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Unlimited Expression | 小沼ようすけ

フェンダーが提案する新機軸のギター「American Acoustasonic」シリーズを使って、アーティストが自由に、そして無限の表現を繰り広げる「UNLIMITED EXPRESSION」。今回は、ジャズをルーツにフレンチカリビアンや民族音楽など、世界中を旅するような自由な音楽を紡ぐギタリスト、小沼ようすけが登場。コロナ禍中の活動、彼が愛用するフェンダーギター“Jazzmaster”との出会い、そしてAmerican Acoustasonicシリーズについて話を聞いた。

斬新に変化しているのに、Jazzmasterだと思わせるそのルーツの根深さに感動しました

― まずは、コロナ禍に見舞われた去年1年間の活動を教えてください。

小沼ようすけ(以下:小沼) 最初の緊急事態宣言の時は家にいて、周りがどんどん新しいことを始めているのを横目に、わりとのんびりしていましたね。でも、配信ライヴなどのきっかけをもらったりして動いてみたんです。自分でレコーディングできるシステムや、映像を配信できるシステムを揃えたりして、一応ベストを尽くしましたね。

― 実際にレコーディングは?

小沼 実は去年にレコーディングをして、それをリリースする予定だったんです。でも、コロナを巡る状況が変化していく中で、作ったものを変えたくなっちゃって。何か違うなと。フィーリングとばっちり合って、感情移入できるような作品を作ったつもりだったのですが、自分を取り巻く環境が変わっていくと、それも徐々に変わってきて。今は完成したものをバラしたりアレンジし直したりしていて、もう一度レコーディングしようかなと思っている最中です。今年でデビュー20周年なので、年内にリリースできたらと思っています。

― あらためてフェンダーとの出会いは?

小沼 僕が高校時代に使っていたギターが、フェンダーのイングヴェイ・マルムスティーンモデル(Stratocaster)だったんです。スキャロップド指板に憧れて、最初はスクワイアの指板を自分で削って、ハイフレットをスキャロップド指板にしたんです。でも、本物が欲しいと思ってフェンダーのイングヴェイモデルを買いました。

― もともとは速弾きギタリストを目指していたんですか?

小沼 中学校時代はBOØWYが好きだったんです。でも、途中から家庭教師の先生がギターと洋楽を教えてくれて。その先生がエドワード・ヴァン・ヘイレン、リッチー・ブラックモア、ポール・ギルバート、イングヴェイとかを勉強以上に教えてくれて(笑)。あとエフェクターとか、それこそフェンダーのギターも教えてくたんです。“これを弾いたらカッコ良いよ”とか、“このエフェクターをつけたらこういう音がするよ”とか全部を教えてもらって。高校時代はずっとストラトでしたし、上京した時もストラトを持ってきました。

― 小沼さんが使っているフェンダーギターというとJazzmasterの印象ですが、そもそもJazzmasterとの出会いは?

小沼 13年くらい前かな。宇崎竜童さんが所有されていた1970年代のJazzmasterを何回かライヴで弾かせてもらったのが出会いです。ストラトのあとにフルアコなどを経由していたので、音が太かったりして新鮮でした。とても気に入ってライヴでもよく使っていましたね。


― フェンダーのギターに対してどのようなイメージがありますか?

小沼 “時代とともに”という感じがしますね。“今はこれなんだ”ということを、スタイリッシュに教えてくれます。そして、アコスタ(American Acoustasonic)シリーズをはじめ、常に驚かされますよね。でも、どこかに伝統をキープしていて、そこにグッとくるんです。伝統を守っていることを表現しつつ、新しいことにトライしている気がします。

― アイデンティティは守りながら保守的ではない、面白いことだけをやっているメーカーとも違う。

小沼 そうですね。良い音楽もフェンダーも、変化をしながら揺るがないものがあるんですよね。例えば、シングルコイルという部分をひとつ取っても、揺るがないものがフェンダーにはありますよね。個人的にも、フェンダーに一番影響を受けた部分がシングルコイルだし。僕はいろいろなギターを使うんですけど、最近のブームとしてはやっぱりシングルコイルなんです。フェンダーのJazzmasterを知ってから、シングルコイルのダイナミクスのある音が好きというか。今の自分にも合っているなと思っています。

― American Acoustasocnic Jazzmasterに関して言うと、驚かされる部分も多かったのではないですか?

