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Special Interview | 常田大希、新井和輝(King Gnu/millennium parade)-後編-

プレイヤー的なマインドだけじゃなくクリエイションにも理解がある

プレイヤーとしてのアイデンティティを形成するもののひとつと言っても過言ではないほど、ライヴ/レコーディング/MVなどさまざまなシーンでフェンダーを愛用しているKing Gnuの常田大希と新井和輝。日本製Swingerをベースに、大幅なカスタマイズを施した常田大希のシグネイチャーギター「Daiki Tsuneta Swinger」。そして、2021年に日本製にて復刻され大きな反響を得た「Made In Japan Deluxe Jazz Bass V」を元に、本人の理想を注ぎ込みアップグレードを施した新井和輝のシグネイチャーベース「Deluxe Jazz Bass® V, Kazuki Arai Edition」が発売。インタビュー後編では、二人の出会いやプレイヤーとしての印象、12月1日にリリースされる新曲「BOY」について話を聞いた。

クリーントーンの太さはすごく大事にしますね。

― 初対面のことを覚えていますか?

常田 実際にサポートを頼んだ時ですかね。

― 最初に演奏を聴いてどうでした?

常田 やっぱり1音目から違いましたね(笑)。

新井 ははは。

常田 本当はあまり覚えてないです(笑)。でも、1音目から違った気がします。

― それから随分と時間が経ちましたが、常田さんから見た新井さんというベーシストは?

常田 楽器のスペシャリストであることは間違いないです。かと言ってプレイヤー的なマインドだけじゃなく、クリエイションにもすごく理解がある。

― 新井さんから見た常田さんというギタリストは?

新井 フレーズが唯一無二で、それだけ聴けばルーツの広さがすごくわかると思います。グランジも通っていたり、あとはやっぱりチェロをやっているので、薬指の使い方がギタリストにはないところがありますね。弦の引っ掛け方とか独特だと思うんですよ。

常田 ギタリストっていう認識があまりないんですよね。ギター以外の楽器の影響もデカイとは思います。自分でもけっこう独特な気がしますね。

― 先ほど、新井さんは楽器のスペシャリストとおっしゃっていましたが、具体的には?

常田 “ベースだけで何本持ってるの?”って。しかも同じ5弦ベースで。理解できない(笑)。4本くらい同じベースが並んでいて、何やっているんだろう?と(笑) 。

新井 メンバーからは怖がられています(笑) 。

常田 でも1本1本違うんでしょうね。プレイヤーってそうであってほしい気はします。

― 常田さんもこだわりがありそうですが、新井さんから見てどうですか?

新井 大希の楽器に対するこだわりは、驚くほどないですね。見た目とかじゃないですか? もちろん、弾いた音は大事にしているけれど、俺みたいにディープなところはまったくないですね。“自分はギタリストじゃない”と話していましたけど、ライヴでのディストーションのかけ方やアーミングの使い方、ソロでの鳴らし方は完全にギタリスト像がありますね。

― そのあたりは誰からの影響ですか?

常田 ウッドストックカルチャーが好きで育ってきたので、ギターミュージックという意味ではめちゃめちゃ影響を受けています。

― ご自身の楽器へのこだわりを言葉にすると?

新井 “音楽に合っているかどうか”が一番大事です。一本一本で言うと、弾きやすさ、手にしっくりくるかどうかが大事ですね。

常田 クリーントーンの太さはすごく大事にしますね。あとは歪み方ぐらいですかね、音としてこだわっているのは。和輝が言っていた外側(ルックス)は大事というか、そこありきですね。でも、デザインってかなり主観的で抽象的なので話せることもあまりないんですが(笑) 。

― StratocasterとTelecasterには興味はないですか?

常田 使ったことがないですね。惹かれるのはMustang、Jaguar、やっぱり90年代カルチャーの影響ですね。

― しかもMustangはボディを切って使っていますよね。

常田 基本的に小さいのが好きです。アジア人の身体のサイズに合っているので。あと、改造していくと音が変わっていくから…カッコつけてるだけじゃダメだなと思いますね(笑)。やっぱり、良い音のほうがいいなって。それくらいの感覚はあります。

― 新井さんから見ると、ボディを切る行為とかカスタマイズってどう映っているんですか?

