SESSIONS in TOKYO | Ovall

メンバー全員がソロアーティスト/ミュージシャン/プロデューサーとしても活動するマルチプレイヤー集団、Ovallが、去る1月28日に〈Fender News Public Recording with Ovall at Fender Flagship Tokyo〉を開催。超満員となった本イベントの模様をレポートする。




American Professional Classicはどんどん成長していく楽器

この日はOvallにとって今年初のライヴでもあり、しかも至近距離でその演奏を見られるというのもあり、Fender Flagship Tokyoは超満員となった。定刻の18時。MCのコールでOvallの3人が登場すると、歓声とともに大きな拍手が湧き上がる。まずは、メンバーが順番に挨拶。さらにベースのShingo Suzukiから嬉しいメッセージが飛び出す。

「Ovallね、今年もちょっとずつですけど進んでいきます。というより今進んでおりまして、アルバムの制作をやっています。すでにデータのやり取りをして、2月にはレコーディングスタジオを予約してます」

これにオーディエンスが歓声を上げると、早速演奏がスタート。全4曲。テクニックはもちろん、音のバイブスが素晴らしく、会場の雰囲気は一気にピースフルになる。また、この日会場に集まった方は楽器をやっている方が多く、間近でそのテクニックを見てうなずき感嘆している人も多かった。演奏が終わるとMCによるメンバーへのインタビュー。まずは楽器を始めたきっかけと、始めた頃の練習方法について。


Shingo Suzuki(以下:Suzuki)「大学生になってジャズ研究会ってサークルに入ったのですが、ベースやっている人がめちゃくちゃカッコよくて。その人がフェンダーのフレットレスベースで革命を起こしたジャコ・パストリアスのフレーズをよく弾いてて。こういう風になりたいなと思って、フェンダーのJazz Bassを買ったのがきっかけです。練習方法は、さすがにジャコパスは難しかったので(笑)、ジャズの形式のブルースのフォーマットがあって、コード進行をなぞっていきながらちょっとずつ耳コピしました」

関口シンゴ(以下:関口)「中2の時、当時は陸上部だったんですけど、陸上部の友達がギターをやってて“X JAPANのバンドをやろう”って。最初はキーボードだったんですけど、全然弾けなくて。で、その友達にギターを教わっているうちに…ですね。hideさんの『D.O.D.』っていう曲が大好きで、最初はそればっかり練習してました(笑)。最初は“これが弾きたい!”っていうフレーズを練習するのがいいんじゃないかと僕は思ってます」

mabanua「僕は実はギターが最初でした。小6の時にザ・ビートルズとMr.Childrenに同時にハマったのがきっかけです。中学生でバンド組もうぜってなって、それでベースをやらされたり、休憩時間にドラムを叩いて遊んでたら、“ドラムできんじゃん”って。そしたら、結果全部やることになっちゃったみたいな(笑)」


三者三様の答えが、このOvallというバンドの懐の深さにつながっているなと納得した。続いては、この日演奏した楽器のインプレッションについて。実はこの日、メンバーは2025年に発売されたAmerican Professional Classicシリーズを演奏してくれた。このシリーズはアメリカ製でありながら手を出しやすい価格帯で、ヴィンテージの魅力とモダンなパフォーマンスが融合したモデルだ。この日、SuzukiはAmerican Professional Classic Mustang Bassを演奏。

Suzuki「僕、実はもう一つJMJ Road Worn Mustang Bassを持っていて。ジャスティン・メルダル・ジョンセンのシグネイチャーモデルで、自分にとっては好きなベースの一人ではあるのですが、これを弾いて思ったのは、クラシカルなトーンを保ちつつモダンなテイストがあるんですよ。具体的に言うと、ワイドレンジで少し硬めなんですよね。丸すぎないというか。そこがAmerican Professional Classic Mustang Bassのいいところかなと思っています」

さらに実際に音を出しながら、「この音。いいところがギュッと詰まってるような感じがして、どんどん成長していく楽器だなと思ってます。あと、この色(Faded Dakota Red)がおしゃれですよね。見た目はクラシカルなテイストでありつつ、サウンドがちょっとモダン寄りで、良いとこ取りかなって思います。チューニングしても、すぐいいところにバシッと決まるし。そこらへんが、ヴィンテージの楽器とは違う新しい楽器の良いところですよね」と語ってくれた。

MCから「どんな方におすすめですか?」と聞かれると、「これショートスケールなんですよ。なので、初めてベースをやる人や、手が小さい人にまずオススメなのと、音が硬いところはちゃんとあるけれども、ちょっと色気があるんですね。なので、少しレトロな感じの音楽にもばっちりハマるし、ローを上げるとモダンにもいける。幅広く曲作りたい人にはオススメかなと思います。エフェクターの効きもすごくいいし」と、演奏も交えながらわかりやすく語ってくれた。


