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山岸竜之介 meets Hammertone™ Pedals

2022年6月15日に発売されたHammertone Pedalsは、フェンダーのエンジニアであるスタン・コーティ氏によって設計された、リーズナブルでありながら高い堅牢性と性能を誇るニューペダル。全9モデルがラインナップされたHammertone Pedalsを、幅広いシーンで躍動するギタリスト、山岸竜之介が試奏する。

※試奏動画はフェンダー公式Instagram(@fender_jp)にて毎週木曜日に1モデルずつ公開中

フェンダーはクリーントーンで甘く弾くものだと思っていた人の概念が、いい意味で壊れるエフェクター

― まずは、Hammertone Overdriveを試奏した印象を教えてください。

山岸竜之介(以下:山岸) これは最初に試奏したのですが、いきなり心を持っていかれたポイントがありまして。PRE-MID BOOSTです。

―中音域のブースト量を調整できるツマミですね。

山岸 僕がオーバードライブをかける時は、いつもバッファーになるようなエフェクターを1個前に入れるんです。PRE-MID BOOSTがあればそれが必要ないから、エフェクターが1個分空いて軽量になるなって。音も作り込みやすいです。あと、歪み方がライヴで出したい音に近くて好きですね。僕は音が速いエフェクターが好きなんですけど、弾いた時にパッと鳴ってくれて、聴こえてくる音と弾いてる音が同じタイミングで来てくれるレスポンスの速さが特にHammertone Overdriveから感じられました。

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― 続いてHammertone Distortion。

山岸 歪みの荒々しい部分がいい意味で残っているので、リードやソロを取る時とか、速弾きする時に使いやすいと思いましたね。Hammertone Overdriveとこれを使ってソロとバッキングで分けたり、Hammertone Overdriveの後段につないで両方いっぺんにかけて、エグいくらいに歪ませるのもアリだと思います。動画ではBASSを5、TREBLEを7ぐらいにして、歪ませすぎないようにしました。これは僕が好きなセッティングで、ギター単体で聴くと物足りないぐらいのほうがバンドで馴染むような気がしていて。歪ませすぎると、弾いている人は気持ちいいんですけど、音の輪郭がなくなっちゃうじゃないですか? だから抜けのいいトレブリーな音を作って、あとはGAINを絞ってまろやかさを出したり、逆に歪みが欲しい時はLEVELを上げると、歪んでるけど抜けるサウンドが作れるんです。このエフェクターはLEVELを上げても音が破綻しないので、すごくいいなと思いました。抜けた音が作りやすい上に、そんなに歪ませなくても充分歪んで聴こえますね。

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― Hammertone Metalはいかがでしょうか?

山岸 その名の通り“THEメタル”ですね(笑)。歪ませても音がグシャッとしないし、箱の中で音が歪んでいるというか、手の中で音が歪んでくれる感じがして。音をいっぱい大きくしなくても、しっかり悪そうに歪んでくれますね。Hammertone Distortionよりも中音域が少ないので、バッキングでパワーコードを鳴らす時により向いていると思いました。ヴォーカルがいる時は特にいいと思います。

― 音が潰れにくいのは、歪み系として大きな利点ですよね。

山岸 音が潰れないとごまかしが効かないので、そういうエフェクターで練習や音作りをすると腕が上がると思います。歪ませすぎると音は埋もれるけど、とは言え歪んでいないとテンションも上がらないので、これならちょうどいい塩梅を狙いやすいかなって。GAINを絞るとOverdriveよりもちょっと歪んでいるぐらいの音にもできたので、アンプによって調整しやすいと思います。

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― 4つ目はHammertone Fuzzです。

山岸 僕が一番好きな、ブチブチしている感じのファズです。8,000円でオクターヴファズが使えるって本当にすごいなと思います。OCTAVEスイッチを切ったら普通のファズになるし、OCTAVEをつけることによって動画みたいに1オクターブ上を弾く人がいる感じにできて、飛び道具的にも使えるのは面白いなって。あと、ギター弾く人はファズにハマってからエフェクター沼に入ると思うので(笑)、これはファズにハマる一歩目になり得る入り口であって、かつオクターヴファズが使えるのでゴールの場所にもある。いろんな人がファズの魅力に取り憑かれてしまうエフェクターだと思います。

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― 次は、空間系のHammertone Delay。

山岸 いいなと思ったのは、次に弾く音にあまり干渉してこないサウンドで音が返ってくれるところ。ディレイって“やまびこ効果”なので、返ってくる音域がいろんなところまで占めてくると、次に弾く音にかぶってきて邪魔しちゃうんですよね。でもこれは、ジャッと音を切った時はわかりやすくディレイが残るんですけど、FEEDBACKを強めにしてソロやアルペジオを弾いても他の音を邪魔しないんです。ディレイサウンドの作り込みがすごいなと思いました。タップテンポがついていなくてツマミでタイムを調整するディレイだと、ライヴ中に何回もツマミをいじったりできないから、こうやってディレイをかけっぱなしにできるといろいろな場面で使えるなって。特にソロの時に、Overdriveと一緒に踏むディレイとして使いやすいと思います。

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― 同じディレイでも、Hammertone Space Delayはニュアンスが異なるサウンドです。

山岸 全然違いますよね。でも、ギターを邪魔しない帯域で出てくれるのはHammertone Delayと共通しているポイントです。こちらは付点8分っぽいというか、一回弾いた音に対してジャッジャジャと3回フィードバックがある、ディレイにディレイをかけた状態のサウンドを作れました。僕がディレイを使う時は、ディレイにディレイをかけて無限ループみたいにしているんですけど、それが一台でできるのは使いやすいなって。このシリーズは、一台で二役をこなすモデルが多くてすごいなぁって思いますね。

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― Hammertone Chorusの印象は?

