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Interview | 本間昭光 × 中村タイチ

フェンダーAmerican Acoustasonic Stratocasterの購入者を対象に、ポルノグラフィティやいきものがかり、木村カエラ、THE BAWDIES、岡崎体育らを手がけるプロデューサー本間昭光による監修の下、プロギタリストである中村タイチやサウンドエンジニアによるアドバイスとともに、プロ仕様の環境でレコーディングが体験できる夢のような企画「ACOUSTASONIC STRATOCASTER ホリデーキャンペーン」。その全貌について、本間昭光と中村タイチに話を聞いた。

どんな状況でも”力強い音を残す”その気持ちは忘れないようにしています

―  今回の「ACOUSTASONIC STRATOCASTER ホリデーキャンペーン」が行われるHINATA STUDIOは、どのようなスタジオですか?

本間昭光(以下:本間)  コロナ以前からレコーディングスタジオのあり方は変化しつつあり、オーバーダビングに特化したスタジオが欲しいと思って作ったのがこのスタジオです。もともとはマスタリングスタジオとして使用されていたスペースを改装し、オーディオ周辺機器の開発メーカーであるACOUSTIC REVIVEさんのご協力で電源ケーブルやシールド周りを整えているので、音のクオリティは申し分ありません。ここ最近、僕が手掛けたプロジェクトに関しては、ヴォーカルやギター、パーカッション、管弦楽器などのレコーディングをほぼすべてここでやっています。

―  そんなプロユースのスタジオで、本間さんの監修の下、中村さん直々のサポートを受けながらレコーディングを体験できるなんて夢のようです。

本間  とにかく気軽な気持ちで来ていただいて、自分の音楽を記録する楽しさを味わってほしいですね。アコギ弾き語りによるクオリティの高いデモテープを作りたいという方もいるでしょうし、自分で制作したデータにエレキギターをダビングしてみたいという方もいるかもしれない。アコギとエレキ、どちらのサウンドも楽しめるのがフェンダーのAmerican Acoustasonic Stratocasterの醍醐味ですからね。時間の許す限り、どんなリクエストにもなるべく応えたいと思っています。

―  事前にどういうことがしたいのか、明確にしておいたほうがより楽しめそうですね。

本間  手ブラで来てもらって“さて、何をしようか?”というのもそれはそれで楽しいんですけどね(笑)。自分の好きな既存の楽曲を持ってきてもらって、“ここに自分のギターを混ぜたい”というのも楽しいですし。さらにコーラスをダビングしてみたりとか。

中村タイチ(以下:中村)  いろいろ話し合いながらできると思うので、例えば“70年代ブリティッシュロック風のギターにしたい”とおっしゃってもらったら、そういう音作りも可能です。

―  本間さんがプロの現場でプロデュースを行う際に大切にしていることは?

本間  ヴォーカルでもギターでも、レコーディングする時には“実のある強い音”を録ろうと心がけています。その積み重ねによって、説得力のあるサウンドが生まれるんですよ。例えば、出来上がった音源では薄くコーラスのかかった淡いギターサウンドも、録り音の段階ではちゃんと芯のあるギターサウンドを作っている。そうしないと、ミックスダウンの時にどんどん埋もれてしまうんです。どんな状況でも“力強い音を残す”という気持ちは忘れないようにしていますね。

 あとは、楽曲のキーに合わせた適切なマイキング、EQ処理を行うこと。そういう微細なこだわりが、実はものすごく大切なんです。キャンペーン当日には、皆さんにそんなお話もできたらいいなと思っています。

Special Interview

―  とても貴重な機会になりそうですね。ところで、American Acoustasonic Stratocasterについてお二人はどんな印象をお持ちですか?

本間  僕の本業はギタリストではないので、プロデューサー目線で言わせてもらうと、まずコロナ禍において家で作業することが多くなってきている今、アコギとエレキ、両方の音を出せることは非常に利便性が高いと思います。

 先日お会いした某アーティストが、American Acoustasonic Telecasterを持っていたんです。なぜ購入したのか聞いたら、とにかく便利だと。デモテープを作る時には、これ1本あれば事足りると言っていましたね。彼はあえてエレキギターの弦を張っていました。フェンダーさんはアコギ弦を推奨されていますが、そうやって自分なりにカスタマイズできるのもAcoustasonic シリーズの魅力なのかなと。

中村  鈴木茂さんもエレキギターのライトゲージを張って演奏されていましたよね。確かに、チョーキングをする時にアコギ弦よりもエレキ弦のほうがラクかもしれないです。

―  実際の音色については?

