HOTEI GUITARHYTHM Ⅵ TOUR 2019″REPRISE”レポート
布袋寅泰が12月8日(日)LINE CUBE SHIBUYAにて『HOTEI GUITARHYTHM Ⅵ TOUR 2019″REPRISE”』を開催。その模様をレポート。
アルバム「GUITARHYTHM Ⅵ」を2019年5月29日にリリースした布袋寅泰。前作から10年ぶりとなる今回のアルバムは、原点を見つめ直した作品であると同時に、新たな挑戦を続ける布袋の飽くなき探求心を反映させた内容に仕上がっていた。
このアルバムを引っ提げ、2019年6月から8月にかけてホールツアーを行っていたが、全公演がソールドアウト。そのアンコールツアーとして『HOTEI GUITARHYTHM Ⅵ TOUR 2019″REPRISE”』が、12月7日(土)8日(日)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)2daysを皮切りにスタートした。ここでは8日の模様をレポートしよう。
開演前から大声援の“布袋!”コールが起こる会場にSE「Welcome 2 GⅥ」が流れ出すと、さらに歓声が大きくなる。高まる期待とともにステージに布袋とサポートメンバーが登場し、「Middle Of The End」で幕を開けた。
布袋が“サンキュー、ようこそ宇宙一のロックンロールショーへ!”と叫び、「Freedom In The Dark」につなげていく。ファンキーなグルーヴが心地いい「Doubt」で会場がさらに熱くなる。
そして、軽快なロックンロールナンバー「Shape Of Pain」「Secret Garden」、ギラギラとしたリフが印象的な「Black Goggles」と最新アルバムからの曲が続く。鋭い切れ味のギターで、彼の代名詞とも言えるダイナミックなカッティングと鮮やかなソロを響かせ、エモーショナルなヴォーカルで魅了する。
デジタルビートを前面に打ち出した「Clone」では、スタンドにセットしたギターでトリッキーなソロを奏で、続く「DEVIL’S SUGER」ではヘヴィなリフで迫る。さまざまな見せ場を用意し、スリリングなギタープレイでオーディエンスを虜にしていく。
ここまで緊張感のあるナンバーが連続していたが、温かみのあるメロディをじっくり聴かせる「YOU」で会場をリラックスさせる。
そんな雰囲気をさらに和ませてくれたのが「Calling You, Calling Me」だ。今年発表になったフェンダーのAMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTERを奏で、落ち着いた曲調にキラキラとしたサウンドを加えていく。ストローク主体でニュアンスを表現し、タッチの強弱でメリハリを生む。時にはピアノのフレーズとストロークを絡み合わせ、澄んだ音色をみずみずしく響き渡らせる。アコースティックギターよりもダイレクトに届く音と、エレキギターよりも繊細な表情を持ち合わせたAMERICAN ACOUSTASONIC TELECASTERならではの存在感。ソニックグレイのボディが渋いインパクトを与え、バックライトに照らされた布袋のシルエットが幻想的に浮かび上がっていた。
再びハードなサウンドの「Give It To The Universe」でライヴは後半戦に突入する。テンションをさらに高め、観客も合唱する「DIVING WITH MY CAR」「RADIO!RADIO!RADIO!」といった代表曲を続けざまに披露。そこに「BE MY BABY」のイントロが流れると、会場の興奮は最高潮に達する。
その勢いのまま、明るく広がりのある曲調の「MAJESTIC BABY」、オーディエンス全員が頭上で腕を回す「MERRY-GO-ROUND」、スピーディで高揚感溢れる「GLORIOUS DAY」といった、ファンからも人気の高いナンバーを連投。きらめくようなロックンロールサウンドが空間を埋め尽くす。
「久しぶりの渋谷公会堂。入口も楽屋もずいぶん新しくなって変わりましたけれど、俺にとってはこの場所、この空気、何も変わっていません。昔の話ですけれど、俺たちはライヴハウスから渋谷公会堂を経て、その次に日本武道館を目標にしていました。ヒムロックの名言で“ライヴハウス武道館へようこそ”ってありましたけれど、俺たちにとってここ渋谷公会堂はライヴハウス。今回は『GUITARHYTHM Ⅵ』ツアーのリプライスということで、夏のツアーのさらに進化した形をこの思い出深い場所で、俺たちのライヴハウスで、もっと濃厚にもっとたくましくみんなに伝えたくて今日を楽しみにしていました。