山岸 コーラスサウンドの進化系って感じですね。コーラスの音を作る時の基準になる憧れのアーティストが、皆さんにいると思うんですよ。その頭の中で鳴っている音に近づけるためのセッティングに時間がかかるのが、僕はせっかちなので嫌なんです。そういう意味で、これはTYPEとTONEでキャラクターを決めたら、あとは直感でその音に近づけられます。いろいろいじれるコーラスって多いですし、そういうのがいい時もありますけど、僕は初めて触ってもすぐにわかるようなシンプルなエフェクターが好きです。そのほうが音作りしやすいし、結局そこに行き着く感じがしてて。だから、Hammertone Chorusの王道かつわかりやすいところはすごくいいなと思いました。ツマミは少ないけど、スイッチが二つあるから音のキャラクターもいろいろ変えられると思いましたね。

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― 続いては、Hammertone Flanger。

山岸 まず見た目がアイスみたいで一番好きです(笑)。カッティングとかコードを白玉(全音符)で鳴らすだけじゃ音が素っ気なく感じる時があるんですけど、そういう時に広がりを持たせてくれるのがコーラスとフランジャーかなって。コーラスは爽やかなイメージだけど、フランジャーは広がりを持たせすぎてめっちゃ主張してくる感じ(笑)。でもハードロックとか、派手なギターの音が合う時がけっこうあると思っていて。Hammertone Flangerは目立ちたがり屋さんにピッタリですね。シンセサイザー的にギターの音を使う時にも使いやすいと思います。動画ではエグくかかるようにしているんですけど、TYPEスイッチを上にするとコーラスみたいにも使えると思いました。あと、RATEを速くしたら音が揺れているのがよくわかるので、フレーズを作る時にも楽しいかなと。これをかけてバーッと弾いたら、それだけで世界が広がって聴こえるエフェクターだと思いますね。

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― 最後はHammertone Reverb。試奏中は大興奮でしたね。

山岸 “推し”が来ましたね(笑)。ついにシマーリバーブがこのサイズになったか!とワクワクしました。シマーは、原音のオクターヴ上の音が聴こえてきて、かつ音が長いサウンドなんですけど、僕は曲の中に入れるのが好きで。イメージとしては、一滴垂らすだけで曲がすごく変わって聴こえるような魔法のエフェクターだと思っています。Hammertone Reverbは動画みたいにシマーもできますし、TYPEをプレートにすると聴き馴染みのあるフェンダーサウンドも作りやすいです。Twin ReverbやDeluxe Reverbのアンプだとか、みんなが知っているけどギターを邪魔しないでくれる音なので、実家に帰ってきた時みたいな安心感がありましたね(笑)。ツマミが少なくてもいろいろな音が作れるのは、原点にして最高かなと思います。

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―シリーズ全体のインプレッションはいかがでしたか?

山岸 低ノイズだなって感じました。エフェクターって歪み量や音量が上がるとカッコ良くないノイズが出る時があって、でもノイズを完全に消しちゃうとそれはそれで違うんですよ。ノイズが皆無だと壁の向こうで弾いている感じになって、ギターっぽくないというか。Hammertoneシリーズはまったくノイズがないわけじゃないんですけど、不快な音量でノイズが鳴ることもないので音楽的だなと思います。見た目とか音の方向性はフェンダーらしさがあるけど、今までフェンダーはクリーントーンで甘く弾くものだと思っていた人の概念が、いい意味で壊れるエフェクターな気がします。MetalやDistortion、Fuzzを弾いた時に、前に出ることもできるし人の後ろで弾くこともできるなと思って。その振れ幅って大事だし、今回はそれが一台で完結する機種が多かったです。“歪みがメインだけどクリーンでも使えるよ”とか、GAINのツマミ一個で変えられたのはすごいなって。それは特に歪みエフェクターで共通していましたね。


山岸竜之介

幼少の頃、『さんまのスーパーからくりTV』にてCharとギターセッションし、一躍注目の存在となる。その後、プロのアーティストと共演を重ね、ギターの殿堂『EXPERIENCE PRS in JAPAN』への出演も果たす。KenKen、ムッシュかまやつとともに結成したファンクバンド“LIFE IS GROOVE”では、〈RISING SUN〉や〈SUMMER SONIC〉、台湾の大型フェスにも多数出演し、10代にして音楽の聖地であるBlue NoteやBillboardでのバンドとして単独ライヴも果たした。これまでにソロアルバム1枚、シングル5枚を発表。全ての楽曲の作詞・作曲は山岸自身が行なっている。また、ギタリストとしてブロードウェイミュージカルの参加、楽曲提供、数々のミュージシャンとコラボレーションを行っている。
https://ryunosuke-gt.com

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