SUPER EIGHT 〈超アリーナツアー2024 SUPER EIGHT〉

SUPER EIGHTとして初めて開催される全国ツアー〈超ARENA TOUR 2024 SUPER EIGHT〉は11月2日(土)3日(日)真駒内セキスイハイムアイスアリーナ公演まで続く。10月8日〜10日に行われた横浜アリーナ公演も、デビュー20周年を祝福するEIGHTER(ファンの呼称)で満員となった。ダンスパフォーマンスとバンド演奏で観客を魅了する彼らのライヴは唯一無二だ。10月10日の公演の模様に触れているこのレポートは、フェンダーの楽器を愛用している丸山隆平、安田章大に焦点を絞ってお届けする。

安田の新しい相棒、Custom Shop製のユニークなTelecasterが会場を魅了

7月31日にリリースされた最新アルバム『SUPER EIGHT』のコンセプト“1000年後の未来から来たSUPER HERO”を表現したオープニングムービーがスクリーンに映し出されたあと、ステージに横山裕、村上信五、丸山隆平、安田章大、大倉忠義が登場。大歓声が沸き起こり、客席の全エリアでペンライトの光が激しく揺れた。オープニングを飾ったのは「カカッテコーゼ」。キレの良いダンスを踊りながら歌声を響かせる5人が、会場全体を瞬く間にひとつにしていた。花道や円形のセンターステージも駆使しながら会場の隅々にまで視線と笑顔を送る姿がまぶしい。豊富なライヴ経験に裏打ちされた高いパフォーマンス力が序盤から冴え渡っていた。

最新アルバムの収録曲と代表曲の数々で構成されたセットリストは、20年間の軌跡の濃密さを示している。バンド演奏の曲は「アンスロポス」からスタート。フェンダーの’72 Jazz Bassを手にした丸山が、アンサンブルをしっかりと支えながら躍動させているのを感じた。スライドプレイも交えつつ、多彩なニュアンスとノリを醸し出すプレイからは、表現力の高さも伝わってくる。ピック弾きをしながら清々しい疾走感を生んだ「未完成」「喝采」「生きてる僕ら」、指弾きで温かな音色を響かせた「群青の風」は、ライヴ序盤の盛り上がりを加速する爽やかな起爆剤だった。

2010年にリリースされたアルバム『8UPPERS』の収録曲を5人で再レコーディングした「BOY’23」でも丸山はJazz Bassを使用。さまざまな機材と向き合いながら理想のサウンドを探求し続けている彼にとって、やはりJazz Bassは頼もしい存在なのだろう。骨太で重厚なサウンドから爽やかな響きまで、各曲を最大限に輝かせる多彩な音色が放たれていた。

歌声はもちろん、ダイナミックなギターソロ、刻むシャープなビート、エネルギッシュなリフでもEIGHTERを魅了していた安田。フェンダーのLa Paloma K-Mazoo Telecaster Jr.は、彼の素晴らしい相棒となっていた。こちらは次期マスタービルダー候補生のダン・ゴンザレスが手掛けたCustom Shop製で、一般的なTelecasterとは異なるユニークな仕様が盛り込まれている。フロントとリアに搭載されているP90タイプのピックアップは、このモデルを印象づける大きなポイントだ。通常のシングルコイルに比べて柔らかで甘いトーンが「ブリュレ」「ハライッパイ」に深みを添えていた。ギターソロで軽快なフレーズを響かせた「ゴリゴリ」、サステインの利いた心地良いサウンドを放った「“超”勝手に仕上がれ」でも圧倒的な存在感だったTelecaster Jr.。花道を移動しながらプレイをした際に、ライトを浴びたボディが鮮やかに輝いていたことも思い出される。ステージ映えもするこのギターは、今後のライヴでも大活躍しそうだ。

そして、上記の4曲で丸山が使用していたのがフェンダーの’65 Precision Bass。パワフルで力強い音色が、各曲をグルーヴィに彩っていた。指弾きとピック弾きを使い分けながら、Precision Bassのサウンドのポテンシャルをたっぷりと引き出していたのが印象深い。「“超”勝手に仕上がれ」で繰り出したスラップは、EIGHTERを大いに沸かせた。

「一旦ペンライトを置いて、熱い想いを言葉にして、歌にして届けてくれますか? せっかくペンライトを置いたんやし、一緒にクラップから始めてくれませんか?」という安田の呼びかけに応えて手拍子が起こった「音楽が聴こえている」は、SUPER EIGHTとEIGHTERの素敵な合奏だった。たくさんの人々のエネルギーが一つになる素晴らしさという点では、ぜひ「オモイダマ」にも触れておきたい。最新アルバム『SUPER EIGHT』に収録されたリアレンジ曲「オモイダマjam with 東京スカパラダイスオーケストラ」は、今回のツアーの各地で学生ブラスバンドが演奏を担当している。横浜アリーナ公演に出演したのは、駒澤大学高等学校の吹奏楽部。丁寧で正確であると同時に「合奏って楽しい!」というピュアな喜びも滲ませる演奏に包まれた5人は、とても幸せそうな表情で歌っていた。

20年間の活動を支えてくれた EIGHTERに対するメンバーたちの強い想いも、さまざまな場面から伝わってくるライヴだった。

「“感謝してる”や“ありがとう”を上回る言葉なんてないんちゃうかなと考えているんですけど、一個上回る言葉を見つけたんです。たった5文字、“あいしてる”。何回も言えば言うほど陳腐になってしまう“ありがとう”や“感謝してる”を、“愛してる”という想いを込めて返す。僕たちはこれまでにそれを体現してきました。これからも受け取ってください」

安田のMCを聞きながら、会場を埋め尽くした人々を穏やかな眼差しで見つめていた横山、村上、丸山、大倉。EIGHTERとの愛の交わし合いは、今後もSUPER EIGHTを輝かせる素敵な原動力となっていくに違いない。


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