最初の「GUITARHYTHM Ⅰ」は31年前のアルバムです。変わるところは変わったけれど、この俺が見つめているものは31年前も今も何ひとつ変わっていない気もします。こうやって改めて昔の曲を歌ったりすると、まるで予言書のように、あの頃描いていた世界が31年後のここにある気がします。
「GUITARHYTHM Ⅵ」は“あの日見た未来”というテーマですけど、俺の大好きな映画『ブレードランナー』で描かれた世界は2019年11月、まさに今の世界です。そんな未来に生きている。これから苦しいこともたくさんあるでしょうけれど、俺たちは生きることをやめるわけにはいかない。愛と勇気を持って、これからもまっすぐ生きていこう。そんなメッセージを込めて、最後の曲を送ります」(布袋)
本編最後はメッセージを込めた「ヒトコト」をゆったりと歌い上げ、大きなスケール感をもったサウンドに包まれ、感動のうちに終了した。
鳴りやまない“布袋!”コールに応え、再び登場。骨太なカッティングを轟かせる「DIRTY STAR」で沸かせる。そして、音源に元BOØWYの盟友、高橋まこと、松井常松がドラムとベースで参加したことでも話題となった「Thanks a Lot」を演奏。原点を感じさせるギターリフと8ビートがストレートに迫ってくる。さらにここで、BOØWY時代の名曲「Dreamin’」も飛び出し、全フレーズを合唱し続けるオーディエンスの熱とともに、会場は大きな一体感で盛り上がった。
ラストは、これもBOØWYのナンバー「LONGER THAN FOREVER」。色褪せることのないメロディが聴く者すべての胸に迫るエンディングで幕を閉じた。
最新アルバムの楽曲の新鮮さと普遍的なヴィジョン、そして今なお輝いて聴こえるこれまでの名曲たちの力をまっすぐに届けたライヴ。ソロ活動31年の凄みと未来に向けたメッセージを感じさせるステージだった。
なお、フェンダーでは新シリーズAMERICAN ULTRAの発売を記念して、世界中のアーティストを起用したグローバルビデオキャンペーンをスタート。フェンダーのグローバルサイトやオフィシャルYouTubeチャンネルで、現代の音楽シーンを牽引する注目のアーテイストが自身の音楽体験やAMERICAN ULTRAについて語る映像が公開されている。このキャンペーンに日本代表アーティストの一人として布袋が抜擢。AMERICAN ULTRA TELECASTERを実際にプレイし、その弾き心地や魅力について語る映像を見ることができる。
同じく、フェンダーではAMERICAN ULTRAシリーズ発売のタイミングで、新たなチャレンジを続ける表現者たち、”ウルトラリスト”にスポットを当てたインタビュー(Ultralist’s Interview)を公開しているが、そのスペシャルインタビューに布袋が登場。ロックとの出会い、海外での活動で確信したミュージシャンシップについてなど、現地ロンドンでさまざまなエピソードを語っている。ぜひこちらもチェックしてみてほしい。
Photograph by Michiko Yamamoto
セットリスト
01.Middle Of The End
02.Freedom In The Dark
03.Doubt
04.Shape Of Pain
05.Secret Garden
06.Black Goggle
07.Clone
08.DEVIL’S SUGER
09.YOU
10.Calling You, Calling Me
11.Tracker
12.Give It To The Universe
13.DIVING WITH MY CAR
14.RADIO! RADIO! RADIO!
15.BE MY BABY
16.MAJESTIC BABY
17.MERRY-GO-ROUND
18.GLORIOUS DAYS
19.ヒトコト
ENCORE
01.DIRTY STAR
02.Thanks a Lot
03.Dreamin’
04.LONGER THAN FOREVER
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