The Players | 森山直太朗

多様なサウンドをもたらす刺激的な楽器を求めるミュージシャンのためにデザインされた「Acoustasonic Player Telecaster」。唯一無二の音世界でシーンを切り開くアーティストに、その前衛的なモデルのインプレッションを聞くとともに、アーティストとギターとの関係について迫る「The Players」。第1回目は森山直太朗が登場。

最後に違いを出したり差を生むのは、技術ではなく味とかソウルとか感覚的なこと

― ギターを始めたのはいつ頃ですか?

森山直太朗(以下:森山) 中学3年生です。映画『クロスロード』を観て感化されて、青いフェンダーのTelecasterを買いました。その映画でブルースを好きになって聴いていたのですが、玉置浩二さんがソロ活動を始めて弾き語りをしていたので、それに憧れてアコースティックギターに移行したんです。

― アコギに移行してからはどんな曲をコピーしていましたか?

森山 玉置浩二さんの曲をコピーしていましたね。あとは、エリック・クラプトンの『MTV Unplugged』。「ティアーズ・イン・ヘヴン」をコピーしました。自分でアコギを購入したのは高校生の頃です。

― 音楽を本格的に目指したのはいつ頃ですか?

森山 実は、中学・高校は音楽をあまりやっていないんです。サッカー選手になりたくて、ずっと部活動でサッカーをやっていました。親が音楽をやっていたから、同じ道に進みたくないというヘンな自意識があったんだと思います。音楽に目覚めたのは大学生から。20歳くらいにサッカーをやめて、路上で弾き語りを始めました。サッカー部で一緒だった友達であり、今も一緒に曲を作っている御徒町凧と一緒に音楽を作り出し始めて。その頃から真剣にギターをやるようになりました。

― その頃はどのような練習をされていましたか?

森山 “こういうカッティングの曲を作りたいな”とか、“こういうアルペジオの曲を作りたいな”とか、今もそうなのですが、自分のイメージを先行させて曲作りの中で演奏技術を上げていくスタイルでしたね。

― 今回試奏したAcoustasonic Player Telecasterはいかがでしたか?

森山 とてもいいですね。試奏のコメント動画撮影の時、カメラが回っている前で“めっちゃいいですね”って言うと嘘くさいというか、そういう風に言えと言われているのかなとか(笑)、通販番組みたいで嫌だなと思ってあまり言わなかったですけど、本当にめっちゃいいと思います。

― 中学3年生以来、エレクトリックな楽器を弾いたわけですよね?

森山 そうですね。エレキってめちゃロックというか、敷居を高く感じるんですよね。いつも永積タカシくん(ハナレグミ)から“直太朗も絶対にエレキやれよ”って言われるんだけど、“いや絶対にやらない”と答えています(笑)。別にやらない理由はどこにもなくて、ただの食わず嫌いなんですけど。僕みたいにフォークソングとかアコースティックギターの人間でも、エレキもアコギも両方の音を出せるこういうギターは、入り口としていいキッカケになりますね。

― 試奏してみて感じたことはありますか?

森山 アコースティックギターのウッディな温もりがありつつ、低音が伸びるのが贅沢なところですね。低音が鳴っていると歌いやすいんです。僕は中音域から低音域が強いタイプの歌声なので、そこまで必要はないのですが、ベースの音(低音弦)が鳴っているところに反応して声を出しているんですよ。だから僕の場合、低音が効いているとすごく助かるんです。あとはセンターポジションにした時の、エレキとアコギをブレンドした様なハイブリットなギターサウンドが良かったですね。トーンを少し絞って低音を効かすと、自分好みの音になりますね。

― 今はどんなアコースティックギターを使っていますか?

森山 今はコア材のギターが多くて、乾いた音の感じが好きなんです。Acoustasonic Player Telecasterも乾いた音の雰囲気で、親近感が半端ないんですよね。僕はエレキギターに囲まれたら萎縮するタイプなんですけど、これは生音もアコギっぽくていいですよね。

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― Acoustasonic Player Telecasterをどう使ってみたいですか?

