The One For All. | TOMOMI(SCANDAL)
フェンダーが2020年秋に発表した最新シリーズ“American Professional II”。本シリーズのコンセプトである“THE ONE. FOR ALL.”=“ギター/ベースを愛するすべての人に”をテーマに、日本を代表するアーティストにこれまで¬¬の歩みやこれからのビジョンを聞く新コンテンツ“THE ONE. FOR ALL.”。今回は日本を代表するガールズバンド、SCANDALのベーシストTOMOMIが登場。自らのルーツや海外での活動、コロナ禍での過ごし方など赤裸々に語ってもらった。
ガールズバンドとして胸を張っていたいなと思っています。
― 2020年はコロナ禍で世界が一変しました。SCANDALの活動にはどのような影響がありましたか?
TOMOMI 本当だったら去年は1年かけてワールドツアーをする予定だったんです。でも、ちょうどツアーがスタートするタイミングでコロナの感染拡大が始まってしまい、結局すべてキャンセルする形になりました。ワールドツアー以外の予定がほとんどなかったので、もうスケジュールがぽっかり空いてしまって。リリースなどはあったのですが、ほぼずっと自宅にいましたね。
― どんな心境でしたか?
TOMOMI バンド結成以来、こんなにライヴをやらなかった年はなかったので、正直なところ落ち込みました。ライヴはSCANDALの活動の主軸ですし、アウトプットだけじゃなくてインプットの場でもあるんです。そこがなくなってしまうと、自分たちの中から新しいものが生まれにくくて。制作でも煮詰まることが多かったかもしれない。何より、ライヴが大好きな私たちにとっては本当につらかったです。
― そこからどうやって気持ちを切り替えていったのでしょうか。
TOMOMI とにかく前に進むしかない、と。まずはバンド結成14周年にあたる8月21日に、〈“Kiss from the darkness” Livestream〉と銘打ってライヴ配信をしました。無観客ライヴだったのですが、目の前にモニターを置いて、視聴しているお客さんが書き込んでくれたコメントをリアルタイムで見られるようにしたんです。普段のライヴだったら聴こえてこない、お客さん一人ひとりの“心の声”が可視化されたようで、すごく間近に感じられました。それには本当に救われましたね。そして、“やっぱり私はライヴが好きだなぁ”と、改めて思わせてくれた貴重な体験でした。
― 今年でSCANDALは結成15周年ですが、振り返ってどんなことを思いますか?
TOMOMI いや、自分でもすごいなって思います(笑)。改めて15年と言われると、そんなにやってきたのかと。私たちはヴォーカル&ダンススクールに所属していて、そこでバンドを結成する時に初めて楽器を持ったんです。その頃の私はベースという楽器を知らないどころか、ベースの音すらマトモに聞き取れなかったという(笑)。そこからのスタートだったんです。
― すごい(笑)。そこからどうやって上達していったのですか?
TOMOMI ひたすらコピーしていました。サディスティック・ミカ・バンドやJUDY AND MARY、他にもその頃に流行っていたJ-POPなどを、とにかく片っ端から。コピーばかりでスケール練習という発想すらなかったんです(笑)。
今ほどYouTubeも発達していなかったし、タブ譜が掲載された雑誌で情報を得ていました。
でも、結成して1年くらい経った頃にはストリートライヴをやっていたので、メンタル的にも技術的にもそこでかなり鍛えられた気がします。
― TOMOMIさんにとって憧れのアーティスト、ベーシストというと?
TOMOMI 音楽活動を始めてすぐの頃、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの存在を教えてもらって。フリーのベース、すごくカッコいいなぁと思いました。思い返せばダンスをやっていた頃もレッチリ初期のようなファンクで踊ってたし、今ヒップホップが好きなのもそういうルーツがあるのかな。昔から低音が好きなんですね。
― 海外での活動も積極的に行っているSCANDALですが、“日本発のバンド”という自負はありますか?
TOMOMI 日本発のバンドというよりは、ガールズバンドとして胸を張っていたいなと思っています。世界的にもガールズバンドって、生まれては消えていくことが多いんですよね。そんな中、15年間続けてこられたのは自信を持ちたい。それに、日本は海外と比べてもガールズバンドがすごく多くて、ある意味では日本のカルチャーと言ってもいいんじゃないかと思っているんです。
― 海外での活動も積極的に行っているSCANDALですが、“日本発のバンド”という自負はありますか?
