Yonawo House Tour
寝る前に聞きたい“ベッドタイムサウンド”が特徴の新世代バンド、yonawo。11月に3rdアルバム『Yonawo House』をリリースし、同アルバムを携えた全国12カ所でのツアー〈Yonawo House Tour〉を開催。今回は最終公演となる東京・恵比寿ザ・ガーデンホールの模様を、使用されたフェンダー楽器を中心にレポートする。
ソウル、ヒップホップ、ジャズが融合されたサウンドで新たな景色を描く
スタンディングで後方までびっしりと入った満員の会場。ライヴハウスのようにホールのフロアに密集する観客。久しぶりに見るコロナ禍前のライヴの光景である。ゆったりとしたグルーヴから始まるアーバンなサウンドの「tonight」からライヴはスタート。ソウルやジャズ、R&B、ファンク、ヒップホップといったジャンルが現代的に融合され、全体に“浮遊感”のあるサウンドが特徴。シンプルで音数の少ないオーガニックなアンサンブルの中、音価や休符でグルーヴィな空間を作り出す荒谷翔大(Vo)、田中慧(Ba)、斉藤雄哉(Gt)、野元喬文(Dr)。
続くアダルトでメロウな「苺」では、荒谷がFender USA Highway One Stratocaster®️ Upgrade(Daphne Blue)でコードをかき鳴らしながら歌い、ギターの斉藤もシューゲイザーサウンドでギターソロを響かせる。荒谷のStratocasterでの軽やかなカッティングから始まるファンキーな「Lonely」では、トレブリーでキレのあるストラトサウンドを聴かせる。ベッドタイムサウンドというコンセプトもあって、ステージ上は薄暗く、間接照明でライヴをムーディに演出。
エレピを弾きながら歌うソウルフルな「yugi」では、リバーヴ多めなギターサウンドによる独特な浮遊感が絶妙。シンプルなビートも中毒性があり、観客はカラダを揺らしながら共鳴している感覚がフロアに伝わってくる。
ライヴ中盤、ベースの田中がフェンダーのPrecision Bassに持ち替えて演奏した「ダンス」へ。プリッとした硬めの芯を持った太いサウンドで、ドラムの野元と心地良いグルーヴを生み出していく。クリスマスが近づいてきているので、東京だけ特別にと「はっぴいめりいくりすます」へ。ここから荒谷は、フェンダーのAcoustasonic® Player Telecaster®(Butterscotch Blonde)をかき鳴らしながら歌う。アコギのカラッとしたサウンドが美しく、ナチュラルなアコギのようなルックスで衣装に映えている。“昔の曲です”と紹介のあった「雨宿り」は、ラウンジミュージックのように優しくて心地良い風が流れているような曲。ジャジーでカッコ良く、ソフトにかき鳴らすアコギサウンドのAcoustasonicが活きた楽曲だった。
ライヴ後半にもAcoustasonicが登場。故郷・福岡の歌「天神」ではコードをかき鳴らしながら歌う。エレキとは違い、ホロウボディならではのボディ振動が弾き手の体に伝わるので、特にヴォーカリストから好評のギターである。
ライヴは怒涛の後半戦へ。フェスでの演奏シーンも想定しながら制作した「After Party」は、エレピの柔らかいサウンドの中、ワウのギター、ループするリズム隊がファンキーかつ心地よいR&B。音に身を委ねてカラダを動かしながら聴いている観客。心地良いグルーヴの波が会場を包み込み、観客とともに楽しめる楽曲へと進化していた。R&B、ソウルテイストの代表曲「矜羯羅がる」での間奏で、鈴木真海子(chelmico)、続いてSkaaiがステージに登場して会場の熱気は最高潮に。そのまま本編ラストはロングヒット曲「tokyo (feat. 鈴木真海子, Skaai)」を披露。休符を活かしたシンプルなビートの中、ソウル、ヒップホップ、ジャズが融合されたサウンドで新たな景色を描く。グルーヴィなリズムの中、深いリバーブのギターが加わり、yonawo独特の世界観を生み出す。空間のあるアレンジとアンサンブルがリスナーに寄り添っていた。
アンコールでは、大阪公演からやっているというメンバーのセッションコーナーを経て、デビュー3周年を記念した日比谷野外大音楽堂でのワンマンライヴ〈YONAWO YAON〉の開催を発表。そしてアンコールは、荒谷がAcoustasonicを携えて「Yesterday」へ。コードストローク中心のアコースティックなサウンドがエレキのフレーズに重なり合い、エレキとアコギがミックスされたアコスタらしいハイブリッドな音色を出していた。4人のセッション的なアプローチから作り出されるアンサンブル。心地良い音楽がカラダにいつまでも残るツアーファイナルだった。
All photo by Toyohiro Matsushima
【SET LIST】
1. tonight
2. 苺
3. Lonely
4. 26時
5. yugi
6. ijo
7. ダンス
8. good job
9. はっぴいめりいくりすます
10. 雨宿り
11. sunset
12. hanasanai
13. 天神
14. After Party
15. 矜羯羅がる
16. tokyo
ENCORE
1. Yesterday
yonawo:https://yonawo.com/