Code “F” Vol.10 | Conton Candy
ビギナーにとって最初の難関と言えるテクニックが“F Chord”。このコードを上手く押さえられずにギターを辞めてしまう人が多いが、ミュージシャンやプレイヤー人生においても、難関を超えられずに無限大の可能性を前に挫折してしまう人が多くいる。そんな中、困難を乗り越え、音楽業界の大海原に漕ぎ出した可能性に満ちたミュージシャン/プレイヤーにスポットを当てる『Code “F” 』。彼らはどうやって最初の難関を乗り越え、そして今どのような景色を見ているのだろうか。第10回目は、3ピースロックバンドのConton Candyから紬衣(Vo./Gt.)と楓華(Ba./Cho.)が登場。フェンダーPlayerシリーズのインプレッションと共に語ってもらった。
人に寄り添って、長く聴いてもらえる音楽を作り続けていきたい
──Conton Candyはどうやって始まったんですか?
紬衣 高校の軽音楽部で結成しました。出会いはそこですね。
──ギターとベースは軽音楽部に入る前から?
楓華 やっていなかったです。でも、ベースをやりたくて高校に入りました。
紬衣 私は小学5年生の時に初めてエレキギターを父親に買ってもらって、そこからギターを始めました。
──エレキを買ってもらったのはなぜ?
紬衣 小学4年生の頃に初めて家族でロックフェスに行ったのがきっかけです。ステージに立っているKANA-BOONを見て“うわ、かっこいい!”って。その時のヴォーカルギターの谷口鮪さんに目がいって。この人数を目の前にするってどういう感覚なんだろうって。そこに憧れて、バンドをやりたい、ギターをやりたいって思って、誕生日にギターを買ってもらいました。
──楓華さんは?
楓華 小さい頃にリトミックをやったり、ピアノやフルートをやったりして音楽はずっと好きでした。バンドは、中学2〜3年生の時に双子の彩楓(Dr./Cho.)と一緒に見ていたMステでKEYTALKと出会って、“バンド、めっちゃ良くない?”って。その時にベースをやりたいって思ったんです。そこで二人で軽音学部に入るぞ!って、軽音楽部が強い高校を探して入ったんです。
──さて、ギターの話になるのですが、紬衣さんはFコードの壁にぶち当りましたか?
紬衣 私は正直感じなかったです。最初は父親から教えてもらっていたので、自分で試行錯誤してイチから始める環境ではなかったのも大きいと思います。でも、Fコードをはじめとするバレーコードはキレイな音では鳴っていなかったと思います。
──ギターで最初に当たった壁は何ですか?
紬衣 最初の頃は指先があまりにも痛くて、長時間ギターを弾くのが嫌でしたね。あと、自分が好きなバンドのコピーをする時に、弾けないギターソロとかがあって、そういうのは壁にぶち当たっていましたね。
──指が痛いのはどう乗り越えたのですか?
紬衣 それが苦というよりも、だんだんとギターを弾く楽しさが痛さより勝ってきて、それで毎日毎日練習していた記憶があります。
──楓華さんはベースでぶち当たった壁はありましたか?
楓華 初めてベースを持った時に覚えているのが、指板に指が置けなかったんです。ネックを握る時の手の形がわからなくて、“ここはどう押さえたらいいんだろう?”みたいな。でも、ベースを持つことが楽しかったので夢中でした。
──こだわりの練習方法はありますか?
楓華 ひたすら曲を聴いて、それをそのまま弾くというものです。好きなフレーズを拾って、繰り返し弾いていたりしました。難しい箇所でも、例えばオクターブ奏法が出てきたらそれだけをやるみたいな感じで、壁を乗り越えていきました。
──紬衣さんはどうですか?
紬衣 本格的にコピーを始めたのは中学生からなのですが、その時はYouTubeの“弾いてみた動画”を見て、目で見たものを自分の指の形に投影しながら弾いていました。楓華みたいに聴いたものを弾くよりも、見たものをそのまま弾く感じ。ギターって押さえるポジションによって同じ響きが鳴るんですけど、聴いているだけだと最初はわからなくて。だから、動画で見たままを弾いてコピーをしまくっていましたね。
──Conton Candyは今ものすごい勢いですが、可能性の扉をどう開いてきたのですか?
紬衣 自分たちの強みとか方向性を模索しながらやってきたので、それが固まったのがバンドとしての可能性を広げるきっかけになったと思います。
──自分たちの方向性や強みを具体的に言うと?
紬衣 自分が作曲するのですが、そのレンジの広さというか…。
楓華 それは思います。いろいろな曲がある(笑)。“あ、また全然違う曲だ!”みたいな感覚で、どんなベースを弾こうかなって毎回ワクワクしながら弾いています。
紬衣 コーラスにも力を入れていますね。あと、これに出たいとかあれがしたいという具体的な目標よりも、“三人で長く音楽を続けていければいいね”って、それだけなんです。高校生からライヴハウスに出ていると、進学とか就職とかいろいろな選択のタイミングがあると思うんです。お互いバンドを続けたいという気持ちが通じ合っているのは、バンドを続けていく上で大事だと思っています。私たちのような学生時代から組んだバンドだと、特にそこが一致しているのは同じ方向を向いていることなのかなって。
──さて、お二人ともフェンダーユーザーですが、フェンダーとの出会いは?
