The New Inspiration | SAHAJi

聴く者の感情を揺さぶり、新たなプレイヤーの心を動かし続けるアーティストに脚光を当てる「The New Inspiration」。今回登場するのは、地元・富山と東京、そして日本とイギリスを行き来しながら活動している、西田蕉太郎(Vo,Gt)と西田曜志朗(Gt)からなる兄弟ロックデュオのSAHAJiだ。ほぼ無名の存在だったにもかかわらず、今年1月、イギリスでリリースしたシングル『Future In The Sky』が全英シングルチャートの8位に食い込んだ彼らのことを知っているという音楽ファンはきっと少なくないだろう。そんな彼らを迎え、8月16日にFender Flagship Tokyoで開催された公開ライヴ&トークイベント〈FenderNews Public Recording with SAHAJi at Fender Flagship Tokyo〉を開催。Player IIシリーズの音色とともに、熱気に溢れた演奏が観客を沸かせたイベントの模様をお届けする。


Aadd9とか言われても何だよそれって。俺たち、そういう感覚でやってるんです

──Fender Flagship Tokyoで演奏してみていかがでしたか?

蕉太郎 子供の頃の気持ちに戻りました。俺たち、ゲームとかやってこなかったから、ギターがおもちゃ代わりだったんですよ。だから、おもちゃ屋さんに来たような気分ですね。

曜志朗 うん、無邪気になっちゃう(笑)。

蕉太郎 ここで試奏させてもらうと、誰も止めに来ないから永遠と弾いちゃうんですよ。そういう場所です。最高です。


──以前、フェンダー社に遊びに行ったとき、試奏しはじめたら1時間ぐらいずっと二人でジャムしていたと聞きました。

蕉太郎 だって、誰も止めないんだもん(笑)。すげえ楽しかったです。俺たち、もう20年間ずっとフェンダー(のギター)を使ってきているから、諦めずに続けていればFender Flagship Tokyoで演奏できるぞって20年前の自分に教えてあげたい。


──SAHAJiのことをいろいろ聞かせてほしいのですが、まずは二人が音楽に目覚めたきっかけを教えてください。

蕉太郎 両親がもともと音楽好きだったんです。その影響ですね。最初は家族でバンドをやってたんです。俺が6歳で、曜志朗が5歳だったから、始めるのは本当に早かった。両親からいろいろな洋楽を教えてもらって、それを聴きながら育ったんですよ。ギターを弾き始めたのも、俺たちにとっては自然なことでした。誰かに習ったわけじゃない。

曜志朗 だからコードネームもいまだに知らない(笑)。

蕉太郎 Aadd9とか言われてもね。何だよそれって(笑)。

曜志朗 音を聴いたほうが早い。

蕉太郎 俺たち、そういう感覚でやってるんです。だから、SAHAJiってバンド名も(サンスクリット語で)“自然に育つ”って意味。自然の成り行きで音楽をやってるんですよ。

──お二人とも最初からギターだったんですか?

曜志朗 僕はパーカッションでした。

蕉太郎 曜志朗のリズム感覚がいいのは、その影響があるのかな。

曜志朗 最初はリズムギターばかり弾いてました。

蕉太郎 いつの間にか逆転しちゃったけど、俺のほうがうまかったんですよ(笑)。 

──お二人がSAHAJiを組んだのはいつだったんですか?

蕉太郎 両親と家族バンドをやっていたんだけど、俺たちのほうがうまくなっちゃったから、ごめんねってクビにして、気がついたらSAHAJiになってました。

──練習は家で、お二人でやるんですよね?

蕉太郎 どちらかが弾き始めればセッションが始まる感じで。

曜志朗 だから、あまり練習って感覚はないかも。

蕉太郎 飯食うのも一緒だからね。

曜志朗 生活の一部。

蕉太郎 そう、生活の一部。上手いこと言うね(笑)。


──お二人にとってギターヒーローはいたんですか?

