Special Interview | J -後編-
昨年、LUNA SEA結成30周年という節目にフェンダーとエンドース契約を結んだベーシストのJ。自身のシグネイチャーモデルとなるJ SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC BLACK GOLDに引き続き、今回は本人お気に入りのカラーリングが施されたCustombuiltシリーズ「J SIGNATURE PRECISION BASS HEAVY RELIC CHAMPAGNE GOLD」が登場する。インタビュー後編となる今回は、コロナ禍での過ごし方や音楽に対する思いをたっぷりと聞いた。
その時にベストな形が取れるような強さを持っていきたい
─ 前回のインタビューが約1年前ということで、この1年の間、Jさんはどんな心境でいたのかお聞かせいただけますか?
J あの頃は、新型コロナウイルスも得体の知れないものとしてみんな考えていたけど、今はその頃よりはいろいろなことがわかってきて、多少世の中のテンションも変わってきたと思うんですよね。その間、僕自身は少しでも前に進みたいという気持ちで常にいました。音楽もそうですし日常もそう。ずっとこういう状態が続いていて、皆さんもいろいろなところで“見えない敵”と戦っているわけじゃないですか。それぞれがそれぞれの立場で答えを探している中で、僕自身は僕なりの方法論でエンターテイメントの世界を少しでも前に進めていきたいなと。そのためにはどうしたらいいのだろう、安全確保のためには何をしたらいいのかをずっと考えてきました。
─ そうだったんですね。
J 政府が言うようには、エンターテイメントの世界を十把一絡げにはできない。もう、それぞれがそれぞれのやり方でしっかりと安全対策し、表現していくべき時期が来ているんじゃないかなと思うんです。実際に有観客でライヴをやるアーティストも増えていますしね。完全にもとの状態というわけでは決してないですが、そこに携わる多くの皆さんが、例えば音楽というもの、自分たちの大切な場所を守ろうという気持ちで、いろいろな対策をして始まっているんですよね。会場まで見に来てくれるお客さんたちも、規制が多い中で安全にコンサートを楽しもうとしてくれる。“恐れているばかりでは何も始まらない”という気持ちに改めてさせてもらっています。
─ お客さんとアーティストとスタッフ、それぞれの立場で一緒にライヴを成功させようという気持ちが、コロナ以降はより強くなっているように思います。
J 本当にそうですね。この不安定な状況が何だか不思議な気持ちにもなるのですが、“音楽の本質”っていうものは、どんな状況になっても変わらない。それを自分たちのもとに手繰り寄せていくというか。少しでももとに戻していこうという勇気を、持ち続けていきたいと思っています。
─ 今年3月にLUNA SEAとしてさいたまスーパーアリーナ公演をやってみた手応えは?
J 年末のライヴは、メンバーが感染したことで延期になってしまったので、自分たちとしても、今までニュースやテレビの中の話だったコロナウイルスというものの存在を目の前に突きつけられたような気持ちでした。ライヴの当日、開演直前にその結果が出てしまったので、楽しみにしていてくれたみんなや、会場まで来てくれたファンのみんなには本当に心配や、迷惑をかけてしまったなと。その意味ではバンドとしても、3月のライヴはいろいろな思いを背負って臨みました。特に真矢くんの心境は推して知るべしという感じでしたね。そういう意味では、バンドにとってとても大切なことを学ばせてもらうライヴになったと思います。
─ 今まで当たり前だと思っていたことの奇跡を再認識させられるというか。
J 本当にそう思います。実際、ライヴはマスク着用が義務付けられたり、声を出してはいけなかったり、規制の多い中で行われていたので、今まで味わったことのないライヴであったことは間違いなくて。ライヴというのは本当の多くの奇跡の上に成り立っていたんだということを余計に実感させられました。
─ そして、秋に2年ぶりのソロアルバムをリリース予定だそうですね。
J まだ始まったばかりなので何とも言えないんだけど、やっぱりこういうごタイミングなので必然的に熱いものを求めてしまうというか。そういうアルバムになっていく予感がするし、明らかに次のフェーズに突入した感覚はあります。
─ 今後の活動について、どのような気持ちでいますか?
J 最初に言ったように、以前とは状況が少しずつ変わってきてもいるので、自分たちのスタイルを取り戻していけるようなライヴを1日でも早くやれたらいいなと思っています。どんな状況でも、その時のベストな形が取れるような強さを持っていきたい。それはソロでもLUNA SEAでも同じですね。
─ ステイホームの期間に楽器を始めようと思っている人はたくさんいます。そういう人たちにメッセージをお願いします。
J これまで忙し過ぎて、自分の時間をなかなか持てなかった人も、こういう状況になって逆に自分の時間が増えたという人は多いと思うんです。そういう時に楽器を始めるのはまさにベストタイミングじゃないかと。憧れからでも、興味本位からでも何でもいい、“ちょっと弾いてみようかな”と思ったら是非すぐ行動に移してみてほしいですね。きっと何か、自分の日常を、人生を豊かにしてくれるものになるはずなので。今までやってこなかったことをやるのはすごく勇気が要るじゃないですか。勇気を持って新しいことに飛び込んでいく、楽器ってその刺激的な経験にうってつけのような気がするな。
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J
92年、LUNA SEA のベーシストとしてメジャーデビュー。97年、LUNA SEAの一時活動休止を機に、ソロ名義でバンド活動をスタートし、1stアルバム『PYROMANIA』を発表。その後、LUNA SEA終幕を経て2001年にソロ活動を再開すると、海外から多数のアーティストを招き開催したライヴイベント〈FIRE WIRE〉、史上初、アリーナをオールスタンディングにして開催した日本武道館公演、数多くのゲストバンドを一同に迎えての5日間連続ライヴ〈SHIBUYA-AX 5DAYS〉等、独自のスタイルでライヴを展開。2017年にはソロデビュー20周年を迎え、ベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』をリリース。現在は2010年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。
› http://www.j-wumf.com