関口はAmerican Professional Classic Stratocasterを演奏。

関口「Shingoがすべて話してくれたギター版っていう感じなんです(笑)。でも本当に、クラシカルがコンセプトだけどモダンさもあります。今ってそういうハイブリッドなギターっていっぱいあるんですけど、モダン過ぎると…要は使いやすさだったり音のワイドレンジに行き過ぎると、“これぞストラト”っていう個性がなくなると思うんです。だけど、ちゃんとクラシカルなストラトなんですよ。ペグに工夫がされていたり、音に関してもピックアップのチューニング、パワー感が今のバンドにも対応できる。つまり、サンプラーだったり同期が出ている中でも前に出てくれる仕様になっているのが素晴らしい。“フェンダー、わかってるな”っていう気がしました(笑)」

「どんな人にオススメですか?」という問いには、「初心者モデルの次、もう1本いいのが欲しいなって人にすごく向いていると思います。今回のネックはモダンCシェイプ。僕、手がちょっとデカめなので説得力がないって言われるんですけど、ちょうどいい薄さでハイポジションまで弾きやすい。ある程度音のことがわかってくると、“もうちょっといいのが欲しいな”って思う時だと思うので、2本目のアメプロクラシックです!」と締めにキャッチコピーまで添えてオーディエンスも盛り上がる。


マルチプレイヤーのmabanuaだが、実はAmerican Professional Classic Jazz Bassが発売のタイミングから気になっていたという。なぜAmerican Professional Classic Jazz Bassを選んだのか。

mabanua「やっぱり見た目って重要で、すごく気に入る色をフェンダーで探してたんですよ。自分が欲しい色と、他人が見て似合ってると思うカラーは別だと思っていて。皆さん、一回鏡で楽器を持った自分を見ていただきたいんですよ。僕の場合、赤とか青は原色すぎて似合わないんです。このFaded Firemist Goldは絶妙すぎて、どんな服を着ても、ステージから見ても、鏡で見ても“これだ!”という色だったので選びました。もちろん、音に関しても申し分ないので!」

どんな人にオススメだろうか。

mabanua「ジャズベは本当にオールマイティなので、ヒップホップでもロックでも何でも使える楽器だと思います。価格帯も20万円台中盤ぐらい。関口氏は2本目って言ってくれましたけど、1本目で思いきって買っても絶対に損しない楽器だと思うんです。なので1本目、2本目はこのAmerican Professional Classicでいいかなと思います」


最後に、楽器を始めたばかりのビギナーへメッセージを聞いた。

Shingo「続けていれば、気が付いたら少しずつ必ず上手くなっているんですよ。だから、まずは“この楽器カッコいいな”“このバンドみたいになりたいな”とか、そういう憧れとか目標から始めて、楽しんで続けてほしいですね。そうしたら仲間も増えてくるし、こうやってバンドも組めるかもしれない。夢が広がると思います」

関口「僕はギターを始めた3日後に陸上部の試合で転びまして、左手首を骨折したんです(笑)。だからずっとギターを磨いていたんですよ。それしかできないから(笑)。でも、磨いたりすると愛着がどんどん増していくし、それこそ使っていると傷がついてそれも自分のカラーになっていくんですね。そういうのを含めて楽器そのものを楽しんでほしいですね」

mabanua「最終的には、周りを幸せにするのはすごく大事なことだと思っています。音源を発表しないといけないんじゃないか、ライヴをやってないといけないんじゃないかって思うかもしれないけど、そんなことはないと思うんです。ご家族の中に、頑張って練習している人がいたとする。その姿を見るだけで、周りの人は幸せになる。だから頑張っている人は、それだけで周りの人を幸せにしています。なので、まずは楽器を手に取ってみてください」

最後にもう1曲演奏し、多幸感に包まれイベントは終了。ステージから降りる3人に、温かい拍手がいつまでも続いた。


Ovall
Shingo Suzuki、mabanua、関口シンゴによるトリオバンド。
メンバー全員がソロアーティスト/ミュージシャン/プロデューサーとしても活動するマルチプレイヤー集団。2006年から現メンバーでの活動を本格化、現在に至るまでジャンルよりもミュージシャンシップを軸に置く姿勢を貫く。ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ロックを同列に並べ、生演奏もサンプリングもシームレスに往復し、楕円(オーバル)のグルーヴの中に音を投げ込む。その斬新なスタイルと唯一無二のサウンドは徐々に時代を吸い寄せ、国内外の映像作家、映画監督、そして様々なアーティストからプロデュースやコラボレーションの依頼が殺到。それぞれがソロ活動を活発化させるが、個々が多忙を極めたことが諸刃の剣となり2013年にバンド活動を休止、それぞれの表現を追い求め始める。しかし「この3人ならではのアンサンブルが聴きたい」という要望が絶えず、メンバーもその思いに応える形で、4年の歳月を経て2017年に再始動。直後よりFUJI ROCK FESTIVALなど国内の大型フェスに出演、そして世界中のアーティストとのコラボレーションや海外でのライブツアーも行う。ソロ活動で培ったスキルやノウハウをお互いに持ち寄り、今日もバンドは楕円を描きながら転がり続ける。
https://ovall.net/

MC & Text_Joe Yokomizo
Photo_Kenshiro Shimizu

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