TOMOMI 日本発のバンドというよりは、ガールズバンドとして胸を張っていたいなと思っています。世界的にもガールズバンドって、生まれては消えていくことが多いんですよね。そんな中、15年間続けてこられたのは自信を持ちたい。それに、日本は海外と比べてもガールズバンドがすごく多くて、ある意味では日本のカルチャーと言ってもいいんじゃないかと思っているんです。
― 10代の時に高校生バンドとしてデビューし、プロとしてのターニングポイントを挙げるとすると?
TOMOMI テレビでその番組の箱バンみたいな形でゲストのバックバンドをやらせてもらう機会があったのですが、その時はものすごくヒリヒリしましたね。自分のミスで演奏ストップさせるなんてありえないし、そういう環境に置かせてもらった時に、これがプロフェッショナルな現場だなと感じました。
― 今、プロフェッショナルとして大切にしていることは?
TOMOMI 中高生たちの、楽器の入り口になっているなという自負はあります。“ちょっと楽器をやってみたい”という子たちが初めてコピーする曲に、SCANDALの楽曲を選んでもらうことが多くて。それはすごく嬉しいです。自分たちも高校生の頃にコピーした曲のことはずっと忘れないし、一生好きな曲になっているんですよね。誰かにとって、そういうバンドであるということは今後も大切にしていきたいと思っています。
― TOMOMIさんは、フェンダーのベースにはどんな思い出がありますか?
TOMOMI フェンダーベースは、それこそダンススクールの先生に譲り受けたのが最初の出会いです。それまでは“初心者キット”みたいなものを買って、ストリートライヴもそれでやっていたのですが、“ちゃんとしたベースを持ってみたら?”と言われてその先生に貸してもらったんですよ。それでずっとライヴもやっていたんですけど、上京するタイミングで“ありがとうございました”と返そうとしたら、“いや、それはお前のベースだよ?”って言ってくれて(笑)。今でも週一のバンドリハーサルでは、必ずそのベースを持って行きます。
― では最後に、ビギナープレイヤー、またこれからベースを始める方へのメッセージをお願いします。
TOMOMI 今はYouTubeなどに、ベースの弾き方を解説する教則動画や“弾いてみた”動画などがたくさん上がっているじゃないですか。それをお手本に、どんどん新しいことにチャレンジしていくのがいいと思いますね。“かっこいい!”と思えるスタイルがいっぱい見つかるはずだから。好きな曲、好きなフレーズ、好きなベースプレイヤー、そういったものをたくさん増やしていくのが上達の近道なのかなと。
― 自分はこのスタイルでいく!と早い段階で決めてしまうよりは、いろいろ試してみて自分の選択肢を増やしていくほうがいいかもしれないですね。
TOMOMI 本当にそう思います。最終的に“これだ!”と思うものが見つかるまでは、とにかく何でも興味を持てる人が一番すごいと思います。
AMERICAN PROFESSIONAL II JAZZ BASS® は、60年以上に渡る革新、インスピレーション、進化を経て、現代のプレイヤーの要求に応えます。
SCANDAL
2006年、大阪にて結成。メンバーはHARUNA(Vo, Gt)、MAMI(Gt, Vo)、TOMOMI(Ba, Vo)、RINA(Dr, Vo)。2008年、シングル「DOLL」でデビュー。翌年にリリースされた「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞。2012年、異例の早さで日本武道館公演を達成。2013年には夢であった大阪城ホール公演を5分で即完させる。2015年、世界9カ国41公演を廻る単独ワールドツアーを大盛況に収め、初の東名阪アリーナツアーでは4万人を動員。2016年8月に結成10周年を迎え、結成地である大阪にて1万人を動員した野外コンサートを開催。2017年、ベストアルバム『SCANDAL』をリリース。国内外問わずに多くのフォロワーを持ち、世界中でコンサートを行っている。近年ではファッションアイコンとしても注目を集め、自身のアパレルブランド”Feedback!”をプロデュース。2019年にはプライベートレーベル”her”を設立するなど、名実ともに日本を代表するガールズバンド。
› Website:https://www.scandal-4.com