タワーのすぐそばにある正則高等学校。実はここの軽音楽部はレベルが高く、軽音楽部に入るために本校を受験する生徒がいるとのこと。そんな正則高校の軽音楽の部員は100人ほどだそうで、その人数を聞いただけでも、レベルの高いバンドがひしめいていることが想像できると思う。
この日は、そんな軽音楽部の部員たちが「文化祭でのライヴのための特別講義」という名目で学校に召集された。翔さんが訪れたのは去る10月1日。つまり都民の日なので学校はお休み。それでも、バンド愛に溢れた部員たちは特別講義を受けるために学校に集合。ただし、部員たちは翔さんが来ることはまったく知らせていない。
特別講義のオープニングは、顧問である木村先生が「文化際でのライヴでいいパフォーマンスをするため、お手本の映像をみんなで観ましょう」と氣志團の「One Night Carnival」のライヴビデオを観るところからスタート。ビデオを観終わると、木村先生から「実は…今日、氣志團の綾小路 翔さんが特別講義に来てくれています!」と告げられ、教室の後方からサプライズで綾小路 翔さんが登場。部員たちは驚きの声を上げ、はしゃいでいる。
そんな興奮の中、翔やん先生(!)の特別講義がスタート。テレビやライヴでしか見たことがなかった翔さんの話が間近で聞けるという、またとない貴重な体験で、翔やん先生の講義をみんな本当に真剣に聞いている。
講義開始早々、自身が学生時代にバンドを始めたきっかけを話す翔やん先生。「学校でモテるため!スミマセン!」と勢いよく語ると、緊張していた部員たちもリラックスし、講義も楽しい空気感に。流石は翔やん先生。一瞬で講義を自分のペースにすると、生まれて初めて中学校の同級生で組んだバンド「天満工務店&ししゃもヘッズ」の話や、初めて買ったギターの話を面白おかしく話し、部員たちの心をグイグイつかんでいく。かと思えば、音楽に関して「音楽だと自分が正しいと思うことを追求できる」「自由な発想ができるのが音楽」「音楽をやる上で“自由”を一番大切にしています」と熱く語り、部員たちもしっかりとメモを取る。
白熱した翔やん先生の“音楽にまつわる語り”に続いては、部員からのQ&Aタイムへ。夢のような貴重な機会に、部員たちから翔やん先生に質問が飛ぶ。例えば、女性部員からは「どうしたらバンドの音圧が出るようになるのですか?」とかなり具体的な質問。翔やん先生は「音量ではなく、リズムが揃った時に音圧が出るんです。そこを意識してみてください」と実践的な答えを導き出してくれた。また、「どうやったらバンド関係が上手くいきますか?」という高校生とは思えない質問に、翔やん先生は笑いながらも真剣に「バンドメンバーとは仲良くしようとか、思わなくていいんです。それよりも、同じ目標を持って、それをみんなの力で達成することがバンドにとっては大事。目標を達成するためならぶつかってもいいんです。でも、PAさんはじめスタッフさんには優しくしてあげてください」と答え、部員だけではなく、顧問の木村先生も大きくうなずく名回答を披露。
一週間後に控える文化際での演奏だけではなく、今後のバンド活動にも役立つ内容となったQ&Aも大いに盛り上がり講義の前半が終了。翔やん先生は一度退室し、講義後半は部員たちの演奏と翔やん先生による特別アドバイスということで、部員たちは演奏の準備へ。約15分ほどの休憩&演奏準備を挟み、部員たちの大きな拍手に迎えられて再び翔やん先生が登場。2バンドが演奏を披露してくれた。
1つ目のバンドは2年生と3年生による混合バンド「ミッシュマッシュ」。聞けば、東京都軽音楽部コンクールのファイナリストという実力。そして、ファイナリストという肩書き通りのハイクオリティな楽曲と演奏を披露。演奏の感想を求められた翔やん先生は「演奏は上手いし曲もよくできている。なので、言うことないです」と困った様子。それでも、「今より一歩抜け出そうと思ったら、言葉かなぁ。言葉を聴いて人に届けるには技術ではなく、精神的なことかもしれません。ここにいる奴の心に爪痕を残すんだ!そんな気持ちを大事にしてください」という優しくも大切なアドバイスをミッシュマッシュのメンバーたちに贈る。
さらに、ミッシュマッシュのヴォーカルのアミさんから「ステージ上でどう振る舞ったら観客を引き込めますか?」という質問が。「楽しんでいるのを見ていると人は自然と引き込まれます。なので、自分が楽しむことです!」と、わかりやすいアドバイスをする翔やん先生。
2つ目のバンドは東京都の大会で奨励賞を受賞しているという、これまた実力バンド「アセンダント」。このバンドもハイクオリティなオリジナル楽曲を高い演奏力で聴かせてくれた。翔やん先生は演奏を絶賛。それでも部員たちのために「見ている人たちをもっと巻き込むことを考えて演奏すると、曲がまた違った響き方をするかもしれないですよ。そこを意識するとさらによくなると思います」とアドバイスを贈っていた。
2バンドの演奏を聴き、学生たちと触れ合えた今回の講義の感想として「僕のほうが勉強になりました! ありがとうございました!」と感謝の言葉を述べる翔やん先生。そして、その言葉をカタチにするために、翔やん先生から正則高校軽音楽部にフェンダーのプレイヤーズシリーズであるPlayer Jazzmasterをプレゼント!
翔やん先生は普段からフェンダーのJazzmasterをメインギターに使用するほどのJazzmaster愛好家。プレゼントしたPlayer Jazzmasterをその場で弾いて、その魅力を音で部員たちに伝える翔やん先生。翔やん先生が鳴らすPlayer Jazzmasterの音に、部員たちもワクワクする心を隠せない様子だ。そして、翔やん先生にとって大切なJazzmasterというギターをプレゼントしたのは、翔やん先生が音楽をやる上でもっとも大切にしている“自由”を次世代のプレイヤーたちに手渡ししたようでもあった。
最後に、Player Jazzmasterを持った部員たちと一緒に記念撮影。そこには、“先生と部員”という関係はなかった。みんながギターやバンドやロックを愛する者たち。音楽、ギターって本当に自由で平等なんだなぁとみんなが感じた瞬間だったと思う。教室をあとにする翔やん先生も、翔やん先生に大きな拍手を送る部員たちも最高の笑顔だった。
› 後編はこちら
綾小路 翔(氣志團)
孤高のヤンクロックバンド「氣志團」の誇り高き團⻑。1997年、千葉・木更津にて氣志團を結成。2001 年メイジャーデビュー。ジャンルレスにアンダーグランウンド、オーバーグラウンドの両サイドを行き来する、天下無双のツッパリ・クリエイター。2012年より地元房総エリアにて、フェス形式に変えた「氣志團万博」を開催し、他のフェスとは一線を画したラインナップが話題となり毎年約4〜5 万人を動員している。今年は『氣志團万博 2018 〜房総爆音爆勝宣言〜』と題し、9月15日・16日、千葉県・袖ケ浦海浜公園での開催が決定している。
› Website: www.kishidan.com