本間  特にアコギのクオリティには驚きました。こんなに薄くて軽いボディなのに、まるで最適なピックアップが搭載されたアコギのようなサウンドが得られる。今までエレアコを弾いていて、“これが限界か”と思っていた音色を軽く超えていて、まさに“新しい楽器”という感じがしますね。

中村  ギタリストとしての立場から言うと、とにかく弾きやすいです。例えば、アコギを始めた人にとって最初の難関は、Fコードを押さえられるかどうか?じゃないですか。そこで挫折してしまう人ってすごく多いと思うんですけど、American Acoustasonic Stratocasterだったら容易に押さえられるんですよ。もし、アコギのFコードで諦めてしまった人がいたら、試しにこのギターを手に取ってみてほしい。エレキギターを弾いている時と同じくらいの握力で、アコギの音が出せるという不思議な感覚を味わえる(笑)。

本間  しかも、ハイポジションのネックの削り方が、完全にエレキギターのソロを弾きやすくするためなんだよね。つまり、エレキギターとしての使用感にもこだわり抜いている。“わかってらっしゃるなぁ!”と思います(笑)。

中村  すでにレコーディングスタジオでもAmerican Acoustasonic Stratocasterを使ってみたのですが、エレキでもアコギでもとにかくノイズがまったくないんですよ。なので、現代的な音楽にすごく合うのかなと。打ち込みトラックに重ねる時など、すごく便利だと思いますね。

―  自宅で過ごす時間が増えた人たちにも重宝しそうな楽器ですよね。

中村  知り合いのシンガーソングライターが、“家でアコギを弾くには音が大きすぎるし、エレキだとアンプを鳴らせないからペラペラの音になってしまう。でも、American Acoustasonic Stratocasterは音量的にもちょうど良い”と言っていました。一人暮らしの部屋でも安心して鳴らせるし、ラインで繋げればDTMも気軽にできる。本間さんもさっきおっしゃっていたように、これ1本でアコギとエレキ、両方の音が出せるのはDTM初心者にとっても心強い存在になると思います。ギタリストだけじゃなくて、他の楽器を演奏している人の最初の1本としても最適かと。もちろん、2本目のギターとして購入しても気分転換になると思います。

本間  “この曲のこの部分はエレキがいいのかな?それともアコギかな?”と迷った時に、いちいち繋ぎ直さなくて済むのは本当に嬉しいよね。準備している間にアイデアが飛んでしまうこともあるし(笑)。アコギの音に、エレキの音を自分の好きなバランスで混ぜるのも楽しくて。今までそういう楽器って存在しなかったと思うんですよ。そういう意味でも、さっき言ったようにこれは“新しい楽器”だし、フェンダーさんの発明だと思います。これからは、American Acoustasonic Stratocasterを常にデスクの横に置いておこうと思っています(笑)。


本間昭光
作編曲家/キーボーディスト/プロデューサー。12.19生まれ 大阪府出身。 1988年「マイカ音楽研究所」に入学し、松任谷正隆氏に作曲アレンジを師事。 1989年 上京と同時にハーフトーンミュージックに所属、キーボード・アレンジャーとして本格的に活動を開始。1996年 独自のポップな音楽センスを生かしたプロデュースワークを目指し、同年5月(有)bluesofaを設立。槇原敬之のバンドマスター、ポルノグラフィティへの楽曲提供、プロデュースなど様々なアーティストを手掛ける。 2015年、自身初の主催イベント“本間祭2015 ~これがホンマに本間の音楽祭~”をNHKホールで開催し、大成功をおさめる。 近年は、いきものがかり、鈴木雅之、木村カエラ、Little Glee Monsteer、木村カエラ、岡崎体育、降幡愛など様々なアーティストを手掛けている。 また、新潟県長岡市で開催される野外フェス「長岡米百俵フェス」のキュレーターや、テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」ゲスト出演など、幅広く活動している。 今年6月には、新レーベル「Purple One Star」のレーベルプロデューサーとして就任し、新たなプロデュースワークの展開も要注目。
› Website:https://akimitsuhomma.com


中村タイチ
プロデューサー/アレンジャー/コンポーザー/ギタリスト。74年、福井県出身。森山直太朗「さくら(独唱)」、DEPAPEPE「START」、渡辺美里「うたの木」シリーズ、DREAMS COME TRUE「GOOD BYE MY SCHOOL DAYS」、いきものがかり「帰りたくなったよ-acoustic version-」など、さまざまなジャンルの楽曲アレンジや、青山テルマ「何度も」で作曲提供も手掛ける。現在は神田莉緒香、瀬川あやか、JUNNAなど新人プロデュースも手掛け、活動の幅を広げている。
› Website:http://mogla-studio.com/artist/2013/02/nakamura-taichi.html.html

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