森山 ルーパーと一緒に使ってみたら面白そうですね。あとは、音数が少なくてやや歪んだ音色で、弾き語りするのも絶対にカッコいいと思います。まだライヴでエレキギターを弾いたことはないのですが、このギターが出てくる可能性もありますね。

― 今回の試奏では、ご自身の楽曲を弾き語りしながらチェックしてもらいました。

森山 新鮮な違和感だったのが、普段ギターをアンプに通すことがないので“あれ?”と思って緊張したんです。自分の音がよく聴こえているから。アンプを通しているから、一番小さい音と大きい音とのギャップがすごくて。“ここで来てほしい”という音が強いから、歌っていてすごく気持ち良かったですよ。久しぶりにギターショップにいるような感じで楽しかったですね。いつも楽器屋さんで試奏している時は、お客さんがいても弾き語りをしているんですよ(笑)。

― これからギターを始めようと思っているビギナーへメッセージをお願いします。

森山 僕はあまりコピーはしなかったけれど、いわゆるテープが擦り切れるほど映像を観たり音楽を聴いたりしたんです。ボブ・ディランもニール・ヤングもそうだけど、あの人たちが長けているのは、物事をよく見ているしよく聴いているっていうことだと思うんですよね。今はYouTubeのような“教材”を見れば一発ですよね。最終的にそれを上手く利用するのはいいんだけど、自分で音楽を解剖していくことが大事な作業なんじゃないかな。“ここってどう弾いているのかなぁ?”と考えること。僕自身、未だにポール・マッカートニーの3フィンガーとかよくわからないし、ずっと真似できなくて。最後に違いを出したり差を生むのは、技術ではなく味とかソウルとか感覚的なことだったりする。そのイメージに自分の技術を近づけるために、自分が心地良いと思うもの、カッコいいと思うものを大事にしてほしいです。


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フェンダーの革新的なAcoustasonicプラットフォームは、Acoustasonic Player Telecasterによって進化を続けます。このアコースティック/エレクトリックギターは、6つのユニークなヴォイシングにより、その個性を確固たるものにします。洗練された3ウェイスイッチングが、アコースティックトーンとエレクトリックトーンを隔てなく、自在に行き来することを可能にします。


森山直太朗

1976年4月23日、東京都生まれ。大学時代より本格的にギターを持ち、楽曲作りを開始。2001年3月、インディーズ・レーベルより“直太朗”名義で、アルバム『直太朗』を発表。2002年10月、ミニ・アルバム『乾いた唄は魚の餌にちょうどいい』でメジャーデビュー。2005年には、デビュー当初からのコンサートでも垣間見せていたシアトリカルな要素を高めた劇場公演『森の人』を成功させ、2006年には楽曲の共作者でもある詩人、御徒町凧の作・演出による演劇舞台『なにげないもの』に役者として出演。音楽と演劇を融合させた独自の公演スタイルとなる劇場公演としては、その後も2012年に『とある物語』、2017年に『あの城』を上演。音楽だけにとどまらない表現力には定評がある。
2018年10月~2019年6月まで、元号をも跨ぐ全51公演のロングツアー〈森山直太朗コンサートツアー2018~19『人間の森』〉を全国各地で開催。2020年1月からNHK土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』、4月からNHK連続テレビ小説『エール』に出演し、その演技力が評価された。2021年3月にはカロリーメイトCM「見えないもの」篇のために合唱バージョンで再レコーディングされた「さくら(二〇二〇合唱)」、そしてバンドバージョンで再レコーディングされた「最悪な春」を両A面で自身約5年半ぶりのシングルCDとしてリリースした。2021年8月からテレビ東京ドラマプレミア23『うきわ -友達以上、不倫未満-』に俳優として出演。9月には歴代名だたるアーティストがカヴァーしてきた名曲「遠くへ行きたい」を配信。そして10月には、21年1月に全国公開され、森山も出演した映画『心の傷を癒すということ《劇場版》』の主題歌として、書き下ろした「カク云ウボクモ」を配信リリースした。
https://naotaro.com


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● 配信シングル
森山直太朗「それは白くて柔らかい」
テレビ東京系 ドラマ24「スナック キズツキ」エンディングテーマ
🔻 ただいま配信中!
https://lnk.to/whiteandsoft


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