蕉太郎 もちろん。共通して言えるのはスティーヴィー・レイ・ヴォーン。俺たちはジョン・メイヤーを聴く前にスティーヴィー・レイ・ヴォーンを聴いてたんですよ(笑)。

──今日、1曲目はスティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Lenny」というインストナンバーでした。

蕉太郎 いきなりガツンとやるのかなってみんな思っていたかもしれないけど、俺たちのルーツがブルースだってまずは見てもらおうと思って。ブルースもルーツにあるし、ジョン・レノンも好きだし、エリック・クラプトンも好きだし、ロリー・ギャラガーも好きだし、さっき(「Voodoo Child」を)やったジミ・ヘンドリックスも好きだし。

──今言った人たち、ほとんどがStratocasterですね。

蕉太郎 だから俺も最初のギターはストラトでした。

──今日はフェンダーの新製品、Player IIシリーズから蕉太郎さんはストラト(Player II Stratocaster)とテレキャス(Player II Telecaster)を、曜志朗さんはジャガー(Player II Jaguar)を弾いていただきましたが、いかがでしたか?

蕉太郎 色からしてレトロなヴィンテージカラーでいいですね。

曜志朗 ピックアップとボリュームツマミが黄ばんでいるところもヴィンテージっぽくていい。

蕉太郎 他にもストラトを持っているけど、ほんと、いい彼女に出会った感じです(笑)。このギターが10万円台で買えるなんて、フェンダー大丈夫? そう思っちゃうぐらいいい。めっちゃオススメです。

曜志朗 何本も試したけど、個体差がない気がします。Modern“C”っていうネックシェイプがすごく弾きやすい。ひっかかりが全然ないからストレスなく弾ける。プレイアビリティが最高です。

蕉太郎 ピッチもすごくいいしね。あと、ストラトは今年70周年だけど、今度はこのギターが50年、60年、70年後、ヴィンテージになる。そんなふうに育てられるギターだと思います。

──Player IIはこれからどんな使い方をしていきたいですか?

蕉太郎 っていうか、俺も曜志朗ももうメインとして使ってるんで(笑)。これからもずっと使っていきたいですね。

──ところで、イギリスに行ってレコーディングしたことをきっかけに生活がガラッと変わったそうですね。

蕉太郎 ええ。オアシスとかブルース・スプリングスティーンとかと仕事しているニック・ブラインってプロデューサーに出会って、20年前に書いた「Future In The Sky」を聴いてもらったら、“この曲はヤバい”って言ってくれて、レコーディングしてリリースしたらイギリスで8位になっちゃったんですよ。もちろん、それも嬉しかったけど、なぜか日本でバズっちゃって。ある日、知り合いから“Yahoo!ニュースに載ってるよ”って教えてもらって、これがバズるって言うんだってびっくりしました。それから目まぐるしい毎日を送っています。


──ニック・ブラインとの出会いが大きかったと思うのですが、普通に会えるんですか!?

蕉太郎 俺はしつこいから(笑)。彼がインスタで俺のことをフォローしてくれていたんですよ。

──それはどうして?

蕉太郎 俺たちがクールだからじゃないですか(笑)。いや、たぶん、俺はめちゃめちゃリアム・ギャラガーが好きで、#liamgallagherってハッシュタグを付けているから、“こいつオアシス好きなんだな”ってなったと思うんですけど、俺はニックのことを知っていたから、“10月にイギリスに行くから”ってDMして本当に会いに行ったんです。ウェールズにあるロック・フィールド・スタジオまで。クイーンとかがレコーディングした伝説のスタジオですよ。そしたら、ニックがスタジオを案内してくれて“酒でも飲もう”って言うから、“そんなのどうでもいいからとにかく1曲聴いてくれ”って、さっき言ったように「Future In The Sky」を目の前で演奏したんです。

──では最後にSAHAJiからお知らせはありますか?

蕉太郎 11月にはアルバムが出せると思います。そしてアルバムツアーをやります。まずはイギリスからなんですよ。11月7日はザ・ビートルズが生まれたリバプールのキャバーン・クラブでやるんで、よかったら遊びに来てください!


SAHAJi
富山市で生を受けた蕉太郎(g、vo)と曜志朗(g、vo) の西田兄弟は、サンスクリット語で「自然に成長する」という意味の「SAHAJi」をバンド名に据え、幼い頃から音楽活動を続けてきた。UKロックのスピリットを受け継ぐ彼らは、その熱意と行動力をもってザ・ストーン・ローゼズやオアシスなどの作品でエンジニアやプロデューサーを務めたNick Brineに接触、彼のレーベルから4曲入りEP『Future In The Sky』をリリース。するとイギリスのリスナーの間で人気に火が付き、全英フィジカル・シングル・チャートで最高8位を記録。日本でもSNSを中心に話題となり、国内外から多くの注目を集めている。
https://sahaji615.wixsite.com/sahaji

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