Signature Model Interview | Ken(L’Arc-en-Ciel) -前編-

Kenのシグネイチャーモデル第4弾が登場した。2023年にプロトタイプができ、翌年のL’Arc-en-Ciel〈ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND〉でお披露目されたLimited Ken Stratocaster Dodomeだ。特徴は、2ハムバッカーのピックアップ構成と、ブリッジにハードテイルを採用していること。これがKenサウンドにどんな影響を及ぼしているのか。さっそくKen本人に聞いてみた。


アーミングしたい時はExperiment #1、ガツンとした音を出したい時はDodome

──新たなシグネイチャーモデルとして発表されたLimited Ken Stratocaster Dodomeですが、なぜ2ハム仕様に?

Ken これの前に、Ken Stratocaster Experiment #1を製作して。そこでシングルコイルでやりたいことがだいぶ完成したんです。

──いわば、“Experiment(実験)”が成功したと。

Ken はい。processの多い現代的なミックスの中で、このアクティヴのピックアップの音の残り方が良いなと思っていて、それを試すのにExperiment #2のイメージで製作し始めたのが、これになりました。

──とはいえ、やはりストラトには3基のシングルコイルのイメージが強いです。例えばシングルサイズのハムバッカーとか、スタックタイプのハムバッカーもあるじゃないですか。実際、Kenさんは昔、DiMarzioのH S-3を使ったり、ソープバータイプを搭載したギターを使っていたこともありますし。

Ken あります。それも当然ありなんですけど、さっき言ったみたいにアクティヴでいってみたい世界があったんです。フェンダーの方と話を進めていく中で、実際に載せて、自分のアンプ、セッティングで鳴らしてみて判断しようと。それで気に入らなかったらパッシヴに戻すとか、シングルコイル型のハムバッカーも試したかもしれない。

──つまり、このFishmanのFluence Classic Humbuckerが気に入ったということですね。

Ken 気に入りました。その上でFishmanのモデル違いもちょっと試したいと思って、載せ替えたりもしてみたんです。コンデンサーも替えてもらったり。せっかく“Experiment”なので、「もうちょっと実験していい?」って。それでしばらく弾いて。言ってはみたものの、やっぱり戻そうとなりました。でも、お互いに実験の感覚があるから、その時間がすごくいい時間なんです。

──たしかに。Fishmanを搭載してみようと思ったのは?

Ken アクセプトです。

──ドイツのメタルバンドの!?

Ken そうです。アクセプトの音を聴いたら、process強めのドラムに対して、ギターが成り立っていたんですね。“これ何だろう?”と思ったらFishmanだったんです。

──そうだったんですね。2ハムにすることで、ストラトらしさが失われてしまうかもしれないことへの心配はなかったんですか?

Ken そこは、その前のGalaxy Red、Paisley Fantasy、Experiment #1で3種類、ストラトらしい音を浴びているから。その音色はもうある。気に入っているものがある。それをもう一個作るんじゃなくて、自分の好きな音のバリエーションで、こういうストラトの音も試してみたいという“Experiment”だったんです。そんな中で、ブリッジもこれにしました。

──いわゆるハードテイルですね。

Ken はい。僕、家ではエレキギターを指で弾いて、ガットギターみたいな練習もするんですよ。その時にフローティングのExperiment #1を使っているから、その分、バネの影響があるじゃないですか。で、これがない感覚ってどうなんだろうと。これは結構悩んだんですよ。とはいえ僕、アーム使うよな、と。それでどっちにしようかフェンダーに相談したら、ハードテイルをおすすめされて。体感してみたら、指弾きの時の反応がすごく気持ち良かったんです。右手の位置も、アームがあると無意識のうちにアームを避けていたんですけど、それもなく。ブリッジ付近の音色が欲しい時に、遠慮なくそこまでいける。アーミングしたい時はExperiment #1を使えばいいし、ガツンとした音を出したい時はこっち(Dodome)。(バック)コンターをなくしたり、ネックを太くしたのも、古いテレキャスターのようなガッツが欲しいところもあったから、ハードテイルで、よりその雰囲気が出た。野生的な音と言うんですかね? アクティヴだけど野生的なところが出ているのも、それが影響しているんじゃないかなと思います。