新井 実は親父が俺のベースを勝手に塗装していたりしましたね。布袋さんが好きすぎてあの柄に…。

常田 俺も中学校の頃にやったな。

新井 で、後にマイナスドライバーで全部塗装を剥がして、傷だらけになってるというベースが今も実家にあります(笑)。

― 気持ち的にはわからないでもないと。

新井 そうなんです。持っていたローラーブレードも全部塗られて(笑)。建設業だったのでそういうことができちゃうので。


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楽器から返ってくるものは必ずある

― 12月1日にニューシングル「BOY」が発売になりますが、お二人はどんな“少年”でしたか?

常田 和輝は生徒会長だったんでしょ?

新井 生徒会長でした。担任の先生から“やったら?”と言われて。親父に相談したら“好きなものひとつ買ってやるからやれば?”と言われたのでベースを買ってもらいました。その時にちょうど友達からバンドを誘われていて、ベースしか余っていなかったので、そのタイミングでベースを買ってもらって始めたのがきっかけですね。

― 生徒会長のご褒美でベース。でも塗られちゃったんですよね?

新井 親父が買ったものなので、あまり文句も言えず(笑)。

― 常田さんは?

常田 マジで変わってないと言われます。全然覚えてないんですよ。

新井 (井口)理も言ってるもんね。

常田 うん。小学生の頃からこんな感じって理は言ってましたね。

新井 嫌な子供だ(笑)。

― (笑)。ボスっぽい感じでもなく?

常田 昔からいつも少人数でつるんでいました。今もそうですけど。

― ましてや生徒会長になるなんて…。

常田 あり得ない。あまり学校に行かないくらいだったから。

― シグネイチャーモデルが発売された直後からツアーが始まりますね。ようやく緊急事態宣言が明けましたが、ツアーへの意気込みを。

新井 去年も同じ時期にツアーをやったんですけど、その時と比べてトンネルの先の光が見えている状態で、去年とは違ったツアーになると思うので、雰囲気や空気感を見出せるツアーになったらいいと思います。そして、去年よりも楽しくできたらいいなと。

常田 新曲がたくさん溜まっています。ツアーで全部はやらないけど、楽しみです。「BOY」に始まり、怒涛の活動をしていくのでそれも楽しみですね。

― コロナ禍でライヴへの意識は変わりましたか?

常田 個人的にはお客さんに騒いでほしいけれど、俺らもお客さんも楽しみ方を見つけた2年だったと思います。以前のような日常に戻ってくれるに越したことはないですけど。

― 今までは“パーティー”だったけれどまた違うものに。

常田 もっと聴く感じになりましたね。

― 最後の質問ですが、これから楽器を始めるビギナーへメッセージを

新井 楽器って基本的にプラスチックとか鉄じゃないから個体差もあるし、弾き方のニュアンスとか、楽器から返ってくるものは必ずあるんです。そういうのを楽しんでもらえたら良いかなと思います。

― 常田さんは?

常田 買うべきはパソコンではなくDaiki Tsuneta Swingerです。

前編はこちら


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日本製Swingerをベースに大幅なカスタマイズを施した”Daiki Tsuneta Swinger”。24インチスケールとバスウッドの軽量なボディーの組み合わせによる快適な演奏性と、メタルカバーのソープバータイプピックアップによる太く腰のあるサウンドは、完成以来ほぼ全てのレコーディングとステージで使用されるほど本人の信頼を得てきました。さらに専用のシンンクロナイズドトレモロと、激しいアーミングにも安定したチューニングを保つロック式チューナーを搭載することで、より自由な表現を可能にしています。

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2020年に日本製にて復刻され、大きな反響を得たMade In Japan Deluxe Jazz Bass Vを元に、新井和輝の理想が注ぎ込まれ、更なるアップグレードを施したシグネチャーモデル”Deluxe Jazz Bass® V Kazuki Arai Edition“。サウンドに徹底的にこだわったこのモデルは、アクティブ回路をメインに使用しながらもパッシブのナチュラルな響きを追求し、ローステッドメイプルネックに厳選されたローズ指板を採用。薄く吹かれたニトロセルロースラッカーが高級感と共にこだわり抜いた木材の鳴りを最大限に引き出しています。


King Gnu
東京藝術大学出身で、独自の活動を展開するクリエイターの常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt,Vo)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Kb)の4名体制で始動。2017年4月、バンド名を“King Gnu”に改名。2019年、2ndアルバム『Sympa』でメジャーデビュー。
https://kinggnu.jp

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