Turning Point of Performer Vol.2 | キダ モティフォ(tricot)

TURNING POINT OF PERFORMER

自分や仲間だけで演奏している“プレイヤー”から、オーディエンスを相手にして演奏する“パフォーマー”。同じ演奏だが、何かが違うはずだ。日本のロックシーンを熱くしているパフォーマーたちは、どうやって“プレイヤー”から“パフォーマー”へとステップアップし、また、パフォーマーであることにどんな魅力を感じているのか。TURNING POINT OF PERFORMERと題したシリーズ第2回目は、tricotのキダ モティフォ(Gt,Cho)に話を聞いた。

楽器を弾いていると達成感があるんです。 何だか青春の延長みたいな感じです
 

― 初めてのステージを覚えていますか?

キダ モティフォ(以下:キダ)  バンドがやりたくて、軽音楽部がある高校を探したほどなんです。それで、高校に入学し軽音楽部に入りました。その軽音楽部がクリスマスイベントをライヴハウスを借りてやっていて、そのクリスマスイベントが初ステージでした。高1の時で2004年ですね。

― 初ステージが音楽室ではなくライヴハウスだったんですね。

キダ  緊張しましたね。でも、緊張というか舞い上がっていた感じかも(笑)。バンドをやりたかったので、とにかく楽しみでした。

― 担当パートは?

キダ  私はギターで、ドラム、ベース、ボーカルの4人編成でした。その時は3曲演奏した記憶があります。椎名林檎のコピーと、オリジナルを1曲作って、残りはThe Supremesの「You Can’t Hurry Love」でした。

― うまく演奏できましたか?

キダ  その時はもう“できたー!”っていう感じです。でも、今聴いたら“下手くそやなぁ”と思うはずです(笑)。

― それ以降も演奏する機会はあったのですか?

キダ  そうですね。その軽音楽部は毎月定例演奏もやっていて。ライヴハウスではなく学校内の多目的室で開催されて、それにもずっと出ていました。でも、そういうところで演奏していると、部活とは全然関係のない人にも聴いてほしいなと思ってきて。

― わかります。それはいつ実現を?

キダ  高校を卒業してからですね。高校を卒業してtricotの前に組んだバンドで、いろんな人にチケットを買ってもらい演奏しました。全部で5〜6バンドが出演しましたね。

― 知らない人の前でのライヴはどうでしたか?

キダ  私たちのバンドは全曲がオリジナルだったので、“自分のバンド”っていう感じがすごくあって楽しかったですね。

― 知らない人の前でのライブは、やはり部活とは違いました?

キダ  身内の前でのライヴは安心感があるんですけど、知らない人に“こんなギター弾けまっせ、どうや!”みたいな感じでやれて気持ち良かったです。しかも、”あの人、何?”みたいなリアクションの人もいたりして…それが嬉しかったです。味をしめましたね(笑)。

― 高校を卒業した後は?

キダ  短大に行ってバンドをやっていました。

― メンバーは女性でしたか?

キダ  そうですね、最初は全員女の子でしたね。

― ガールズバンドであることは意識していました?

キダ  少しは意識していました。ちょうどチャットモンチーなどガールズバンドが増えはじめてきた頃だったんです。それで、ガールズバンドってなんかいいなって。でも、途中でベースが抜けて。新しく入ったのは、メンバー募集で連絡くれた男性でしたね。男でも女でもカッコいい音楽をやりたかったんです。なので、メンバーの性別は問わずでした。

― でも、バンドって基本男性が多いですよね。

キダ  女の人ってのめり込む人が少ない気がするんですよね。オタク気質の人が少ないのか、すぐに離れてしまうイメージがあって。部活の3年間は一生懸命やるけど、部活が終わるとそのまま楽器やバンドを辞めてしまう人が多い気がします。

― キダさんはなぜ続けられたんですか?

キダ  負けず嫌いだからですね。ギターをやっている男の人が多かったので、“まぁ、女やから弾けへんやろ”って思われるのがすごく嫌で。弾けるようになろうと練習しました。

― 短大を卒業してからは?