楓華 中学3年生の時です。全然知識がなかったのですが、KEYTALKのベーシストの首藤義勝さんがフェンダーを使っていたので、ずっとフェンダーのベースが欲しいと思っていたんです。それでお母さんと二人で楽器屋さんに行った時、値段的に手の届くフェンダーベースを買いました。
──実際にフェンダーのベースはどうですか?
楓華 買ってからずっと使っています(笑)。体の一部になるんじゃないかってくらい使っているので、フェンダーが一番しっくりきます。
──紬衣さんは?
紬衣 小学5年生の時に買ってもらったギターがスクワイヤーでした。ヘッドをよく見たら小さく“By Fender”と書いてあって、そこでフェンダーの存在を知ったんです。私も楓華と同じように、今まで使ってきたギターがずっとフェンダーで他のギターをあまり弾いたことがないので、正直、フェンダーのギターが当たり前になっています(笑)。
──今日、試奏していただいた楽器のインプレッションを教えてください。紬衣さんはPlayer Telecaster®ですね。
紬衣 まず、ギターの中で一番好きなのがテレキャスで、今使っているのもTC-90 Thinlineです。なんせ、テレキャスの音が好きなんですよね。カリッとした音で、一番気持ち良い音が鳴っていると個人的には思っています。さっきKANA-BOONの話をしましたが鮪さんもテレキャスを持っていますし、よくコピーをしてインスピレーションを受けたバンドのヴォーカル&ギターがテレキャスを使っていたんです。すごく思い入れがあるのでPlayer Telecasterを選ばせていただきました。で、試奏したのですが、6弦から1弦まで全部の音がキレイに出ててめちゃ良かったです。カッティングとか弾きたくなりました。
──さっそく実戦で使いたい感じですか?
紬衣 めちゃめちゃ使いたいです。今使っているギター1本じゃ無理な曲もあるので、登場する場面も多いと思いました。
──楓華さんはPlayer Jazz Bass®ですが、いかがでしたか?
楓華 弾いた瞬間に“お!”と思いました。太い音が鳴る感じで、私はハイポジションのフレーズも多いのですがそこまでもしっかりと音が出ていて、どんなベーシストでもこの1本があればいいんじゃないかなって。ネックも持ちやすくて、1本目のフェンダーとしてもいいんじゃないかなと思いました。
──バンドとしての目標は?
紬衣 私たちが中学生の時に好きだったバンドって、ライヴハウスでライヴをして、目指す先が日本武道館というイメージがあって。なので3人とも、武道館の舞台には立ちたいという共通認識はあるよね?
楓華 うん。あとは、いろいろな人に寄り添って長く聴いてもらえる音楽を作り続けていきたいっていう想いもあるよね?
紬衣 ある!
──確認できましたね(笑)。最後に、ビギナーの方へメッセージをお願いします。
紬衣 ギターを弾くことを義務だとは思ってほしくないなって。“弾かなきゃ”とか“練習しなきゃ”って思っちゃったら、練習とかコピーがどんどん楽しくなくなっちゃうと思うんです。弾けるようになりたい曲、歌ってみたい曲、楽しいと思えることからスタートしてほしいし、それをずっと続けてほしいなと思います。自分もそうだったから、こうやって続けてこられたので。
楓華 “楽しい”と“大好き”は絶対に失くさないでほしい。大好きな音楽を聴いてベースを弾けば、必ず自分の音が出てくると思います。ベースを始めるきっかけが必ずあったのだから、その気持ちを無くさずに楽しく続けてほしいです。
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Conton Candy
Vo./Gt.紬衣(つむぎ)、Ba./Cho.楓華(ふうか)、Dr./Cho.彩楓(さやか)で構成される3ピースロックバンド”Conton Candy(コントンキャンディ)”。
2018年に高校の軽音楽部で結成。
ライブハウスを中心に活動しており、音楽フェスやイベントに出演すると軒並み入場規制がかかるなど、バンドシーンの台風の目となっている。
1st 配信シングル「ロングスカートは靡いて」で、音楽配信サイト「Eggs」年間ランキングのアーティスト別・楽曲別ともに1位と二冠を達成。23年4月に配信リリースした「ファジーネーブル」はSNSを中心にバイラルヒットし、各音楽チャートを席巻。勢いをそのままに、3rd EP『charm』を9月20日にリリース予定。
ノイジーでポップなサウンドに、誰しもを惹きつける紬衣の歌声、そして双子のリズム隊が織りなす唯一無二のグルーヴが重なり、観るものを”混沌”の世界へと惹き込む。
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