──なるほど。

Ken 本当に実験ですね。やってみてどうかなって。あと、これは余談ですけど、知らず知らずにアームしようとして、空振りすることがあって(笑)。アームのニュアンスをこれでも出したいなと思う時は、ワウペダルをアーム代わりに使ったら気分が出たんですよね。ハードテイルにしたおかげで、ワウの使い方が変わったところもあります。

──そこにも影響が出たと。でもそこで、じゃあストラト以外で実験してみよう、とはならないんですね。

Ken 一つの面としては、例えばネックの仕込み角とか、ホーンの長さとかの違いがあるじゃないですか。いろんなギターを弾くと僕、ライヴで持ち替えた時に“あれ?”ってなるんです。コンターとかでちょっとごつくはなっているけど、ある程度の倍音の鳴りも似ているし、そこはやっぱり欲しかったんですよね。

──要は、体がもうストラト仕様になっちゃっているんですね。

Ken そうですね(笑)。

──ちなみに、Experiment #1の“実験”についてはすでに記事があるのでここでは割愛しますが、エルボーのコンターは#1と同様ですか?

Ken 実は#1も、自分でさらに削っているんです。#1を数年使って、もうちょっとこうじゃないか、というところを削ったのがこれに反映されています。あと、ネックもちょっとだけ変わっています。弾きやすいように、親指ラインを自分で削ったので。

──ネックも自分で削ったんですね!

Ken そうです。このフレットのところではこうだなって、#1を自分で削ったのをプロファイルしています。

──すごい。そうしたスペックに加えて、フィニッシュも特徴的です。

Ken これがまた、何とも言えない色じゃないですか。

──どどめ色。要は桑の実の色ですよね。

Ken 紫も入っているけど、もうちょっと濃い色かな、とか。できてきたら想像通りの色でした。

──そしてそれをこのギターに命名して。

Ken そこについての意見もあったんです。だって、打ち身とかの色じゃないですか(笑)。だけど、僕はすごく響きも可愛いなと思って。

──日本語からというのもいいですよね。

Ken そうですね。ギターも全体的に和な感じが出ればと思ってます。

──指板もどどめ色ですけど、実はローズウッドとかではなくて、メイプルなんですよね。

Ken 指板も塗ってもらいました。Experiment #1とか、その前のPaisley Fantasyも貼りメイプル(メイプルネックの上に貼ったメイプル指板)で、その音が好きだから。それでこういう色にするんだったら、もう塗るしかないという。

──さらにナットもブラス、フレットもゴールドにして、パーツも色味を近づけています。

Ken そこも和な感じで。あとこだわったのが、電池ボックスの位置。通常はここ(アッセンブリ付近)にあると思うんですけど、これもボディの裏を手でコンコンと叩いて、ここのブロックは木がまっすぐあったほうがいいんじゃないかとか、空洞がここに固まったら1弦側が弱くなるんじゃないかとか。憶測ですけど(笑)。ここにしてすごく良かったと思う。試してないから比較の結果はわからないけど、なんかいい気がします。だから、だいぶいろいろな要望に応えていただいていますね。

──Kenさんのむちゃぶりに(笑)。

Ken そう(笑)。

Limited Ken Stratocaster® Dodome

>> 後編に続く(近日公開)


Ken
L’Arc-en-Cielのギタリストとして1994年にメジャーデビュー。『True』で初のミリオンセラーを達成し、『ark』『ray』の同時リリース、東京ドーム公演、〈WORLD TOUR 2012〉などを経て、日本のロックシーンを代表する存在として国内外で支持を集める。2002年からはSONS OF ALL PUSSYS、ソロ名義でも活動。近年は楽曲プロデュースやグッズ制作など多面的に活動し、2026年にはKenプロデュースによるDEZERTの新曲『音楽』も発表。その表現領域をさらに広げている。
L’Arc-en-Ciel : www.LArc-en-Ciel.com
35th L’Anniversary 特設サイト:https://le-ciel.com/L35

Related posts