キダ  ちょっとしてからtricotですね。


TURNING POINT OF PERFORMER

TURNING POINT OF PERFORMER

tricotを始めた頃の写真

 

― なぜ卒業したのにまだバンドを続けようと?

キダ  それしかなかったからです(笑)。きっと、もっと人前で演奏したいという気持ちがあったんでしょうね。

― それは何でだと思います?

キダ  何でしょうね。認められたかったんだと思うんです。“すごい”って言われたいとか、褒められたいっていう気持ちです。バンドをやっていると、楽器を弾いていると達成感があるんですよ。何だか青春の延長みたいな感じです。

― 青春かぁ。tricotのライヴを観ていると気持ち良さそうに弾きますよね。

キダ  気持ちいいですね(笑)。

― ステージだと普段出せない何かが出せるんですか?

キダ  そうですね。普段出せへんような解放感があります。

― ステージから見た忘れられない景色ってありますか?

キダ  お客さんがいい顔をしていると嬉しいですね。すごく笑っていたり、真剣な顔でステージを観ていたり、めちゃめちゃ泣いていたり歌っていたり、いろんな人がいるのを見られるのが一番嬉しいですね。

― お客さんの中にも“私もバンドを続けていれば…”って思う人がいるかもしれないですよね。卒業後も高校生たちがバンドを続けていくためのアドバイスってありますか?

キダ  自分の限界を決めないことだと思います。自分とメンバーを信じるしかないというか。“この人たちとなら大丈夫”と思うしかない。特にはっきりとした何かがあるわけではないです。続けたいっていう気持ちがあれば、やっていけるような気がします。

― キダさんは途中でやめようとは思わなかったんですか?

キダ  思ったことはありますけど、“やめてどうすんの?”が勝っていました(笑)。最近はYouTubeなどでどの国にいてもMVやライヴ映像を見られるわけじゃないですか。どこの国の誰かもわからない人が、自分の曲を聴いていいなと思ってくれたり、“ライヴしに来てよ!”というコメントがあったりすると、“やってて良かったな”って思います。高校の軽音部が終わって、バンドを辞めていく子も多いと思います。確かに続けるのはしんどいですけど、続けたから得られる達成感があるので、楽しんでやってほしいですね。


AMERICAN PERFORMER STRATOCASTER®

TURNING POINT OF PERFORMER

カリフォルニア州のコロナ工場で製造されるAmerican Performer Stratocasterは、USA製フェンダーならではのオーセンティックなトーンとフィーリングを提供し、パフォーマンスにインスピレーションを与えるモダンスペックを随所にフィーチャーしています。

 

PROFILE


tricot
2010年9月1日、中嶋イッキュウ(Vo,Gt)、キダ モティフォ(Gt,Cho)、ヒロミ・ヒロヒロ(Ba,Cho)の3人でtricotを結成。直後に自主レーベル、BAKURETSU RECORDSを立ち上げる。展開の予測できない独特でスリリングな楽曲と、エモーショナルな力強さと心の琴線に触れる繊細さを併せ持つヴォーカルが絶妙にマッチし、唯一無二の世界観を生み出している。ぶっちぎりの演奏力と圧倒的なライヴパフォーマンスには定評があり、バンド結成2〜3年目から各地の大型フェスに出演し注目を集める。2014年以降は、欧米、アジアに活動の幅を広げ、ツアー開催、フェス出演など多数行なっている。2015年2月にはイギリスのNME.COMで特集記事が組まれ、同年4月にはアメリカのRolling Stone.comの「あなたが知るべき10組のニューアーティスト」に選出。2017年5月に3rdフルアルバム「3」を日英米同時リリースし、国内47カ所とヨーロッパ14カ所のリリースツアーを敢行。同年11月15日、Zepp DiverCityにて行われたワンマンライヴで吉田雄介(Dr)が加入。2018年には5thシングル「potage」を日米でアナログ盤でリリースし2度目のUSツアーを開催。国内のみならず海外でも注目度が急上昇中のロックバンド。
› Website:http://tricot.tv/

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