小沼 そうですね。どんなに弾き心地がアコースティックだろうが、やっぱりJazzmasterだと思わせるのがすごいなと思いました。斬新に変化しているのに、Jazzmasterだと思わせるそのルーツの根深さというか、幹の太さに感動しましたね。

― そもそもAcoustasocnicシリーズは、アコースティックでありながらエレキの音も出せる便利さに惹かれる人と、アコースティックでもエレキでもない音が出せる、その発明の面白さに惹かれる人がいますが、小沼さんは?

小沼 僕は後者ですね。ただ、エレキにはないニュアンス、タッチ、ダイナミクスがあるから、“アコースティック代わり”という意見もすごくわかります。それと同時に、エレキのアンプからアコースティック感を得られるのはやはり魅力だなと。セッティングの手間が省けるのもひとつの魅力です。なかなか一言では表現できないですね。あと、普段はエレキを弾く方が、アコースティックギターを弾く気持ちもすごくわかっていると思うんです。“アコギに持ち替えるほどじゃないけれどエレキではない”ことって多くて。だからすごく重宝するし、ショウの中で別の華を添えることができるギターですよね。役割としては、ものすごく良いポジションにいると思います。

 あとは軽いし生音が大きいから、家で弾いていてもすごく気持ちいいんです。あと、ボディやネックの木材としての素材感がすごく良くて、触り心地に癒されます。しかも、同じモデルでも個体によって木目が違うので、そういうのも今の時代ならではなのかなと。これからいろいろな人が演奏して映像が出てくると思うんですけど、この先が楽しみです。予想のつかない使い方をする人が出てくるだろうし、そういうところを僕もチェックしたいなと思っています。

― 最後に、ビギナーの方にアドバイスをお願いします・

小沼 楽器を久しぶりに取り出したり、新しく買ったりしたら、必ず初心者用に調整してもらってください。弾きにくいギターを弾いて、挫折しちゃう人が多いんです。でも、本当に弾きやすい状態にすれば、押さえられないコードもわりと押さえられるので。初心者の方からギターを借ると、“これで弾いていたんだ!?”って思うことが多くて、これは挫折するだろうなと。そういう面では、フェンダーのちゃんとしたギターから始めることも大切ですね。


American Acoustasonic™ Jazzmaster® はフェンダーアコースティックギターの進化を加速させ、音楽をさらなる高みへと導きます。フェンダーとフィッシュマン®により共同開発されたアコースティックエンジンは、きっと素晴らしいインスピレーションを与えてくれるはずです。アコースティックのフォーキーなサウンドからエレクトリックギターのリズムトーンまでをこなすこのギターは、無限の可能性を秘め、新しい扉を開く革新的なモデルです。


小沼ようすけ

14歳でギターを始める。2001年にソニー・ミュージックよりデビュー、10年間在籍。現在までにソニー他から10枚のリーダー作品をリリース。2004年、リチャード・ボナ(Ba)、アリ・ホニッグ(Dr)をフィーチャーしたトリオアルバム『Three Primary Colors』をニューヨークで録音。2010年、フレンチカリビアンのミュージシャンたちとレコーディングした「Jam Ka」を発売。グアドループの民族音楽グオッカの太鼓がフィーチャーされたこの作品で独自の世界感を展開。2016年、Flyway LABELを設立。第1弾作品として、パリで録音された「Jam Ka」の続編 「Jam Ka Deux」をリリース。ジャズをベースにさまざまな国を旅して得た影響、経験を音楽に採り入れながら、世界を繋ぐ創作活動を続けるギタリスト。エレキギターの他に、ナイロン弦アコースティックギターも使用する。
› Website : http://www.YosukeOnuma.com

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